コロナ禍に見舞われ、異例づくめとなった今回の東京マラソン。開催の可否や沿道での応援に関してなど様々な議論を呼んだ。そんな中ここに照準を合わせてきた選手たちは、そうした外部要因に惑わされることなく自分たちの力を出し切ったように見える。レースの詳報は追ってレポートするとして、まずは今回、自身の日本記録を更新し、東京オリンピック出場権に限りなく近いた大迫傑選手の会見をお伝えしよう。
【ゴールでの涙に関して】
結果的に4番ではあったんですが、東京オリンピックに一歩近づくことができて良かった。いろんな感情があったけど、プライベートなので内緒にさせてください。
【22km付近で集団が崩れた時に考えていたこと 日本記録について】
記録は考えていなくて、最後の3、4kmでいけるのかなと思いました。離れた時もリラックスして、一回休んで自分のリズムでという感じでした。
【MGCとの違いは?報奨金について】
ペースが速かったので後方でレースを見れました。(MGCと比べて)ペースが速い分、どっちがきつかったかと言われると、どっちもどっちです。MGCも頑張ったけど、今回も頑張れて記録が出て良かった。MGCを終えて、緊張感のあるレース終えてほっとしました。(1億円は)スクールや来年の大会もあるので、自分だけでなくこれから育っていく選手のためにも使い道があるんじゃないかと考えています。
【ケニア合宿の成果】
何か練習を変えたわけではないですけど、質の高いボリュームのある練習ができた。何かを変えたのではなく地道にやってきた。
【32km付近で追いついた時、すぐ前に出た判断は?】
追いついたときに集団のペースが遅かった。集団が井上も含めてきつそうだったので、チャレンジしてみようかなと。いつもなら休むところですが、ケニアで一人で走り、一人で耐えることに慣れていたから残り10km(一人で)いけると考えました。
【MGC後、ダイナミックなフォームを見直したいと話していたが】
練習の中ではランニングエコノミーを意識してきましたけど、今回のレースでそれができたか、まだレースを見返していないのでわからないのが正直なところです。
【ウィルスの影響】
難しい質問です。自分のことでいうと、開催される以上はしっかり集中して臨みたいと考えました。
【井上選手が「抜かれた後後ろから見ていて大迫選手はんぱない」と述べていたが】
それとは関係ないですが、あらゆる選手が、東京マラソン、琵琶湖へ緊張感を持って、ベストを尽くして一緒のスタートラインに立てたのは価値があると思っています。井上選手のそうした感想も嬉しいです。
【シューズについて】
マラソンを42km走る以上疲れがないとはいえない。レース毎に終わった感じは違うので、どれだけ新しいシューズの効果があったかは今の時点では言えないです。新しいシューズを使えるのは嬉しいことですし、これからその効果について考えてみます。
【世界との距離は】
普段から海外を拠点にやっているし、ケニアに行ったこともあって、単純に自分が速くなっていく、それを追求していく。今回は4番だから改善してきたいですし、現時点で東京オリンピックに近い位置にいるので、自分を信じて準備していきたいと思います。
いつもの大迫選手らしい、冷静な自己分析の中にも大舞台を終えてほっとした様子が見て取れた。また、多くの選手がこの機会に自身の記録を大幅に伸ばしたこともファイナルチャレンジの成果だろう。参加した全ての選手を讃えたい。