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「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」。創業以来、このミッションステートメントを貫いてきたパタゴニア。あらゆる製品において、自然環境に対する負荷を最小限に抑えた素材の開発に企業努力を続けてきましたが、来春より、4年の歳月をかけて開発した、化学燃料ベースの素材に頼らないバイオマテリアルのウエットスーツの販売を開始するそうです。

日々、海と親しむサーファーは、環境問題に対して高い意識を持つ方も多いと思いますが、サーフィンに使用するギアといえば、ウエットスーツはもちろん、サーフボードにしてもワックスにしても、石油原料に頼って作られているのが実情です。
パタゴニアでは、これまでも暖かいウール素材を開発し、石油系素材としてウエットスーツに使われるネオプレーンの使用量をできるかぎり減らしてきましたが、先ごろ来日したパタゴニア米国本社、サーフディレクターのJason McCaffreyの言葉を引用すると、

「ウエットスーツを作り始めた頃から、ネオプレーンはその生産過程の特性から環境に最も影響を与える製品であるということが分かっていました。当初ウールのように暖かい革新的な素材を作る方法でアプローチし、出来る限りネオプレーンを減らす努力をしてきたが、真の意味でネオプレーンに代わる新しい素材を作り出す必要があるということに気づいたのです」とのこと。

植物ベースのバイオマテリアルで製品を開発するYulex社とタッグを組み、4年の歳月をかけて作られたのは、ネオプレーンに代わる初の再生可能なバイオラバーを使った「グアユール」ベースのウエットスーツです。グアユールは、少量の水で栽培できる、農薬を必要としない再生可能な天然ゴム資源として注目されています(写真はグアユール畑と液状のグアユール)。
品質的にも、ストレッチ性が30%向上し,速乾性があり,高い温熱効果を持っているとくれば、多くのサーファーの食指が動きそうです。現時点でのグアユール配合率は60%ですが,将来的には100%にする事が目標となっています。

Jasonはまた、「他のブランドがこれを面白いと感じてくれて、ウエットスーツに用いられる伝統的な素材であるネオプレーンに代わるものを進化させ、利用する努力に加わってくれることを願っています。」とも語っています。
植物性のバイオマテリアルを使用することにより、石油に依存しない持続可能な社会の実現に向け、またひとつ新しい扉を開いたパタゴニア。2012年もあと僅かですが、このニュースをきっかけに、私たち消費者側ができることを考え、未来への想いを巡らせてみるのもいいかもしれません。

このウエットスーツは、世界に先駆けてパタゴニア サーフストア2店舗(サーフ東京サーフ千葉)にて来春より発売開始予定です。

お問い合わせ:パタゴニア・カスタマーセンター tel.0088-252-252
http://www.patagonia.com/japan/

(文 onyourmark編集部)