fbpx

「がんばらないウェルネス。」を掲げ、心と身体の健康の実現をサポートするウェルネスプロテイン〈KOREDAKE〉。おいしさと安心・安全にこだわって開発された〈KOREDAKE〉は、たんぱく質・食物繊維・26種のビタミン&ミネラルなど、33種の栄養素を配合した完全栄養プロテイン。33種類の原材料は、動物性を含まない100%プラントベースで構成されている。パッケージや付属のスプーンについても環境に配慮した素材を採用するなど、地球環境になるべく負荷をかけない製造方法を模索してきた。

〈KOREDAKE〉を展開するのは、鈴木友樹さん率いる〈メップル〉だ。2020年に創業、2023年11月には〈B Corp〉認証を取得。日本のウェルネス分野における、初の〈B Corp〉認証取得企業となった。

「僕たちが目指すのは身体の健康だけではありません。身体の健康と同様に、心の健康も大切だと考えています。では健やかな心を得るためにはどうすればいいのか。現代の社会において、自分が幸せになるだけでは真の心の健康を得ることはできないと考えています。

社会や周囲の人々など、自分と関わりのあるものについて思いを巡らせ、良い行動を起こすことが心の健康をもたらすのではないでしょうか。そうした行動は、自分を大切にすることにもつながると考えています。こうした思いから、〈KOREDAKE〉を取り巻くコミュニティで、無理なく社会や地球環境に貢献できるサイクルを作れればいいなと思っていました」

鈴木さんが共感するサービスや商品を提供する企業の多くが〈B Corp〉認証を取得していたことから、〈B Corp〉コミュニティに興味を持っていたというが、本格的に意識するようになったのは、〈KOREDAKE〉の原料を100%プラントベースに切り替えた2021年のことだった。

「僕たちの原料のサプライヤーである〈不二製油〉でCEO補佐を務めていらっしゃる河口真理子さんはサステナビリティ全般の専門家ですが、河口さんからの学びが多かったです。実際に〈B Corp〉取得を目指すことになって、河口さんをお招きしての社内向け勉強会なども開催しました」

一度は挫折した〈B Corp〉認証の取得

実は、BIAへの取り組みを一度挫折した、と鈴木さん。

「英語で書かれているBIAを読み解くところから始めましたが、一度目の挑戦では、そもそもその設問が何を求めているのか、自分たちはそれに対してどうアプローチすればいいのか、見当もつきませんでした」

スタートアップとしての膨大な業務に忙殺されるなかで、多岐の項目にわたるBIAに回答することはなかなかハードルが高かったようだ。一方、スピード感を大切に取り組んだ2度目のチャレンジでは、わずか11ヶ月で認証を取得することができた。

「大豆由来の〈KOREDAKE〉の原材料は、製品のライフサイクル(原材料調達から販売・廃棄まで)における温室効果ガス排出量を、肉や魚といった動物性由来のタンパク源に比べて約88%削減しています。そのエビデンスを提出するなどして、環境分野で高いスコアを取ることができました。

一方で、従業員やガバナンスにまつわるところはほとんど整備できていませんでした。10名未満の小規模な組織だから、働き方に関しては明文化されていないことも多かった。BIAに向き合うことで、その至らなさに気づくことができました」

BIAを参考にしながら社内整備をひとつひとつ進めていき、社員が働きやすい環境を作っていった。たとえば、このような背景のなかで生まれた施策のひとつに「ウェルネス手当」がある。社員の心と身体の健康の向上のためにウェルネスにまつわる活動費を会社が負担するというもので、福利厚生の一環としてスタートした。また、異なる業界の情報に触れて広い視点をもってほしいと、勉強会なども実施している。

「社会や環境という大きなものに取り組むためには、まずは身近にいる社員が満ち足りていなくてはいけないということを、BIAに教えてもらいました。サプライヤーとの取り組みも同様です。〈B Corp〉認証取得に取り組む最大のメリットは、自分たちに足りないものを知ることだと感じています。それを知ることで改善策を考えることができますから」

メップル代表取締役 鈴木友樹さん

「サステナビリティを意識した経営や企業姿勢に、共感を得られるか心配だった」という鈴木さんだったが、取得から半年が経ち、株主からは応援や共感の声が寄せられている。起業家仲間からは「自分たちも取得したい」「申請中である」というメッセージが届くようになった。あらためて、日本で〈B Corp〉が広がりつつあることを感じているそうだ。

「ウェルネス業界に限っていえば、〈B Corp〉認証を取得しようという企業はまだまだニッチな存在です。僕たちの役割は、サステナビリティとは無縁だと感じている企業や消費者に、食や健康を通じて社会、環境への興味をもってもらうこと。

たとえば、『おいしい』や『身体にいい』ことを実践するなかで、いつの間にか原材料の表示をチェックするようになっていたとか、トレーサビリティを意識するようになったとか、そういうマインドシフトを起こしたい。消費者の気持ちの変化が環境問題や社会課題の解決に貢献するという流れができればいいなと思っています」

自然体でいれば、長く続けられる

とはいえ、ことさらに〈B Corp〉であることや、サステナビリティを意識している企業であることを訴えないというのが鈴木さんたちのスタンスだ。

「ぼくたちが『がんばらないウェルネス』の先に見つめているのは、『がんばらないサステナビリティ』です。企業としてきちんと利益を出していかないとサステナビリティは続けられません。地球や社会を良くするためには、まず、社員やお客さまに対して誠実であることが必要だと考えています。そのためには商品のアップデートを続け、常に最良のものをユーザーや社会にお届けしていく。そうすることで社員も幸せになれる。その先にがんばりすぎないサステナビリティの実現があると考えています」

がんばらない=肩肘張らない、あくまでも自然体で、ウェルネスとサステナビリティを実現するという〈メップル〉。心と身体の健康、そして持続可能な環境や社会の実現のために、将来、「がんばらないウェルネス」のまわりに運動、睡眠、暮らし……「がんばらない」包括的な経済圏を築いていきたいと考えている。