現在のフルマラソンの男子世界記録は2014年のベルリンマラソンで叩き出されたデニス・キメット(ケニア)による2時間2分57秒。2時間切りまで約3分という壁が立ちはだかっています。
そんな壁を超えるべく、ナイキが新しいイノベーションプロジェクト「Breaking2」を発表。フルマラソン2時間切りという不可能を可能にするチャレンジのために科学からスポーツ分野にわたるさまざまなリーダーたちと協力し、アスリート、プロダクト、トレーニング、栄養、そして環境まで、包括的な視点からのアプローチをしていくというものです。
1954年にロジャー・バニスター卿が初めて1マイル(1.6km)を3分59秒4で走り、4分の壁を超えて以降、彼はアスリートの能力に対する意識を変え、他のアスリート達にインスピレーションと自信を与えたのです。それから1年も経たないうちに、24名のランナーが同じ偉業を達成しました。
この逸話は、不可能を可能にするには、実現することを心から信じることが重要であると、私たちに教えてくれます。
つまり、Breaking2 はマラソンだけにとどまる話ではないのです。この挑戦により、ランニングというスポーツへの理解をより深め、今後、プロダクトからサービスといった、ナイキのあゆる側面に反映されていくそうです。
2時間切りに挑戦する3人のアスリート
マラソンでサブ2を実現するには、全長26.2マイル(42.195km)のそれぞれのマイルごとに7分短縮することが求められます。その世界最速のランナーでも高い壁となる記録に挑戦するのはケニアのエリウド・キプチョゲ、エリトリアのゼルセナイ・タデッセ、エチオピアのレリサ・デシサの3人。
エリウド・キプチョゲは2015年のベルリンマラソンを2:04:00で優勝、2016年のロンドンマラソンではそれさらに上回るコースレコードの2:03:05を記録しています。ゼルセナイ・タデッセは男子ハーフマラソンの世界記録58分23秒の保持者。レリサ・デシサは2013年のドバイ・マラソンで2:04:45を記録、また2013年と2015年のボストン・マラソンで優勝を果たしています(2013年は爆発事件に見舞われた犠牲者への哀悼の意を示すためにメダルをボストン市へ返納)。
2013年からは2時間切りを念頭に置いたシューズの開発にも着手
ナイキは2時間切りという挑戦に対し、2013年からその目標を念頭に置いたマラソン用のシューズ開発を始めました。そして、2014年の夏に正式な取り組みとなり、「Breaking2」チームが発足されています。運動力学、コーチング、デザイン、エンジニアリング、素材開発、栄養、スポーツ心理学、生理学など各分野の世界クラスの情熱的な専門家からなるこのチームが幅広いスキルや知識を連携させ、3人の能力の最大化を目指します。
この挑戦のために優れた機能性をもったプロダクトも提供されるということで、こちらにも注目が集まりそうです。コースやコンディションも重要視される今回の挑戦。サブ2を目指すレースの日時や場所は来年発表されるということなので、onyourmarkでも続報を追っていきます。