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OYM:現時点のZwiftの成功は予想していた通りですか?

エリック 「私は野心家でもあるので、予想していたところはもっと大きいところにある(笑) でも今の状態はOKだと思う。このコミュニティの成長に関しては、先ほど言ったクラブ機能の実装がさらに加速させると思う。Zwiftについて重要なことは、その成長がサスティナブルであることなんだ。自分たち主導での成長ではなく、コミュニティの成長があって、自分たちも成長する、というスタイルだね」

OYM:世界中にユーザーがいるかと思いますが、興味深いユーザーや傾向などはありますか?

エリック 「大勢のユーザーが世界中にいるね。ロシアや中国、……北朝鮮からのアクセスもあった。海洋上から、つまり船からのログインも、完全に人里離れたエリア……おそらく南極からも」

スティーブ 「人口比で一番Zwift使用率が高いのはアイスランドなんだ。ここも島国で、他から地理的に離れている環境だと言えるね」

エリック 「最初に話したように、もともとは都会に住んでいる、なかなか外に乗りに行けない忙しい人のためのサービスとして考えていたけど、オーストラリアでZwiftがすごく盛んだったりもする。外で乗るのに良さそうな環境にいる人もZwiftに熱中しているのは意外だったね」


OYM:Zwiftによって、現在、何を達成したと誇れますか?

エリック 「フィットネス、体重を減らしたいなど目的は様々だけど、人々がアクティブに過ごす時間を増やしたのはひとつの達成だね。メンタルヘルスの改善にも役立ててもらえているとも聞いている。シンプルに言えば、人々のモチベーションになっているということだね。何千ものライダーが、Tour de Zwiftのようなライドに参加しているのを見るのは、壮観だ。

もしあなたが自転車を買ったばかりの初心者なら、外で乗る練習に1年間を費やして、それで初めてレースデビューする気になると思う。でもZwiftで乗り慣れれば、その期間を1ヶ月に短縮できる。人々がレースに参加するためのプロセスをより早くできるんだ。安全に、便利に、そして楽しく練習することでね」

トッププロ選手もトレーニングにZwiftを活用し始めている

スティーブ 「ローンチしてからまだ数年のサービスだが、今ではツール・ド・フランスに出場する選手の50%以上が『ズイフター』なんだ。世界最高峰の職業自転車人たちが、自発的に使用してくれていることは誇らしいね。トレーニングのプラットフォームとしてオーセンティックなものになってきているということだと思う」

IOC会長が、Zwiftを「これはシミュレーションゲームではなく、スポーツだ」と発言。オリンピック種目になる可能性すら出てきている。
 

Zwiftで知り合って、結婚する時代

エリック 「これもコミュニティということになるが、Zwiftは実際に使っている人がオススメする口コミでの広がり方が大きい。知人や選手が勧めるものは、何よりも信頼できるからね。そして一緒になって楽しむことができるんだ。知っている限りで、Zwiftで知り合って結婚したカップルが2組もいるんだよ。

Zwiftが好き、というところから始まったファンが作るサービスも多いんだ。Zwiftの使い方を紹介したWhat’s on Zwiftとか、レースの結果を順当に紹介するZwift Powerとか、Zwift Insiderという最新情報を扱うメディアがあったり。Zwift Castというポッドキャスト番組も」

Zwift CEO エリック・ミン氏

同時に、子どもたちはどんどん使ってもらいたいから“Free for kids”として16歳以下の子どもは無料で使用できるようにしている。利用者はすでに数千いる。申請のプロセスも、より利用しやすいようアップデートしていくつもりだ」

外で乗るのは「特別な経験」だからこそ、インドアトレーニングで準備する

OYM:サイクリングの良さには外を走ることもあると思います。エリックさんにとってのサイクリングとは?

エリック 「外を走るのはすごく面白い。だが自分のライフスタイルでは、十分な時間がとれずインドアでのトレーニングを行なっている。とはいえ、外を走る素晴らしさを知っているから、今年はマヨルカ島一周312kmのライドの予定を入れているし、ダーティカンザ*に出るためのインドアトレーニングをしているところだ。私たちは全員外で乗ることが好きなんだよ。

ダーティカンザ…アメリカ・カンザス州で開催される世界有数のグラベルレース。2020年現在、ロードのトップ選手がこうしたグラベルレース専門に転向することも増えてきた

週に5日(!)はZwiftで汗を流すというエリック・ミン氏

私の個人的な思いとしては、外で乗るというのは「特別な経験」だ。記憶に残る、素敵なエクスペリエンスという意味でね。コースやイベントなど、Zwiftが多種多様なオプションを持つのも、その素敵な経験に近づけたいから。Riding outdoor at home、『家なのに外で乗っている』と感じてもらえるようにね。

一度でもサイクリングをしたら、あなたは生涯サイクリストだ。サイクリングとは単にスポーツじゃなくて、生き方のこと。私にとってのサイクリングとは、旅だ。いろんな人々と出合い、いろんな土地を知り、素敵な時間を過ごす。インドアのトレーニングは、そうした旅へと自分を連れ出す一番効果的な方法でもあるんだ」

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