(写真 濱田晋 / 文 久恒杏菜)
いま、国内外で大きな注目を浴びる日本人ダンサー、KOHARU SUGAWARA、22歳。高校卒業後に単身渡米し、3年間の海外生活を経て、1年前に帰国。現在は、ダンスインストラクターとしてワークショップで世界各国を飛び回りながら、歌手・アーティストのコレオグラフや、ファッションショーやアートイベントでショーケースを披露するなど、活躍の場を広げている。
「エモーショナルなダンス」と形容されることの多い彼女のパフォーマンス。その圧倒的な表現力を目の前に、人々は、息をのみ、笑い、叫び、ときに涙する。
世界を夢中にさせるダンサー、KOHARUさんが、12月2日に開催されたナイキによるトレーニングイベント「NIKE TRAINING CLUB SPECIAL LIVE」にスペシャルゲストとして登場。多忙な日々のなかで、納得のいくパフォーマンスをするために心掛けていることや、ダンスとともにある日常について、話を聞いてみた。
「汗を流す」という毎日。パフォーマンスのための体型維持
私、ちっちゃいときから、ダンスしかやってないんですよ(笑)。それで小学生の頃から毎日、休む暇なく踊ってきました。「汗を流す」というのが私の日常で、それが習慣になっていますね。ダンスは仕事でもありますが、義務みたいなのは自分のなかでないです。自然に身体がそれを欲してて、やってる感じです。ダンスもそうですし、日々のトレーニングも。
ダンスって、アップから踊る、にかけての過程すべてがトレーニングでもあるんです。ストレッチから、ジャンプ、ダウンアップして、リズムトレーニング。そういうの含めて、全部トレーニングになっています。体力と筋力どっちも鍛えるメニューを毎日入れています。それをやらないと身体がすごく鈍っちゃうので。身体を絞りたいときに、短期でトレーナーを付けるときもあります。そういうときは重いウェイトを上げたりもします。昔は全然気にしなかったんですけど、最近は1、2キロ増えただけで、全然踊れなくなっちゃうんです。だから、減量するときもあります。
ちょっとでも増えると、踊っているときに気づきます。ダンスにとっては “見た目”も大事ですが、身体の動きに影響がでてくることに対して、とくに繊細に感じ取るようにしています。身体はつねに変化しているので、つねにその変化に追いつけるように意識してる感じですね。
あと、体力作りのために、ランニングをしています。走ることは好きです。距離というよりも、私は時間です。大体いつも1時間程度走ります。ランニングでは、あまり追い込みたくないので、自分の好きな道を、好きな曲聴いて走ってるって感じです。体力作りが目的なので、リズムをキープするようにしています。ダンスのパフォーマンスってすごく体力を使うんです。4分間踊るだけでも、めちゃくちゃ疲れる。日々のランニングを頑張ることは、良いパフォーマンスにつながります。でも、やっぱり一番大事なのは、リハーサル。自分がどれだけ、その時の踊りに向き合えるか、が重要なので、リハーサルを繰り返しやることが一番の体力作りにもなっています。
ストレッチやヨガも好きで、たまにホットヨガに行ったりします。ダンスを始める前は体操をやっていたので、身体はもともと柔らかいですね。汗をかくのがとにかく好きなんです。2日間汗かかないだけで落ち着かなくなっちゃう(笑)。なので、ほぼ毎日なにか汗かくことをしますね。
日本と海外、まったく違うライフスタイルを楽しむ
日本にいるときはなるべく規則正しい生活、ヘルシーな食生活を心掛けています。朝起きて、スムージーを飲んで、ランニングにいって、朝ご飯食べて、ダンスがあって、みたいな生活ですね。そういった生活が、海外にいると全然できなくて、ストレスを感じることもないわけでないです。活動拠点は日本ですが、月に1回はどこか海外いってることが多かったり、ワークショップのツアーが始まると、毎回約1ヶ月色んな国を回るので、ホテル暮らしですし、飛行機にも何十回も乗ります。
