いよいよ今週末と迫った名古屋ウィメンズマラソン。エントリーされているランナーの方はくれぐれも体調管理に努めてくださいね。
さて、安田美沙子さんとトレーナーのMIDORIさんの名古屋までの道のりをレポートする連載 ♯04。この連載も残すところ、今回とラストの2回です。この日はレースまで残り2週間強となったタイミングでのロング走、ずばり皇居にて30キロ走でした。レース直前ということもあり、あくまでリラックスさせるためのリハーサルとして実施。「決して身体を追い込むためのロング走ではない」とMIDORIさんは言います。
レース直前の心境を、走り終えたふたりに聞きました。
ペースをつかみ、ベースを作ること
肩甲骨、股関節、コアを意識して
MIDORI 今日は「距離の感覚のハードルを下げる」というか「30キロで追い込む」っていうよりは、「距離に慣れる」という意味合いに近かったんです。いざ走ってみて、30キロという長さを感じさせない走りができたので良かったな、と思いますね。
安田 レース前はいつも皇居でのロング走がひとつの区切りになっているんです。この練習がうまくいくのといかないのとでは、気持ちの面で全然違います。最後の一周で途中歩いたりなんてことになったら、本番で不安が残ってしまいます。この練習はとても大事だなって感じてますね。
MIDORI 当日はこれよりも長いので、ペースの確認ですね。これまでの練習だけでは、当日のペースが読みきれていなかったので、今日走ってみて、なんとなく見えてきました。とにかく今回の練習テーマは「ペースを作れる」こと。私が引っ張ってペースをつくるというよりも、彼女自身がペースを作っていく。私はただ「大丈夫?」って働きかける程度でしたね。ゆっくり走っていき、2周ずつペースアップしていきました。最初はキロ6分半で、アップして、6分、5分45、5分半という感じでした。
安田 スタートは普段の練習よりも遅めのペースでスタートしたので、逆にゆっくり過ぎて辛いときがありました。ん? って違和感があって、身体がハマってない気がしていました。だからゆっくりのときほど、きちんとフォームを意識しないとだれてしまって、後半のペースアップがきつくなってしまうんです。そこでの無駄をいかに抑えられるか、だなって感じました。
MIDORI そこは根元をきちんと作れればどんなペースになっても同じフォームで走れるようになるんですね。たとえば、腕の振りで意識すべきポイントは、肩甲骨。肩甲骨の動きを自分のものにすれば、あとから腕の振りはついてきます。足もそうで、膝の位置とか足の蹴り、着地を作ろうとするよりも、まず股関節の動きを最初に作る。根元の動きだけ固めていけば、ゆっくりでも早くでも、同じように動かせられるようになります。先っぽだけを決めちゃうと、逆にコアが決まらなくなってしまいます。すべてのことに通じてますが、細かい所から先に決め過ぎちゃうと、バランスが取れなくなることってありますよね。
安田 少し前までは、皇居の30キロ走もただ走りきることだけが目的になっていましたけど、今は、これがリハーサルみたいな気分で取り組めるようになりました。ただやるしかない、と思っていた頃の方が意外と気が楽だったかもしれませんけど(笑)。ちゃんとフォームとかペース配分とか意識することも増えました。でも、意識することばかり集中してしまって構え過ぎないようには注意もしていますね。
レースを控えるすべてのランナーに
とにかく「休むこと」「食べること」
MIDORI これは彼女(安田)だけでなく、名古屋を走られるすべてのランナーに伝えたいんですけど、レースまでまもなく2週間を切ります。まず身体的を追い込み過ぎないようにしてください。身体の芯の疲れって抜くのにすごく時間がかかります。とりあえず身体を休めて、今の実力をなるべく100パーセントに近いカタチで出せるように調整をできたらいいと思います。これからレースまでは、ここはレベルによりますが、かなり走りこんでるランナーの方は10キロくらいを軽いペースで走ったりしてもいいですし、あとは3キロ、5キロくらいでも、ただ歩くだけにしてもいいんです。むしろ痛みとか疲労が多い方は、もう休みにしてもいい時期だと思います。
安田 食事はしっかりとった方がいいと思いますね。身体を冷やさないようになるべくあたたかいものを食べたり。あとは直前の一週間は、徐々にカーボローディングしていくつもりです。3日前くらいからは、とくにパスタとご飯ものだけにして。みんなでパスタパーティー=カーボローディングパーティーもするつもりです。粉系のスコーンとかケーキとか。あとは、食事の際にフルーツをよく摂るようにしています。オレンジとかみかんとかクエン酸と糖分を意識していますね。
今、言える範囲内の心境
レースで最も大切なのは「内容」
安田 目標タイムは、正直まだ分からないんですね。行けたら狙う、という感じです。実は、今回のトレーニング期間に、一回だけ泣きました。MIDORIさんの前で(笑)。やっぱり私は毎回挑戦したいですし、毎回全力で挑みたい。でも、かならずしも納得のいく準備ができるわけでないですよね? 働きながら走っている方なら誰しも同じだと思うんですけど、練習の時間をうまく作れない時期もあります。だから、予定通りに練習できなかった期間があったとしても、それはそれはとして受け入れないといけないんですよね。でも、負けず嫌いな私はそこがなかなか難しいんです。そういう自分と葛藤して「すみません」とか言って泣いたりして。
MIDORI いつも彼女には言ってますけど、レースはタイムがすべてじゃない。むしろ内容なんです。それはどんなランナーの方にも伝えたいことのひとつかもしれませんね。
安田 1年を通して、本格的にフルマラソンに挑戦できるのは、この1回限りだと思うんです。だから、この1回を無駄にはしたくないって気持ちです。このレースのために練習してきたので、今の実力を最大限にだせるようにします。あとは、去年ゴールしたときの顔がつらそうでヒドかった(笑)。だから今年はかならず、笑顔でゴールします。それまでどんなにヒドい顔で走ってても、ゴールラインを踏む瞬間はかならず笑顔で。
ナイキランクラブのトレーナー、MIDORIさん
リコメンドのNIKE最新ランニングギアを紹介!
【Road to Nagoyaアーカイヴ】
♯01 脳と体に長距離を覚えさせる
♯02 ハートを強くするために
♯03 一歩先へ ランニングとどうつき合っていくか
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(文 村松亮 / 写真 村松賢一)