経済産業省の「動態統計」によれば、日本のフィットネスクラブの会員数は2008年が2,024,883人であるのに対し、2018年は2,528,445人と約50万人増加している。しかし、だ。FitnessBusinessの調査によれば、フィットネスクラブの参加率は総人口に対してわずか3.3%(※)だという。欧米が約18%であるのに対してこの数値はあまりに低く、さらに驚くことにこの数値は10年以上推移していない。つまり一度はフィットネスクラブに入会しても、トレーニング習慣が定着していないことになる。この約3%という数字を10%まで引き上げたいと取り組んでいるのが24時間365日営業の『エニタイムフィットネス』である。日本初の24時間フィットネスクラブとして2010年に東京・調布に国内1号店をオープンし、今春、500店舗突破した勢いのあるフィットネスクラブだ。
※出典:FitnessBusiness より
トレーニング習慣が根付かなかった日本に、エニタイムはなぜ定着したのか?
オープン当初は「日本には定着しない」と揶揄されたりもしたが、その後順調に店舗数は拡大。その理由を「フィットネスクラブを退会する理由を一つずつクリアにしていった」からだとクリエイティブディレクターの面木つよしさんは分析する。フィットネスクラブを退会する理由の圧倒的第1位は、「忙しくて時間が合わない」ためだそうだ。
ところが24時間365日営業のジムなら、残業で営業時間に間に合わないといったことがない。さらには夜間勤務の人や子育て中の親、早朝しか時間を確保できない経営者など誰でも今のライフスタイルを崩さずにトレーニング時間を組むことができる。
2つ目の退会理由は「会費が高い」」ため。地域によって相場はさまざまだが、総合型フィットネスクラブの場合、フルタイム利用でおよそ1万円弱であることが多い。これはマシンだけでなく、大浴場やスタジオ、プールといった設備利用料込みと考えられる。その点エニタイムはマシンとシャワー、更衣室のみというシンプルな設備。1店舗にスタッフを多く抱える必要がないためコストが抑えられ、低価格でサービスを提供できる。
3つ目の理由は「効果が感じられない」ため。まずトレーニングの目的を明確にする必要はあるが、もしもバルクアップが目的で効果が出ていないのだとしたら、ウェイトが合っていないかフォームが間違っている可能性が高い。その場合はトレーナーに相談すれば問題は解決する。
一方、ダイエットが目的で効果が感じられないとするなら、有酸素運動やスタジオプログラムに頼りすぎているかもしれない。ヒトはある程度の筋肉がなければ脂肪をうまくエネルギー源として利用することができず、痩せにくい構造になっている。マシンに特化すれば確実に筋肉量が増えて代謝効率が上がり、ボディメイクも成功する。
そして4つ目の理由が「引越し・転勤」。一見不可抗力のようではあるが、エニタイムは世界28ヶ国4,000店舗以上、日本国内だけでも約500店舗展開しており、会員であれば全店利用ができる。よって退会の必要がなく、転勤先、あるいは出張先でも同じような環境でトレーニングができる。このように一つ一つの問題を解決していったことで会員数は40万人にのぼり、さらには20~40代と働き世代の会員を掴むことに成功した。
「デジタル社会が加速する今、フィジカルの価値があらためて見直されています。初めはダイエット目的で入会しても、“自分自身と向き合う場”としてジムを利用する人が増えている。そうした場を提供するという意味でも、フィットネスを特別なステータスではなく、スタンダードな存在にしなければいけない。それが我々の使命だと思っています」
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