(写真 坂本琢哉 / 文 荒川千絵 / 協力 ニューバランス)
連載第2回目となる今回は、すっかりローカル(ではないですが)気分に浸りきった編集部員荒川の、ブルックリンハーフマラソン(5月22日開催)レポートとなります!(前回の記事はこちらから)
折り返しがなく走りやすい1WAYコースが魅力
コースはブルックリンミュージアムを起点に、プロスペクトパークを1周して、コニーアイランドビーチまでの21.0975km。スタート前、目標タイムを1:40~1:50くらいに決めますが、調子にあわせて無理をしない、心に余裕を持ったレースに位置づけました。
午前7:00、レースがスタートします。回りを見渡すと、身長155cmの私からすれば強靭な肉体を持つランナーばかり。スタート時にどれだけガシガシこられるのか、と思ってましたが、みなさんマナーを守って走行。ストレスフリーなスタートです。
コースには1マイルごとと、5kmごとに表示が出ます。ローカルに人気のレースとあって、仮装をしているランナーはそこまで多くなく、地元の各々のランニングクラブTシャツを着て走っている人たちを多く見かけます。中にはすごく大きな国旗を持って走るマッチョなランナーも。レース中、彼にはさっそうと追い抜かされた次第。
セントラルパークとまではいきませんが、プロスペクトパークもすごく大きい公園でした。公園内の道幅は大げさに言うと、環七くらいはあったのでは? 走りやすかったものの、最初は長い上り坂、てっぺんを過ぎると長い下り坂と、アップダウンもそこそこありました。
公園を抜けると、2kmくらいはハイウェイとなります。ゴール地点であるコニーアイランドの看板を見かけると、まだ半分近く残ってますが、ゴールする自分を思い浮かべては、気合いを入れ直します。
ハイウェイを過ぎるとあとはひたすらまっすぐな道。やや下り坂だった気がします。地元ランニングクラブの応援団とハイタッチ。この次点で、14~15kmといったところでしょうか。心は完全に折れ、気がつけば、トイレ行きたいな、いやいや、もうちょっと頑張ろう、いやいやトイレ、、と逃げ道ばかりを探すような精神状態に。そこで、積極的に様々な応援団とのふれ合うことにしました。
もちろんメッセージボードも多くありました。ウィスキーを炭酸で割って、プハーと。とゴール後、駆けつけ一杯のイメージもしっかりと妄想し、前向きなイメージを自分に焼きつけます。しかし、16kmを目前にしてやっぱり途中でトイレに行って休憩。休んだんだからちゃんと走れ! と自分を追い込み、とにかく、残り5kmくらいからは、“無心”。前だけを見つめ、何も考えず、ひたすら時が経つのを走ってやり過ごしました。
今回のレースではプラカードを持ったペーサーがいたので、彼らに付いていくというのもアリでした。残念ながら、私はなかなかペーサーが見つからずできませんでしたが。ゴールであるコニーアイランドの最後の100mはウッドデッキの直進。
遊園地とか、海とか、最高なロケーションなのはわかっているのですが、余裕のない私は脇目もふらず、ゴールゲートへ。そして1:49でようやくゴールしました。
有料ですが、メダルにタイムを刻印してくれるサービスがあり、私も刻印してもらいました。すると、たった一つのメダルへの愛着がふつふつと湧き出ます。タイムの載った完走証とかだと、折れ曲がったり、なんかの弾みでなくしちゃうこともありますが、メダルであれば、保管もしやすい。良い思い出となりました。
ゴールを迎えたファストランナーたちに注目
今回、ローカルのレースということもあり、ブルックリンに住む人たちも多くレースに参加していました。彼らの飾らないランニングスタイルが素敵だったので、私の理想とする80分〜100分前後でゴールをしていったランナーたちをスナップします。
生活の中にランニングがある人たちを感じる
今回、地元の人々のために行われているレースに参加することによって、彼らのランニングへのモチベーションが垣間見えたような気がしました。彼らの目的意識のフィルターを通すと、いかにして生活の延長線上にランニングのファンな部分を見いだすかというところが根幹にある。
例えば、ランニングクラブのコミュニティに所属する人たちはランナー(記録を狙う)として、応援する立場として、各々コミュニティを楽しんでいる。楽しみのベクトルはランナーそれぞれであって、歳を重ねてランニングスタイルを持ち続けることや、レースを通してチャリティに参加する人、友人や恋人同士のコミュニケーションをレースを通して楽しむ人。
自分と比べると、彼らにとってレースは生活の中のもっとも身近な存在であるような気がしました。
今回のレースを始め、ニューヨークのロードレース全てを運営しているランニングクラブ”NYRR”のチーム。彼らは、ニューヨークにランニングを根付かせるために、ほぼ毎週末レースを開催し、いかに生活にランニングを根付かせるかを主体に考えています。そして、このチームとニューバランスが今年グローバル契約をしました。今後日本でもニューバランスが発信元となってランニングを根付かせる仕掛けが出てきそうな予感。今後の日本のレースの変貌が楽しみです。