(写真 阿部健/動画 井上典慎/文 倉石綾子/Promoted by 三菱自動車工業)
いまスノーフィールドで最も注目されているアクティビティのひとつ、雪板。雪板とはその名の通り、パウダースノーを滑る木の板のことだ。スノーボードと異なるのは足を固定するビンディングが設置されていないこと。長さ、ワイズ、ノーズとテールの形もさまざまで、スケートボードのように小回りの効くもの、斜面をサーフィンのように滑走するものまで、遊び方もいろいろ。裏山、河川敷、なだらかな丘。パウダースノーがあればゲレンデに行かずとも楽しめるのも魅力だ。バランスだけでボードを操る雪板はスノーボードとはまた違ったライディングが楽しめるうえ、板とリーシュコード(流れ止め)、スノーシューズのみで遊べるという手軽さもあって、スノーボーダーやパウダージャンキーたちに支持されている。
このアクティビティのパイオニアが長野県在住のスノーボーダーで雪板ブランド「芽育(MAKE)」を主宰する五明淳さんである。小学生のときからスケートボードやスノーボードに親しむなか、バックカントリーをもっと自由に楽しめる遊びはないか……。試行錯誤の末に行き着いたのが、シンプルを極めたような雪板だった。
「十数年前、僕がバックカントリーを滑るようになった頃にスノースケートが登場しました。試しにパウダーを滑ってみたら、浮力もあるし小回りも効くしで想像以上に楽しめたんです。それからさらに数年後、今度はスノースケートよりさらに進化したスノーデッキが現れました。スノースケートは完全にパーク仕様だったから、これのパウダー用があればいいのにと思いましたね」
いつか誰かがパウダー仕様の板を作るだろう。その登場を心待ちにしていたが、一向に現れない。しびれを切らし、試しに自分で板を削ってみたことが「雪板」の始まりである。
思うままに削る。自作だから広がる可能性
「友人が製材所からかまぼこ型の端材をもらってきたので削ってみることにしました。こんな板なら楽しいだろうなというイメージをそのまま形にしてみたんです。ノーズは浮きやすいように大きめ、板はある程度の跳ね返りがある硬さで、無駄な抵抗を排したミニマルな形状。スノーボードをそのまま直訳して『雪板』と名付けました」
試作品の雪板は予想以上の出来だった。スノーボードよりも体感速度が速いからちょっとした丘や河川敷の斜面でも十分にスピードを感じられるし、雪面を駆け抜ける感触もダイレクトに伝わってくる。雪板は、初めてスノーボードを滑った時のようなワクワク感をもたらしてくれた。
「これは使えると思ったので、仲間内で広めてみんなで遊ぶようになりました。ハンドシェイプを繰り返すうちに雪板の精度も上がってきたから、雪のコンディションに合わせていろいろな楽しみかたができるようになりました。自作ですから、自分の滑るスタイルに合わせて自由にカスタムできるところが僕には合っていたようです」
やがて「自分の板を作ってみたい」という仲間が増え、雪板作りのワークショップを開催するように。ただ滑りを体験させるだけでなく、「作って滑る」というDIYの精神は時代性ともマッチした。「ワークショップの参加者がみんな、まるで子どもに戻ったみたいに無心に板を削る様子に感動して、『雪板遊びを続けたい』という気持ちから『雪板を広めたい』に変化した」。雪板仲間は各地で増え、「Yukiita」として海外でも浸透し始める。新たなYukiitaブランドも立ち上がり、自らがシェイプした板を携えた海外のスノーボーダーが日本のパウダーを滑りたいと来日するようになった。
「自分が作った遊び道具を介して仲間が広がって、それがコミュニティとして裾野を広げていくさまはやっぱり感無量でした。それはただのスノーボーダーだったら味わえなかった経験で、雪板が持つ可能性にあらためて気づかされたんです」
間伐を使った雪板で描く、サステイナブルな社会
「芽育雪板の公式フィールド」としてヤマボクワイルドスノーパークが名乗りを上げ、志賀高原熊の湯スキー場が雪板を解禁するなど、新しいアクティビティに理解のあるゲレンデも少しずつ増えている。そうした頼もしい味方を得て、五明さんが目指すのは雪板を介して遊びと自然、地域がつながるサステイナブルな未来だ。
「雪板は木という自然の素材を使い、パウダースノーという大自然のフィールドで遊ばせてもらう遊びです。すべてが自然に関わっている以上、自分のモノづくりが自然に負荷をかけるものであってはいけないんです。山を生かすために間伐し、その過程で生じた間伐材を使って雪板を作り、間伐した斜面を雪板で滑る。それが地域の産業の一つになる……。そんな風に遊びや道具、自然や環境、地域コミュニティがうまく繋がって循環していけば、社会はきっと楽しいものになる」
