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エリウド・キプチョゲが非公式ながらマラソン2時間の壁を破ったその時に履いていたあのシューズが、遂に公式に姿をあらわした。〈ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%〉は、さまざまな憶測を呼び、そのスペックについて数々の非公式情報が飛び交ってきた。ある意味、今回の発表はその答え合わせとなるだろう。

前足部にエア×2ユニット

まず外観からすぐにわかるのは前足部にエアユニットが搭載されていること。これはキプチョゲが履いた時、すぐに目についた部分だろう。裏から見ると一目瞭然だが、〈ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%〉には前足部に2つのエアユニットが搭載されている。これは、反発性、クッション性をさらに追求した結果だ。

ナイキのアドバンストイノベーションチームのメンバーでもあるキャリー・ディモフは次のように話す。

「ヴェイパーフライの開発へと繋がった画期的な研究から、マラソンシューズに関する全く新しい考え方が生まれました。プレートとフォームをシステムとして理解し、このシステムをさらに効果的に使う方法を考えました。そこから、ランナーのエネルギーを蓄えて戻し、より多くのクッショニングを提供するためにナイキ エアを付け足すアイディアが浮かびました。」

カーボンプレートは一枚、Xフォームを増量

話題となっていたカーボンプレートに関しては、一枚の〈フルレングス カーボン ファイバープレート〉が採用された。前足部を硬めにすることで推進力を感じさせると同時に、システムの一部として機能することで、足首関節の負荷を抑える効果がある。

さらに見た目からもわかる通り、〈ズームX フォーム〉は増量され、かかと部分の厚みは増している。その厚さは39.5mm(メンズ26.5cmの場合)と発表された。

アッパーには軽量な〈アトムニット アッパー〉を採用。軽量なフライニットでありながら、水を吸収せず、雨や給水ポイントで濡れても重くなることはない。

公式レースでの使用可否の行方

ナイキのプレスリリースでは、「競技において測定可能なパフォーマンスの優位性をランナーに提供するフットウェア」を発表するとしている。さらに「エリウド・キプチョゲ選手が最初に使用したネクスト%のプラットフォームは、彼の長距離での大きな成功に続き、これからは他の競技にも広く使われるようになります」とも伝えている。これはつまり、国際陸上連盟が示したシューズに関する指針をクリアしていると読み取れる。正式な発表を待ちたいが、〈ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%〉がこの夏、アスリートの足元を支える可能性が見えてきた。

トレーニングモデル〈ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%〉も同時発表


同時に発表された〈ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%〉はアルファフライに対して、トレーニングモデルという位置付け。ネクスト%システムがトレーニング専用にチューニングされている。プレートはカーボンではなく合成素材で、長距離でも快適に走れるように柔らかめになっている。特徴的なのはフォームの組み合わせ。中足部と前足部のプレート上にはエネルギーリターンと反発性のある〈ズームXフォーム〉を、かかとには衝撃からの保護と耐久性を高めるため〈ナイキ リアクト フォーム〉が採用された。

また、〈ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト% フライイーズ〉という、パラアスリートでも締め付けしやすいシューレースユニット〈フライイーズ〉を採用したモデルも用意されている。

数々のレースで実績を残し、圧倒的な支持を得ている〈ナイキ ヴェイパーフライ ネクスト%〉に、高い反発性を持ったエアユニットを組み合わせ、全体的なチューニングを行なった〈ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%〉。エリウド・キプチョゲが結果で示した通り、そのパフォーマンスは折り紙つきだ。スポーツ科学とデザインの融合がまたアスリートを前進させる。