「お守り代わりにザックに入れておいてください」という形で所持を推奨されるギアがありますが、今日は冬場のトレイルでのお守りギアを紹介したいと思います。
どんなに脚力のあるランナーでも、凍結した路面にはかないません。僕自身も過去に低山でしたが、途中つるっつるに凍っている箇所で先に進めずそのまま引き返したことがあります(ショップを始める前で状況を読む力も装備も共に甘かったです……)。
そんな時に役立つのが軽量のチェーンスパイク。トレイルランナーの中では国産大手ブランドのチェーンスパイクが割とよく知られてるかなと思うのですが、お守りにしてはちょっとかさ張る印象。一方他ブランドから出ていた軽量チェーンスパイクも販売を終了したりして、しばらく丁度いいものがありませんでした。
そんな中、2020シーズンより登場したBlack Diamondのトラクションデバイスシリーズがとても良い出来で新たなお守りポジションを獲得しつつあります。
まず紹介するのがこちら。
Black Diamond / BLITZ SPIKE TRACTION DEVICE
bit.ly/BD_BSTD
前足部に6本の爪がついたシンプルなチェーンスパイクですが特筆すべきはその軽さ、Mサイズで片足が57g(メーカー公表値)という超軽量設計なんです。
着脱は非常にカンタンで、トーループをシューズのつま先に引っ掛けて、かかと部のウェビングループを引っ張ってシューズのかかとに引っ掛けるだけ。ウェビングループは長めなので、グローブをしたままでも着脱が容易です。
付属のスタッフサックに入れたときの収納サイズは、手のひらに収まります。
お値段は4,400円(税込)。超軽量&コンパクトなだけでなく、お値段もお手頃でいいですね。
爪はつま先の6本のみ、メーカー的にも「雪国の観光地やハイキング、降雪時の市街地歩行に適した軽量でコンパクトなトラクションディバイス」という位置づけですので、トレイルにおいては積極的に履き続けるというより、コンパクトさを活かしてザックに忍ばせつつ、いざというタイミングで使う、まさにお守り的なポジションがはまるチェーンスパイクです。
次に紹介するのがこちら。
Black Diamond / DISTANCE SPIKE TRACTION DEVICE
bit.ly/BD_DSTD
上のBLITZ SPIKEは必要最低限の超軽量モデルでまさにお守りといった感じだったのに対し、こちらは冬場のランニングシーンを想定して開発されたトレランシューズ用のトラクションディバイス。海外でも発売前からメディアに取り上げられるくらい注目が高かったモデルで、RBRGでもおなじみのジョー・グラントが開発に関っています。
前後に14本のステンレス製スパイクが配置。堅雪やアイスバーンをしっかりと捉えて優れた安定性と足裏感覚を発揮し、フロントセンターポイントに配置された1本のスパイクが蹴り出しの駆動力を効果的につま先に伝えます。
そして、このモデル最大の特徴がアッパー部分の構造です。
実は軽量チェーンスパイクってメーカーが異なってもアッパー部分は割と似た構造のものが多く、大体のモデルのアッパーは全体がエラストマー(平たくいうとゴム)でできているんですが、このDISTANCE SPIKEはかかと側はエラストマーを使いつつ、つま先側にソフトシェル素材を使っているんです。
それにより生まれる使い勝手の良さは3つ。まず、伸縮性のあるソフトシェル素材はエラストマーに比べてフィット感が良く、つま先全体を包み込んでくれます。そして、DWR(耐久撥水加工)が施されているソフトシェルパーツは爪先部分からの雪の侵入も防ぎます。また、全体がエラストマーのものって収納する際に折りたたみにくいのですこしかさ張るんですが、ソフトシェルを使っている分コンパクトに収納することができます。
着脱もBLITZ SPIKE同様、シンプルで簡単。ソフトシェル部分にシューズのつま先を入れ込んだら、かかと部のウェビングループをひっぱってシューズのかかとに引っ掛けるだけです。
これだけの機能を備えつつ、重量もMサイズ片足115gとかなり軽量。総合力の高いチェーンスパイクと言えます。
収納時のサイズ感はペットボトルの半分くらい。
ちなみにBLITZ SPIKEとDISTANCE SPIKEのサイズを比較するとこんな感じ。
BLITZ SPIKE(左)の小ささが際立ちますね。サイズ感をものに例えると、BLITZ SPIKE(左)はおにぎりくらい。DISTANCE SPIKE(右)は形はちょっと違いますがソフトボールくらいです。とは言え、DISTANCE SPIKEも十分コンパクトかと思います。
なお、DISTANCE SPIKEのお値段は12,320円(税込)。BLITZ SPIKEと比べて3倍くらいのお値段なのですが、BLITZ SPIKEと同等かむしろちょっとDISTANCE SPIKEの方が売れているくらいです。まぁでもこのDISTANCE SPIKEにしかない構造や装着感を考えると納得もできるんですが。
今日は個性の異なる2つのチェーンスパイクを紹介しました。お守りのBLITZ SPIKE、ランニングに特化したDISTANCE SPIKE、ザックに入れておくことで、冬場のトレイルランニングがより楽しくなりそうです。
ただし、過信は禁物。ここで紹介した軽量チェーンスパイクは、あくまで簡易的なものということをお忘れなく。本格的な雪山縦走をする際には、登山用のアイゼン(クランポン)を選んでくださいね。
商品情報
Black Diamond / BLITZ SPIKE TRACTION DEVICE
bit.ly/BD_BSTDBlack Diamond / DISTANCE SPIKE TRACTION DEVICE
bit.ly/BD_DSTD