そうすると自炊ができないですし、ジャンクフードも多い。元々、ヘルシーな食べ物が好きなので、日本にいるときだけは自分で作って、ヘルシーなものを心掛けて、っていう。自然にそういうルーティンになってますね。生活を正すっていう意味もあるんですけど、そこまで意識するというよりも美味しいものをナチュラルに食べています。
ジムに行ったりもできないし、食事が合わなかったりすると簡単に太ってしまいます。けど、日本に帰ってきたらストイックな生活をおくることができる。多分、そのルーティンも楽しめてるんだと思います。私、強弱が激しい性格なんです。
海外生活で一番辛いのは、お風呂に浸かれないこと。日本にいたら、毎日寝る前に絶対お風呂に浸かります。1日の生活がリセットできるお風呂のパワーはすごいですよ(笑)。つねに、新しい気持ちで1日をむかえるようにしています。例えば、パフォーマンスがうまくいかなったりとか、色んなことで、そのときそのとき、へこんだりもするんですけど、次の日になってると大体忘れてるんです。だから、ダンスに対して、つねにポジティブでいれるんだと思います。
ダンスは心のキャッチボール。呼吸をするように感情をムーブにのせる
ダンスって、私が本当にハッピーに踊ってたら、見てる人がハッピーになれるんですよ。私がエモーショナルな曲で、伝えたい感情を心込めて踊れば、涙流す人もいるんですね。闘っているような曲だったら、そういう気持ちになったりする。映画を観てる感覚と一緒なんです。ただの動きじゃなくて、自分の心が表現できるから、人の心をキャッチできたり、私の心を投げたりとか、そういうキャッチボールができて、シェアできるので、私にとっては面白いスポーツです。
レッスンを受けてくれる人たちにまず伝えるのは、「自分が踊ってて心で思ってることって絶対届いちゃう」ということ。心で思ってることは、見てる人にも全部伝わるんです。私がハッピーな気持ちで、すごい笑顔で踊ってると見てる人にも自然に、その感情が移る。ダンスである前に、心と心がつながってるので、私がどうパフォームするかによって、届くものが全然違うんですよね。
だから私は毎回心から踊るようにしています。ムーブメントを気にするっていうよりは、その人に、自分の気持ちを伝えられるかというところで、挑みますね。そういった意味でも、私は感情ひとつひとつを、呼吸をするように、ムーブひとつひとつにプットしていくという踊りが好きなんです。「私の持ってるダンスってこうなんだ」っていうのを、音を毛穴で吸って、身体で吐いたときにムーブに乗せるという感覚ですかね。
海外に行き始めた頃は英語もなにもわからなくて、自分のファーストランゲージがダンスだったんです。踊ることで伝えることしかいつもできなかったんです。私が踊ればそれが会話になって、あっちが話しかけてきてくれて、私もダンスで話せてみたいな。それが、私にとって会話だったので、それがきっと、感情を現すような強いダンスじゃなきゃダメだという気持ちにさせてくれるんだと思います。
ダンサー同士だけでなく、ダンスを知らない人にももっとダンスを知ってもらいたいです。こんな楽しいものがあるんだって思ってほしくて。だから、今日のここでパフォーマンスさせてもらうとかそういう機会でたくさんの人にダンスの素晴らしさを知ってもらったり、色んなアートと絡めて表現したり、という活動を続けていきたいです。
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KOHARU SUGAWARA(こはる・すがわら)
1992年生まれ。ダンサー。コレオグラファー。
18歳で単身渡米。3年間の海外生活を経て、現在は日本を拠点にダンサー、コレオグラファーとして国内外で活躍。2NE1をはじめ、アーティストの振付けを多数手がける。また、『NIKE FUEL BAND』や雑誌『GINZA』のPV出演等、多方面で注目を浴びている実力派ダンサー。