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進行する気候変動を肌で感じているのが、海や山など大自然のフィールドで活動するパタゴニア(Patagonia)のアンバサダーたちだ。彼らが美しい自然を次世代に継承させるべく、個人で、あるいは地域社会や所属団体と取り組んでいるアクションとは。4人のアンバサダーの持続可能な未来に向けてのそれぞれの活動をご紹介しよう。

大池拓磨(山岳フリースタイルスキーヤー)

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大池拓磨さんは長野県北安雲郡小谷村を拠点に活動する山岳フリースタイルスキーヤー。年々少なくなっている降雪量に危機感を募らせている大池さんは、気候マーチや気候変動シンポジウムへの参加、環境問題に関するトークショーへの登壇など、スキーヤーとしてできるアクションの一環として環境問題に精力的に取り組んでいる。

一方で、スキー場を自然エネルギーで運営しようと署名活動を実施するほか、スノーコミュニティから生まれた環境団体「POW JAPAN」の一員としての活動、小・中学生に向けて行う課外授業など、ローカルの活動にも熱心。幅広い世代、ジャンルの滑り手が一堂に会するフリーライドイベント「JAPAN FREERIDE OPEN」にオーガナイザーとして携わるなど、後進や子どもたちが活躍するための環境作りにも取り組んでいる。

プライベートでは自宅にソーラーパネルを設置予定、持続可能型社会のあり方を問い続けている。

TAKUMA OIKE
パタゴニア・スキーアンバサダー。北海道出身。大学卒業と同時に白馬に移り住み山岳スキーに軸足を移す。フリーライドイベント「JAPAN FREERIDE OPEN」に携わるなど、後進や子どもたちが活躍するための環境作りに取り組んでいる。

石川弘樹(プロトレイルランナー)

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北長野や上越など、主に信越地域の山々を駆け巡るトレイルランナーの石川弘樹さん。地域社会のトレイルランニングへの理解を深めるため、また、トレイルを利用するランナーの安全を守るため、フィールドを管理する活動を行っている。具体的には利用者が少なくなって荒れてしまったトレイルをレースコースに利用したり、地域によっては自分たちでトレイルを整備したり他のランナーとともに広葉樹の植樹を行ったりなどして、山とトレイルの環境維持に努めている。

トレイルでは気候変動の影響を肌で感じることも少なくないそうで、「各地で大会やイベントを開催していますが、これはランナーやトレイルを擁する地域の方々に環境問題や気候変動に危機感を持ってもらいたいから。身の回りから環境に対する意識を変えていきたい」と語る。現在は大会が排出する温室効果ガスをカーボンオフセットできるような取り組みを検証中だ。

HIROKI ISHIKAWA
パタゴニア・トレイルランニングアンバサダー。神奈川県出身。アドベンチャーレーサーとして世界を転戦した後、日本初のプロトレイルランナーに転身。トレイルランニングの普及に力を注ぎ、全国で大会プロデュースに携わる。

倉上慶大(ロッククライマー)

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ヨセミテエルキャピタンの“The Nose”をオールフリー・ロープソロで登攀するなど、チャレンジングなクライミングで国内外の注目を集める倉上慶大さんは、山梨県の瑞牆山や埼玉県の岩場をメインに活動するロッククライマー。

昨年、原発事故で立ち入りが困難になった福島の岩場や、台風被害にあった奥多摩や秩父のクライミングエリアを訪れたことをきっかけに、「フィールドの環境を守るためのアクションとは」というクライマーとしての根本に向きあった。

以来、自宅の電力を再生可能エネルギーに切り替える、日々、ゼロウェイストを意識するなど、生活全般を見直したほか、クライマーとしての視点を活かし、家具の端材を再利用したクライミングジム用ホールドの開発を進めている。

「環境問題に関心を持ってもらうためには、まず、自然に身を置くことの素晴らしさを体感してもらうこと」と考え、様々な手段でクライミングの魅力を発信している。

KEITA KURAKAMI
パタゴニア・クライミングアンバサダー。群馬県出身。プロセスに重きをおいたシンプルなクライミングを身上としつつ、ハードなクライミングスタイルの追求で知られる。昨年発足した瑞牆クライミング協会会員としても活動中。

ケニー金子(オーシャンアスリート)

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日々、海に入っているからこそ肌で感じる、水温や気温の上昇、季節風の変化といった気候変動の予兆。次世代の子どもたちに愛する海を残すべく活動するのは、葉山町の大浜海岸を拠点に活動するアスリートで、パタゴニアのサーフィン・アンバサダーを務めるケニー金子さんだ。

「自分が海で活動することで、たくさんの人に海や自然に興味を持ってもらいたい」という金子さんが地元・葉山で企画するのが、子どものためのSUPレース、「Paddle with Aloha Classic」。海を楽しむ術を知ってもらうとともに、アロハの精神を伝えたいというこのレースでは、スポーツとしてのSUPの魅力を伝えるのみならず、参加者に環境にまつわるアクティビティも行ってもらう予定だ。

「実際にSUPに乗って風や海のエネルギーを感じてもらえれば、自ずと環境を守るアクションを起こそうと思えるはず」と金子さん。まずは愛する地元の海で、子どもたちとともに環境を守る。

KENNY KANEKO
パタゴニア・サーフィンアンバサダー。1988年神奈川県生まれ、南カリフォルニア育ち。幼少時にサーフィンと、その後アウトリガーカヌーとSUPに出合う。日本を代表するオーシャンパドラーとして世界の海で活躍中。

※2020/4/15発売「mark13号 “FACING THE CLIMATE CHANGE 生きるためのアウトドア”」転載記事