ランニングにまつわるストーリーを独自の世界観で語り、デザインやブランドに敏感なコアランナーに支持されているアメリカ・ボストンのランニングアパレルブランドTracksmith(トラックスミス)。トップアスリートと契約するなどハイパフォーマンス方面へも進出中の同ブランドですが、この冬登場した、ライフスタイルとランニングを結びつけるTracksmithらしいコレクションを紹介します。
通勤ランにフォーカスしたウールウェア
「RUN COMMUTE」と銘打たれたコレクションは、その名の通りの通勤ランを目的としたウェアたち。気温的にも、無理なくランニングを楽しめる冬に合わせて、ジャケット、ロングパンツ、ショーツが揃います。その最大の特徴は、ウール素材であること。よくよくそのフィーチャーをみてみると、その素材選びは腑に落ちるものでした。
そもそも、何をもって「通勤ウェア」を語るのは微妙なところです。別にどんなウェアであっても、職場まで着ていくのであればそれは「通勤ウェア」になってしまいます。シングレットとショーツ姿で出社できるなら、それも立派な通勤ウェアです。
とはいえ、会社にシャワーが無い、着替えを持って走るのが面倒くさい、通勤途中でカフェに立ち寄りたい、など様々な要素を考えると、自宅から会社まで行き、一日仕事をして、そして帰宅するまで1着で着続けられるにこしたことはありません。してみると、通勤ウェアとは、1着でパブリックな場所を違和感なく走り、過ごせるウェアということになりそうです。
そこにウール素材を採用する理由があります。Tracksmithが採用するメリノウールは、吸汗性に優れ、汗冷えしにくいうえに、天然の防臭性を備えた素材。いかにもスポーツウェアな化繊の光沢ではなく、つい優しく撫でたくなるウールの質感が見た目にも落ち着いています。ランニングウェアとしての性能をプラスするために、ザ・ウールマーク・カンパニーとの協働で素材を模索。ライクラ T400®ファイバーというポリエステル糸を混紡することで、伸縮性に富み、かつ撥水性まで備えたスポーツ・ウールウェアに仕上げられたとのこと。
走り心地と着心地は? インプレッション
今回は、RUN COMMUTEコレクションのトラウザー、RUN COMMUTE PANTSを実際ランニングしてテスト。トップスにも同社の定番ウールロングTシャツのHARRIER LONG SLEEVE(これもRUN COMMUTEコレクションに加えられています)、ソックスにはDAILY CREW SOCKと、Tracksmithのウールを全身で体感してみました。
通勤ランを想定して、息の上がらないジョグペースでのラン。トップスとボトムスともにウールということで、化繊ウェアを着た時のシャリシャリとした衣擦れの音とは無縁です。ウール素材がしっかりと寒気もシャットアウトしてくれて、冬の朝でも寒さを感じることはありません。
また、RUN COMMUTE PANTSにはTracksmithがこれまでのランニングパンツ作りで培ったパターンが活かされているのでしょう、足運びで引っかかることがなく、スムーズに走っていけます。それでいてシルエットも綺麗で、街中でこれがランニング用のパンツだと見破られることはまずないでしょう。
いや、一箇所、RUN COMMUTE PANTSがランニング用パンツであることを示すディティールがありました。左の裾をめくると、反射素材が顔を覗かせます。夜間の帰宅ラン時、後続のクルマやサイクリストにこちらの存在をアピールすることを考えての仕様でしょう。ただ、左側通行の日本では右裾の方が視認性は高そうです(どうせなら、両足に配置してくれたら最高でした)。このあたりは、アメリカのブランドなんだと微笑ましいところ。
いかにもなスポーツウェア然としない、それでいて快適にランニングできるパンツとしてRUN COMMUTE PANTSは活躍の場が増えそうです。履き心地が優しいので、ランニング時だけでなく、その後のオフィスワークでも着たくなります。通勤ランはしなくても、仕事帰りの皇居ランや、街中でのランニングなんて時にも、このスタイリッシュで街に溶け込むパンツの出番がやってきそうです。
RUN COMMUTE PANTS
サイズ:S、M、L、XL
カラー:NAVY、WALNUT
価格:¥21,331(税込)
製品ページ
※2021年1月現在、Tracksmithサイトは英語表記だが、日本円表示で購入することができる