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(写真 松本昇大 / 文 倉石綾子)

 12月に開催される「JALホノルルマラソン2013」への出場を表明したモデルの田中美保さん。「運動は好きだけど走ることは大の苦手」という田中さんをサポートするのは、パーソナルトレーナー/フィットネスモチベーターの中野ジェームズ修一さん。まったくのランニング初心者が、いかにしてフルマラソンへ挑むのか。42.195kmを目指す8カ月間のステップ別トレーニングを中野さんのメソッドに則して紹介していきます。

はじめに マラソンにおける3大要素

中野さんがランニング指導において重要視するのが、以下の3大要素です。

 最終的にはこの3項目を日常生活にとりいれることになるのですが、運動習慣のない初心者にとって、一度に3つの事柄に挑戦するのはかなりハードルが高くなってしまいます。一つめの有酸素運動は欠かせないものとして、あとの2要素についてはどちらか自分ができそうなものを選んでもらうのが中野流です。

<状況>
初回のカウンセリングにて、上記の3要素から「有酸素運動」と「食事」を選んだ田中さん。
「有酸素運動」の面においては、「田中さんはすぐに走れる身体である」と中野さんは判断しました。実際に走りながら「走ることを好きになること」を当面の目標にしてトレーニングを行っています。走ることが好きになれば、ランニングは日々の習慣になる、というのが中野さんの哲学。少しずつ走る頻度を増やし、ある程度の距離が走れる身体作りを行っているところです。

一方で栄養バランスのよい食事を指導してもらい、偏りのない食生活を心がけてもいます。食事の栄養バランスが整えば、自ずと体調もよくなるのです。

<トレーニング>
4月16日に始まった田中さんのトレーニング。本人が走っていて辛くないと感じる距離(1km程度)からスタートしました。

中野 「速度、ペースは人それぞれですが、オーバーペースになって『キツい』と感じてしまったら、絶対に長続きしません。1回あたりの距離は『楽チン』『もっと走りたい』と思えるくらいにとどめ、その分頻度を増やして楽しく距離をかせぐことが大切です」

4月は月間走行距離11km、5月は1回のトレーニングで最大3kmを基本に、総距離43kmまで延びたものの、6月は悪天や海外撮影が続いてしまいトータル23km。とはいえ2週間で4回、1回あたり5km程度を走っており、距離が延びたことは成長の証しと言えるでしょう。(フルマラソンまで残り5ヶ月の時点の)7月は10km走にチャレンジしつつ、月間走行距離60kmを目指します。

走ることを好きになる
田中さんのように、まったく走る習慣のない初心者ランナーにとって最初に必要なこと。それは「ランニングをライフスタイルの中に習慣づける」こと。そのためには前述のように、「走ることを好きになる」ことが重要です。

中野 「好きになればどんなに忙しくても、そのための時間を作ろうとするものです。そして、これは全ての人に言えることですが、好きになるためにはまず『楽しい』と思えなくてはなりません。楽しくなければ、人間はなにかしら理由をつけてサボろうとするものですから」

ランニングを『楽しい』と思うためのポイントとは?

▶ランニングにおける『〜ねばならない』をなくす。
難しいメソッドやセオリー、正しいフォームなど巷にあふれるランニング情報は一切忘れ、もっとシンプルに、最低限のポイントだけ押さえる。

▶1回あたりのトレーニングを、『もっと走りたい』というレベルでとどめる。
これが『もっと走りたい』というモチベーションの維持につながる。

▶トレーニングにおいて達成感を持つ。
ただ『できた』という成功体験ではなく、『やった』という達成感が重要。達成感を得られるのは、できるかできないかの確立が50%くらいのメニューをこなせたとき(これを「50/50の原則」という)。逆に成功確立が50%くらいのメニューならば、たとえこなせなくても失敗体験にはならない。
自分でメニューを考えると、成功確立が80%程度のラインの目標を設定しがち。勇気を持ってもう1レベル上の目標を立ててみる。

もちろん、こうしたアプローチはそれぞれの性格やライフスタイル、目標によって異なります。これはあくまでも田中さんの事例ですが、上記の3つのポイントを意識してもらえばドロップアウトせず続けることができる。この「50/50の原則」による大いなる達成感、田中さんもすでに体験済みだと中野さんは言います。

中野 「6月のトレーニングで、『今月はあと何回くらい5kmを走れそう?』と尋ねたら、田中さんは『3回だったら走れる』と答えました。そしてその達成見込みは『80%くらい』だと。80%といったら、ほぼ100%に近いですよね。その目標では、たとえこなせたとしても達成感は得られないんです。なぜならほとんど成功間違いなしの目標だから。ですから、逆に『できるかできないかの見込みが半々くらいの目標を立てるとしたら、5kmを何回くらい走れると思う?』と尋ねました。『4回』というので、『6月は5km走を4回やろう』と、少しだけハードルの高い目標を立てました」

結局、田中さんは無事に目標を成し遂げ、「やった!」という達成感を得られたのです。

 5kmが楽に走れるようになり、10kmもこなせるようになったらいよいよ、STEP2へ。障害予防のために現在はストレッチを数種取り入れています。そのストレッチについてはコチラで紹介! そして、今後は走るために必要なパーツを補強する筋トレを取り入れ、月間60〜80kmをコンスタンスに走れるレベルを目指します。

HOWTO42.195 #ランニングのためストレッチ

中野ジェームズ修一(ナカノ・ジェームズ・シュウイチ)
メンタル・フィジカル両面のアドバイスを行うパーソナルトレーナー。(有)スポーツモチベーション代表取締役。また執筆・監修・講演活動も行う。 最新刊は、「きょうのストレッチ」。Amazonランキング5位を獲得、発売3週間で7万部達成。

田中美保(タナカ・ミホ)
モデル。98年にティーン雑誌で本格的にモデル活動をスタート。その後『non-no』や『MORE』や『mina』など数々の女性誌に出演。13年12月に開催されるJALホノルルマラソン完走を目指してトレーニング中。