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ブルックリンとロングアイランド、2拠点での暮らし

Pilgrim Surf+Supply / Chris Gentile

ブルックリンから3時間のNYの東端。サーフポイントとして知られ、ヒップな人たちの別荘地が点在する、アマガンゼット。

「この街はサーフィンでよく来ていたよ。2012年にブルックリンに店をオープンしたあと、ちょうどいい場所の空きがあると聞いて、ここに2号店を出すことにしたんだ」。

そう語るのは、クリス・ジェンティール。海などの自然と都市の生活を楽しむ人のためのセレクトショップ〈Pilgrim Surf+Supply〉のオーナーだ。ショップコンセプトを自ら体現するように、2号店のオープンを機に、モントークのスプリングスに週末を過ごす別荘を構えた。

ロングアイランドのアマガンゼット地区にある〈Pilgrim Surf+Supply〉。サーフボードのセレクトは全てクリスが行っている。中には、ヴィンテージのクラシックボードも。「セレクトしているのは、住まいのように、時間が経つにつれて、いいとわかるもの。素材などのクオリティにもこだわっている。さらに、それ自体の“ 声”みたいなものを持っていることも重要」とクリス。

現在、ブルックリンとロングアイランドのデュアルライフを送っている。

「アマガンゼットの店のエリアは、ヨガスタジオやレコード店、ピクニックできる芝生もあって条件が揃っていた。この場所なら、自分のやりたいことができると確信した」

スプリングスの別荘でクリスの一番のお気に入りのスペース。

この地に暮らすようになってから、彼のアイデンティティともいえるサーフィンのほかに、絶対に欠かさずしていることがある。

「毎朝5時から1時間かけて行うのは、ヨガの呼吸法を取り入れたウェイトトレーニング。関節の可動域を広げるワークアウトは、身体のチューンナップになるんだ。昔は、“やらなくては”だったけれど、今は、“これをやらなくては1日が始まらない、やりたい! ”と身体が欲する。朝、家族が起きてくるころには、僕は汗だくでコーヒーを淹れているよ」





友人のアーティストによるオーナメントなどがディスプレイされ、蚤の市で見つけた絵が飾られた暖炉のあるリビング。シティやロングアイランドに住む友人も集まり、ここで語らいながら過ごす。夏は庭でBBQを楽しむ。

友人のトレーナーのもとに1年通い、自分のものにしたトレーニング。その習慣は、彼の食生活にも変化をもたらした。

「元々15歳から肉は食べないベジタリアンだけど、栄養学的に突き詰めてみる気になった。食事法を変えてから、身体がすごく楽になったよ」

動かさないと水分が溜まり、むくみがちだが、トレーニングすることで、筋肉や関節が柔軟に動きやすくなり、結果的に身体が強く、健康的になったという。

「週に1回はサーフィンするし、スポーツのないライフスタイルは僕には考えられない」



別荘の入り口には、クリスの愛車であるピックアップトラックと10フィートのロングボードが。

日本の渋谷にも旗艦店を持つ〈PilgrimSurf+Supply〉。すべての店のセレクト、メンズのオリジナルウェアのデザインは、クリスが手掛けている。そんな多忙な中、アクティビティの時間をどう捻出しているのだろうか。

「ワークアウトをする時間は、1時間強あれば十分さ。たいした時間じゃない。食についても同じ。いいものも悪いものも、食べることに費やす時間は同じ。自分が正しい知識を持っていれば、難しくないよ」

運動時は、栄養学に基づいた食品の摂取を実践。

「スポーツをすると、急激に空腹を感じるから糖質や炭水化物を多く摂取しがちだけど、なるべく控えている。実は糖質が多いフルーツや、消化吸収のプロセスで身体に負担をかけるパンやパスタ、そして加工品としての豆腐の摂りすぎにも注意している。とはいえ、極端にストイックな制限はしていないよ。ジャパニーズフードはすごくいい。米も食べるし、たまにはラーメンやうどんを食べているよ。要はバランス。僕は何事も、“中庸”であることが信条だから」

週末は必ずモントークの海に入る。仕事の拠点であるブルックリンからは3 時間と離れているが、オンオフのスイッチとして欠かせないものになっている。夏のバカンスシーズンは、スプリングスで一ヶ月暮らす。

別荘のあるスプリングスは、食に意識の高い店も多く、自炊も外食も困ることはない。

「頻繁にお互いの店を行き来したりと、コミュニティが成立している。こういうつながりは、都会ではペースが速すぎて、なかなか難しいよね。ここだとゆっくりした時間が持てるし、本当のOFFになれる」

都会と、海がほど近い自然の中。NYの2つの街に根を下ろし、自分をアップデートさせる、クリスのライフスタイル。

「身体を動かさなかったら、疲れが溜まって、仕事にも集中できなかった。トレーニングして、食の管理も徹底すると決めたら、フィーリングが良くなって、すべてが変わったんだ。結局のところ、心身を鍛えることは“クオリティオブライフ”として、人生で一番大切なことだと思う。これはビジネスのキャリアにもつながっていく。自分の考えを整えていくことで、もっと強く集中できるようになるんだ」