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(写真・杉村航 / 文・倉石綾子)
 
 北海道の道北から道東にかけて位置する遠軽町白滝。冷たい北西風とときにマイナス20℃にもなる厳しい自然環境は、手つかずの大自然と小さな集落を擁するこの地に、ドライかつシルキーなすばらしいパウダースノーをもたらしてくれる。
 喧噪と遠くかけ離れたここ白滝で、ウィンターアウトドアアクティヴィティに取り組むアウトドアガイド、寺田匡志さんが今回の主人公だ。夏は地元・三浦半島をベースにシーカヤックガイドや山岳ガイドとして、冬はバックカントリーガイドとして、海抜0m〜3000mまであらゆるフィールドをカバーする。2シーズン前から、冬季は白滝の「TENGU SNOW CAT TOURS」の一員として活動するようにもなった。

「TENGU SNOW CAT TOURS」は地域の活性化事業として始められた、キャット(雪上車)を使って新たなスノー・トラベリングの形を提案しようというプロジェクトだ。誰もいない斜面に、ファーストトラックを刻む。自然が育んだ氷壁にアックスを打ち込む。あるいは、しんしんと雪が降り積もる原始の森を、ただひらすらに歩く……。寺田さんいわく「限りなく原始に近いフィールド」だからこそ、ここには無限の可能性が広がっている。

「4年前、山岳ガイドの加藤直之くんが使われなくなったスキー場を舞台に、キャットを使ったスキーガイドのオペレーションを始めたんです。彼とはクライミング仲間でもあるんですが、そのプロジェクトの手伝いを持ちかけられたのが白滝に足を運ぶようになったきっかけでした」

 スキー場といっても、北米のスキーリゾートのようにラグジュアリーなロッジやシャレーがあるわけではない。むしろ、「何もない」ことこそがウリだ。
「豪華な設備はありませんが、手つかずの自然ゆえに最近では味わえなくなった非日常感をどこよりも味わえます。スキー場といっても、山を丸ごと貸し切って遊ぶようなものですから」

 オープンから全面ノートラックのパウダーを、雪煙をあげて滑り倒す。オープンエリアでは一気に滑り降りられる800mの斜面もある。一日滑り尽くして、その累積標高差はおよそ4000mというダイナミックさは、日本の従来のスキーリゾートや山岳エリアでは味わえないものだろう。

雨、雪、川。水が織りなす日本の風景

 バックカントリースキーにシーカヤック。年間を通じて水、雪に囲まれた暮らしを営む。ガイドとして日本各地の川や海、山を訪れるようになり、水がもたらす豊かな恵みを肌で実感するようになった。

「春になって山間の雪が溶けると山麓に流れ込み、その水は田畑を潤してくれる。僕たちの生活も文化も、水と一体になっている。雪山をハイクして滑っていると、そんなことが身体で感じ取れるんです。水に触れることは、日本の四季を感じること。山も海も水という触媒でつながっていて、四季の中でゆっくり循環している。当たり前のことだけれど、そんな自然の営みを感じることがいつしか無上の歓びになって、それをもっとたくさんの人と共有したいと願うようになりました」

 以前は普通の会社員、学生時代はラグビー部に所属し、アウトドアアクティヴィティーに傾倒するようになったのは社会人になってからのこと。最初の配属先が海、山に恵まれたロケーションだったのだ。

「休日、外で遊んでいるうちにすっかりアウトドアにハマってしまい、いつしか、『建物の中で働いている場合じゃない!』って思うようになっていました」

 退職し、マウンテンバイクに荷物を積んでアラスカ、そしてカナダへ。カナダのソルトスプリング島では友人のオーガニックファームを手伝いながら長期滞在し、カヤックやスキーのガイドたちと半農の暮らしを経験した。教養があり、海と山をベースにガイドと農業、半々の暮らしを自然体で楽しむカナダ人ガイドたちの生活は、寺田さんに本格的なガイド業への転向を促した。

「カナダでガイド業への憧れが芽生え、資格をとるために勉強を始めました。はじめはシーカヤックのガイドを目指していたんですが、バンクーバー在住のガイドたちと触れ合ううちに、海と山、どちらのフィールドでも活躍できるガイドをイメージするようになって」

 夏はシーカヤックとマウンテニアリングやクライミング、冬はバックカントリー。いつしか水陸両用のスタイルが育まれていった。

ガイドに求められるもの

 大地を潤す水はときに、大いなる脅威となって人間に襲いかかる。今年の夏は北アルプスの登山者が谷川に流される事故もあった。水がもたらすものは恵みだけではない。自然の世界に予定調和はないのだから。歓びと脅威、そのギャップを埋めることがガイドの責務であると考える。

「自分で状況を判断し、自分が責任を負い、決断する。予定調和が通用しないアウトドアのフィールドで動いているとそのリスクを目に見える形で実感することが多いんですが、誰でもどこでも、なにかしらリスクを背負っているんですよね。そのリスクや不確定要素をどう判断するかは、自分のスキルと経験次第。誰かの、何かの役に立つために、目の前の不確定要素をなるべく排除する。そのために、自らのスキルを磨いていく。ガイドに限らず、『仕事』ってそういうものだと思うんです。僕はガイドになって初めて、『仕事』の本質に気づくことができた」

