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【K5について】
明治時代から日本の金融街として栄えた日本橋兜町。元銀行だった歴史的建築を改修し、ホテル、飲食、また植栽や空間の気鋭が集い作り上げた『K5』は、人の五感を刺激し街全体の活性化のハブとなる場所を目指す。

『K5』のオープンまでのストーリー

 
K5』の中核を担うのは、〈Backpackers’ Japan〉本間貴裕、〈Media Surf Communications〉松井明洋、〈InSitu〉岡雄大の3名だ。もともと友人だったという彼らは〈FERMENT〉というチームを組み、それぞれの得意分野を活かし『K5』という場所を作った。オープンに到るまでの話を聞いた。

〈FERMENT〉のメンバー。左から、岡雄大、本間貴裕、松井明洋。

本間:「2年前に平和不動産さんからお声がけいただいたのが『K5』のスタートでした。そこで初めて物件に出合って、かなり良いと思ったんですが、一階と地下階がかなり広かったので自社でやるには手に余るなと。そこで、友人のマットさん(松井明洋さん)に声をかけました。彼の会社〈Media Surf Communications〉は、『COMMUNE』や『ファーマーズマーケット』を手がけていて、賑わいや人が集う状況を作るのが上手な印象でした。彼と組めば、地下一階が良い空間になるんじゃないかと思って。今回はとても大きなプロジェクトで、多くの人たちが関わっている。そこで全体の進行が重要になってきます。大きい規模のお金も動くので、夢物語ではなく本当にホテルと複合施設をオープンさせるところまで持っていく役割が必要だと感じてユウタ(岡雄大さん)を呼んで3人でタッグを組んだというわけです」

大正12年(1923年)築の元第一銀行の建物。西洋建築の様式を多く取り入れ、当時としては最先端の技術が用いられた。

松井:「〈FERMENT〉では、本間がプロジェクトをイニシエイトする役割。アイデアを出してそれに対してみんなが被せていく。岡のチームはファイナンスや全体を見ながら、プロジェクトがどう進んでいくべきか。ビジョンを明確にしながら、タイムラインを同時にみていく。僕らのチームはソフトコンテンツが得意なので、どういったものが面白いか、全体のブランディングをお手伝いしていきます」

飲食で『K5』を盛り上げる先鋭のコンテンツ

地下一階の『B』は、タコスやナチョスを摘みながらビールの飲み比べができるビアホール。ブルックリンのクラフトビールメーカー『Brooklyn Brewery』の世界初のフラッグシップ店となる。音楽ライブのイベントも開催予定。

ディナーは、〈Kabi〉の遺伝子を引き継いだレストランCAVEMANでコース料理とナチュラルワインを楽しみたい。隣のワインバーではアラカルトも気になるところ。楽しみは夜だけでなく、ホテル宿泊者には〈CAVEMAN〉の朝食も提供される。

食事をした後は、青淵(あお)へ。シックな赤を基調とした本に囲まれた空間の中で、アジアのお茶や漢方をベースにした天然のカクテルドリンクやお茶を味わうことができる。ライブラリーバーのプロデュースを務めるのは、ゴールデン街のレモンサワー専門店の田中開と、バーテンダーの野村空人。

コーヒーショップはSWITCH COFFEEの3店舗目が入っている。

松井:「まず地下一階の『Brooklyn Brewery』が決定して。ちょうど彼らが場所を探していたんですね。NYの人って地下嫌がるんですが、彼らをここに連れてきたら、いいねやろうよって」

ビアホール『B』」


『Caveman』オーナーソムリエ 江本賢太郎と、オーナーシェフ 黒田敦喜/『CAVEMAN』メインダイニング。

ーー編集部でも〈Kabi〉が「2号店」を出すらしいという噂を聞いて、どういうかたちで2号店を出すのだろうと気になっていたんですね。

過去記事KABI 日本の食を見つめ直した二人の可能性

過去記事KABI IN COPENHAGEN 〈Kadeau〉で実現した1日限りのポップアップ

松井:「『CAVEMAN』ダイニングは、ノルウェーの『Maeemo』のスーシェフだった黒田敦喜くんをシェフに立てています。ソムリエは、『Gaggan』にいた人が日本に戻って来たのでお願いしています。そこに江本賢太郎くんがサポートに入りながらワインバーを回していく。『CAVEMAN』は正確に言うと〈Kabi〉が新しく作ったレストランです」

