秋に収穫された新米で醸造された酒を「新酒」という。晩秋の季語にもなっていることから、本来新酒の時期はまさに今。12月ごろには酒質の安定したものが出揃い、年が開けると新酒は最盛期を迎える。そんな新酒を仕込む際に出るのが、新酒粕である。発酵食品が見直される中で「酒の絞りかす」と呼ぶにはあまりにも失礼なほど、美肌効果からガン予防まで幅広い効果が期待されている。
アミノ酸が豊富な酒粕は、そのフルーティーな香りと濃厚な味わいで、栄養方面だけではなく、美味しさでも注目を集めている。クリーム状に水などでのばした酒粕を2割ほどバニラアイスクリームに混ぜ込んで再冷凍すれば、リッチな味わいの酒粕アイスクリームに。クリームチーズに酒粕をブレンドして作る、ベイクドチーズケーキやレアチーズケーキも人気だ。味噌と酒粕を混ぜた漬け床で鰆や鰤、豚肉や牛肉などを漬けこめば、風味豊かな焼きものが楽しめる。
酒粕を味噌と混ぜるだけのディップクリームは、まるで東洋のクリームチーズ。野菜スティックにつけていただくと、酒粕の知られざる一面を見た気がしてワクワクが止まらくなる。冬の定番である酒粕汁も、味噌で作るオーソドックスなものだけに限らず、クラムチャウダーのような洋風のスープに加えることでまた新しい発見が。酒粕の楽しみ方がグンと広がる瞬間である。