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駅伝で炸裂したロングスパート

「中村君が一気に台頭してきて、それまで絶対的なエースだった窪田君とも競り合うようになるんですよね」

 チーム内でも中村の存在感は増し、3年時の5月のゴールデンゲームズinのべおかの10000mでは、村山、窪田に先着、自己ベストとなる28分05秒79もマークしている。その後も、関東インカレ(2部)10000mで優勝、日本選手権10000mで5位といった実績を残し、大学生のオリンピックといわれるユニバーシアードではハーフマラソンで銅メダルに輝いた。

関東インカレ(2部)では10000mで窪田に先着。駒大勢としてワンツーフィニッシュを果たす

 その後の駅伝シーズンでも好調は続く。

「前年の出雲で駒澤は優勝候補だったのに、1区で出遅れて優勝を逃していたんです。駒澤には、出雲に対する苦手意識があったと思いましたが、それを払拭したのが1区の中村くんの走りでした。MGCで見せた中村君のラストスパートは、その出雲の1区で見せた2段階スパートを思い出させるものでしたね」

 まさにMGCの終盤の戦いを思い起こさせるようなロングスパートで、出雲も全日本も1区で区間賞。箱根は区間2位だったが、箱根史に残るハイレベルな1区での競り合いでも、最後まで区間賞争いを繰り広げた姿を記憶している人も多いのではないだろうか。箱根駅伝を終え、新チームが始動すると、中村は窪田からキャプテンの座を継ぐことになる。

「箱根の翌日、それまでのキャプテンの窪田君と、新キャプテンの中村君が一緒にジョグをしていたんです。そのシーンは個人的にぐっとくる場面でした」

大学駅伝三冠がかかっていた箱根駅伝で2位に終わった翌日、新旧キャプテン同士を撮影した1枚。

 マラソン挑戦を視野に入れ、2月には熊日30㎞に出場し3位に入った。ちなみに、このレースでは、MGC2位の服部勇馬(東洋大、現:トヨタ自動車)が日本学生記録を打ち立てて優勝を飾っている。
 さらに3月には世界ハーフマラソン選手権に村山や井上大仁(山梨学院大、現:MHPS)らとともに出場し、当時の自己記録となる1時間1分57秒で走っている。最終学年を迎えようとしていたこの時期、中村は絶好調だった。

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