名前:腰痛探検家
著者:高野秀行
発行:集英社文庫
発売日:2010年11月19日
ページ数:304ページ
価格:600円+税
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新年を迎え、さぁ、動きだそう! と誰もが前向きにスポーツに取り組めるわけではありません。むろん、そうできるならば、ぜひそうしてほしいとも思います。ですが、お正月中だけはゆっくりカラダを休めたいという人もいるでしょうし、故障のため動きたくても動けないという人もいるでしょう。
先に忠告しておきますが、本書は前代未聞の腰痛治療体験記です。なにも劇的な治療方法などが書かれているわけではありません。ひとりの男性が腰痛という未体験世界に迷い込み、治療というジャングルをさまよう。西洋医学、東洋医学、民間療法、運動療法、ついには獣医に心療内科まで。特筆すべきは、その男性というのが、ノンフィクション作家の高野秀行だったこと。そして、この話のオチとなるラスト、腰痛を克服するに至った方法がonyourmarkユーザーのみなさんにとっても身近な、あるスポーツだったこと。
驚くことに、〇〇にはこれまでかかった民間療法と西洋医学の先生たちが語っていたエッセンスがすべて詰まっていた。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをして、それを面白おかしく書く」をモットーに執筆活動をつづける辺境作家(公式サイトより)、高野。彼のデビュー作は、大学在学中にUMA(未確認動物)を追った『幻の怪獣・ムベンベを追え』。また、『ビルマ・アヘン王国潜入記』『怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道』『世にも奇妙なマラソン大会』など、もはやタイトルだけで、いかにへんてこな内容かをお伝えすることができます。
腰痛持ちの方は同類の悪戦苦闘する姿に胸を打っていただけるかもしれません。また、腰痛持ちだけでなく故障など一切していない健康な方にとっても、これはひとつの壮大なるエンターテイメントとして楽しんでいただける一冊かと思います。
(文 onyourmark編集部)