雪板を担いで山に登り、頂上からはるか眼下の街並みを見渡す。人間は自然に生かされているとあらためて実感するひとときだ。土から顔をのぞかせた緑の新芽が立派な木となり林を成し、やがて山となるように、豊かな自然を思う気持ちが多くの人に広まって根付いていけば、それはやがて社会を変える大きな動きになる。そんな思いを込めて名付けた「芽育」。一枚の雪板から、ポジティブな未来を描いていく。
五明淳(ごみょう あつし)
板乗り/芽育”MAKE”YUKIITA 代表/KEENアンバサダー。1978年長野市生まれ、8歳の頃からスケートボードでお出かけする様になり、13歳からスノーボードをして育つ。2004年よりGENTEMSTICKライダーとして活躍。(現在は契約終了)自身のモデル「 THE SNOW SURF PHENOMENA 142 」のデザインを手がける。2015年日本の森の木を使った国産スノーボードを作るため、「PRANA PUNKS Snowboarding」を立ち上げる。今までの経験から”雪板”をハンドシェイプしながら研究し、作り上げ、製品化、”MAKE”雪板 snowtoysのワークショップを各地で開催し、この遊びを広めている。
Thanks:
PRANA PUNKS Snowboarding、 KEEN JAPAN GK 、 redi 、 MAKE 、 marumatu、 山喜ウッドコア 、 DRM1、 mo3STORE、 Make Peace Lab、 matatabi、 SATORImovement、 T-TUNE、 MSR、 LADE Clothing、 Mother skateboard market、 H.I.D、 G-studio、 芽育雪板
出演:DVD
信越/ ゆきめぐり-ニッポン雪山紀行-FREERUN 、 八甲田(oaken cinema)、 Signatures-Sweetgrass Productions、*芽育雪板 presents『FANTASTIC SESSION』他
TOPICS:五明さんの活動をサポートする、
デリカ D:5 クリーンディーゼル「KEEN Yukiita号」登場
最高のパウダースノーを求め、雪山をめぐる五明さん。そのライフスタイルを支えているのがデリカ D:5 クリーンディーゼルの「KEEN Yukiita号」だ。アースカラーのボディに描かれたのは、長野の雪山を背景に雪板で雪上をクルージングする本人のライディングシーンと3枚の雪板。五明さんのためだけのスペシャルラッピング車だ。
サーフィン同様、雪板には雪とポイントのコンディションチェックが欠かせないという。整備されていない悪路の先にどんな素晴らしいポイントが姿を表すかはその日の運次第。だから積雪やアイスバーンなどの悪条件をものともせず、目指すポイントへ連れて行ってくれるクルマが必要なのだ。
「アクセルを踏んだら深みにはまるかな、というような路面状況でも、タイヤが空転しないようにクルマが勝手に調整してくれるんです。おまけに滑りやすい路面でのコーナリングでも4輪のブレーキとエンジン、4WDシステムが自動的にコントロールしてクルマの動きを安定させてくれる。雪道の移動が断然、楽になりました」
それはデリカ D:5 クリーンディーゼルならではのオールラウンドな4WD性能がもたらしたもの。4輪のタイヤ性能をバランスよく発揮させるAWC(オールホイールコントロール)、滑りやすい路面や急なハンドル操作による車両の不安定な動き・スリップを防いで、安定した走行をサポートするASC(アクティブスタビリティコントロール)。卓越した操縦性と安定性をかなえる電子制御4WDに加え、高いグランドクリアランス(地上最低高)もあって、どんな積雪やラフロードもためらいなく進めるという。
「そしてもちろん、環境性能。白銀の雪景色に黒煙を吐くクルマは似合わないから。大気汚染の原因となる物質を大幅に軽減したクリーンディーゼルエンジンは、どこか雪板のコンセプトに相通じるものを感じます」
長野の豊かな自然を、雪板を通じて守っていきたい。そんな五明さんの願いを乗せ、「KEEN Yukiita号」は今日も雪山を駆け抜ける。
三菱自動車工業 デリカD:5 × KEEN 『PLAY THE NATURE ! 』:
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/delica_d5/special/d5_portal/outdoor/