ジャケット:シャープエンドシェル(メンズ)

 誰もが少なからずリスクを背負っているとはいえ、ガイドのそれは比較にならない。自然のリズムはセンシティブだ。日々山に入っているけれど、3日もフィールドから離れると自然のリズムはつかめなくなる。ゆえに、ガイドに求められるのは「本質的なもの」と考える。
「いま何が危険なのか、状況を素早く察知してその場に適応すること。そして自分がガイドしている人が何を求めているのかキャッチすること。安全を確保するのはもちろんだけど、ガイドの本質って誰かに喜んでもらうことだと思うから。そのときの自然の状況と自分ができること、そして相手の望みがうまく合致したときこそ、『ガイドをやっていてよかった』って心底思える瞬間です」

【ブラックダイヤモンドについて】

 アウトドアのフィールドに出かける際、ブラックダイヤモンドのウエア&ギアを選ぶことが多い。クライミングギア、スキーからグローブ、ダウンまで、愛用アイテムは数知れず。「好きか嫌いかじゃなくて、『使える』と思わせるんです。考え抜かれた絶妙なディテールなんですよね」と寺田さん。

「もともとスキーやクライミングギアを使っていたので、ウエアにもギアと同じ要素を求めてしまう。たとえば耐久性、使い勝手。シンプルで日々の酷使に耐えられて、それでいてフード周りやジップなど細かいパーツにもきちんと配慮が行き届いているような。毎日使うものだから、『よそ行き』は必要ないんです」

ホットフォージフーディー(メンズ)

ジャケット:フローステートフーディー(メンズ)

 中でも、冬山でヘビロテしているのがハードシェルとソフトシェル。
「ハードシェル(フロントポイントシェル)はヘルメットの上からでも被りやすいフードとか、凍えた手でも扱いやすいジップ、動きを妨げず、それでいて風を防ぐ絶妙な高さの襟など、細かいパーツに使いやすさを感じました。着心地がいいソフトシェル(フローステートフーディ)は行動中、なるべく脱ぎ着をしたくないようなときにも重宝します。あるときは透湿性のいいミッドレイヤーとして、ある場面では防風性を備えたアウターとして。様々な使い方ができるので、行動時間が長いときに真価を発揮しますね。

基本的に行動中はソフトシェルしか着ないんですが、ソフトシェルとの組み合わせで活躍するのが、薄手で軽量なGORE-TEX®Proのシェル(シャープエンドシェル)。停滞しているときと行動しているときって動きのコントラストが大きいんですが、そのギャップをきちんと埋めてくれる。ソフトシェルとレイヤードすればハイシーズンもいけそうです」


シャープエンドシェル(メンズ)
¥64,000+税

スピードといかなるコンディションにも耐えるだけのプロテクションが同時に求められるようなとき、シャープエンドシェルは理想的なジャケットとなるでしょう。軽量な生地と頑丈で通気性の高いゴアテックスプロを組み合わせたシャープエンドは無駄の無いコンパクトなシェルです。腰とフードのコヒーシブテクノロジーが片手で素早い調整を可能にし、チェストポケット、ハンドポケット、内側ドロップポケットが十分な収納性を提供します。
•コヒーシヴ™ コードロックテクノロジー•ヘルメット対応調節式フード•YKK® PUコーティングフラットビスロン®ジッパーのセンターフロント•起毛したマイクロスエードの襟裏•ハーネスと干渉しない胸ポケット(YKK®PUコーティングフラットビスロン®ジッパー)•内部にストレッチ性のメディアポケット•ダブルスライダーつきピットジップ•ジッパーつきハンドポケット•袖には成型のベルクロ® タブ•裾ドローコード•サイズ:XS-L


ホットフォージフーディ(メンズ)
¥39,000+税

軽量で万能なホットフォージフーディはバックパックの中でもかさばらず、岩場や山の中で急に気温が下がったときにも安心です。DWR加工されたプリマロフトゴールドインサレーションダウンブレンドは軽量でかさばらず、どんなトリップにも持っていきたくなるでしょう。
•ヘルメット対応調節式フード•ジッパーつき胸ポケット•内部にドロップポケット(2個)•ジッパーつきハンドポケット•ストレッチのガセットカフ•裾ドローコード•サイズ:XS-L


フローステートフーディ(メンズ)
¥21,000+税

フローステートフーディは汗をかくアプローチから厳しい寒さにまで対応するよう作られており、天候が悪化した時には防風レイヤーからミッドレイヤーへと役割を変化させます。ウィンドストッパーソフトシェルはよく伸びて動きを妨げず、ストレッチカフと頭にフィットするフードはハードシェルの下でも邪魔になりません。
•フィット性のよいアンダーヘルメット型フード•ジッパーつき胸ポケット•ジッパーつきハンドポケット•ストレッチ性のかさばらないカフ•サイズ:XS-L