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名前:クライミング・フリー
著者:リン・ヒル
翻訳:小西敦子
発行:光文社
発売日:2006年12月7日
ページ数:379ページ
価格:700円
関連のスポーツ:クライミング

アメリカの伝説的女性クライマー、リン・ヒル。『クライミング・フリー〜伝説を創る驚異の女性アスリート』は、1961年生まれの彼女がクライミングを始めてから、1993年にヨセミテのランドマーク、エル・キャピタンの<ノーズ>と呼ばれる巨壁のフリー登攀を初めて成功させるまでを自ら綴った自伝です。
1975年に南カリフォルニアで初めてクライミングを体験したリン・ヒルの経験を辿っていくことで、フリークライミングの黎明期からそれがスポーツへと発展していく過程を追体験することができます。
例えば次のような描写からは、フリークライミングがまさに自由の感覚と結びついて発展していた様子が伝わってきます。

一九七〇年代は「すばらしい新世界」というニューウェイブの時期で、カルロス・カスタネダの小説が流行り、彼の著作はクライマーに愛読されていた。『呪術の体験』と『未知の次元』はヤキ族社会の神秘的な旅をテーマにし、ドラッグでマインド・コントロールする儀式を通じて出会うスピリットが充満している社会を描いている。ジョシュアツリーに集まるクライマーにとり、岩登りはロサンゼルスのコンクリートジャングルでのわずらわしい日常生活から抜け出して別世界へとトリップする聖なる乗り物だった。

男性に比べて小さい身体だったからこそステレオタイプなムーブではなく、自由な振り付けでクライミングしていくリン・ヒルのスタイル。仮にクライミングをしたことがなかったとしても、飾りのない文章で綴られる彼女自身のリアルな経験と自由な精神は心に響くに違いありません。

(文 mark編集部)