ーー目黒の『Kabi』のコピーとしての2号店ではなく、意志をついだ別のレストランということですね。

松井:「彼らが素晴らしいのは、この場所、建物、チームでやるっていう文脈をいかに料理にしていくかということを、彼らの中でコミニケーションしている。まさに目黒と同じものをやろうっていうのではなく、ここでの意味を自分たちの新しいお店にしていくスタンスです」

コンクリートの建物に緑を植える

建築と空間デザインを監修したのは、スウェーデン・ストックホルムを拠点に活躍する建築家パートナーシップ〈CLAESSON KOIVISTO RUNE〉通称CKRだ。

本間:「“Returning to nature”、自然に還るということをデザインを担当したCKRの3人と話しました。証券取引所の裏にある築97年の建物で資本主義の真っ只中を見て来たビル。このビルがさらにこれから次の90年を過ごすとしたら、どうなりたいかなと考えたときに……緑が生えてきて、緑に覆われていって少しづつ自然に還っていくようなの人生、いや、ビル生かな?そんなのが嬉しいんじゃないかなっていうのが出発点です」

岡:「CKRのオラが、“緑をここに植える”ことがオリジナルコンセプトとして紹介していたんですけど、もう少し遡ると“Revitalize”っていうことがあるんです。命を吹き込み直すということだと思っていて、その実現を考えたときに「自然」に行き着いた感じかなと。
人をここに呼び戻す、そのためにまず自然を植えて、生きている環境があって、植物を愛する人が集まってきて……。その流れを“Revitalize”と呼んでいます」

客室を含め建物全体に巡らされた緑の植栽デザイン・キュレーションは、山梨で造園業を営む〈Yard Works〉が担当している。

細部の客室設計『HOTEL K5』

――客室を拝見したのですが、青い染めが美しいカーテンや、畳のカーペットなど日本のモダンな雰囲気を感じたのですが、こちらのイメージは〈FERMENT〉の提案ですか?

本間:「CKRのオラのアイデアですね。実は僕らからするとちょっと不安だったというか“なんちゃって日本”っぽいものってかっこ悪くなるじゃないですか。それを日本でやるということに関しては、大丈夫かなって思って心配してたんですよ実は(笑)。元々オラ自身が日本のことが大好きで、桂離宮へのリスペクトや、「日本というのは青の国なんだ」と。彼からの視点、外から見た日本の美しさですよね。それは僕らからはできなかった提案だった。それで完成してみると……すごく綺麗ですよね。染め。畳を真似たカーペットなんて誰も思いつかないですよね。そこが彼らのセンスです」



岡:「日本を表現する、と言っても、意匠(見た目)を追って作り変えているのではなく、日本建築の“手法”を使って建築を表現している。青染めのカーテンも蚊帳からインスパイアされていたり、廊下の窓の磨りガラスは、首都高速が見えないようにしながら、完全に覆って隠すのではなく外の光を取り込み、空間に艶を出している。日本の「障子」ですよね。でもあの廊下を見て「障子だ」とは思う人はいない。「蚊帳」「染物」というものを源流まで掘って、彼なりに落とし込んでいる。デザインを追っていくと日本の文化を意識して作っている。そのわかりやすさと、わかりにくさの曖昧な微妙なところをついているのがニクイところです」



2〜4階を占める『HOTEL K5』は全20部屋のゆったりしたサイズの客室のブティックホテルとなっている。

命を吹き込まれた建物が『K5』として生まれ変わるまで。楽しみなのはこれからだ。機能が混ざり合い、感性が刺激し合うマイクロコンプレックスで、これから多くの人やモノが出会い循環していくだろう。そして、この場所に植えられている植物の成長と共に、ゆっくりと葉を伸ばし大きくなる新しいコミュニティの広がりに期待を寄せたい。

K5(ケーファイブ)
東京都中央区日本橋兜町3-5
03-5962-3485
WEB:k5_tokyo.com
Instagram:@k5_tokyo

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