3月8日は女性の生き方を考える日、国際女性デー。この機会にスポーツを通じてジェンダー平等について考えてみませんか。
「This Girl Can」は、全ての女性が運動をすることを後押しするキャンペーンです。2015年にイギリスのスポーツ普及に関する政策を担当する公的機関、スポーツイングランドが始め、現在も継続しています。
This Girl Canが生まれた背景
75%の女性がもっと身体を動かしたいと思っている一方で、結婚や子育てなど、常に変化する女性の環境が、運動することの障壁となっています。また、運動を躊躇する理由として、スポーツをするときに周りの目を気にしている女性が多いことが分かりました。
運動中の汗、動くことで揺れる身体、初心者で上手くできないことや、はたまたあまりに上手にできてしまうことをどう思われるのか、家事や育児を差し置いて運動していると思われないかなど、周囲にジャッジされることを恐れているのです。
This Girl Canの活動
年齢や体型、暮らしぶりも様々な女性がスポーツを楽しむ姿を動画や写真で伝えることで、運動することを躊躇っている女性に寄り添い、背中を押しています。
日常の様子をリアルに伝えることで多くの女性から共感を集め、人目を気にせず運動を楽しむ勇気を与えてくれます。
また、自宅でできるオンラインエクササイズの配信や、SNSを通じた発信も行っています。ストレッチやHIITセッション、「10分以下」「子供と一緒に」などプログラムは多岐にわたります。
ロンドン五輪がもたらした市民のスポーツ参加
2012年に開催されたロンドン五輪では、レガシーの一つとして「スポーツの振興」が掲げられました。アスリートレベルに止まらず、一般の人々が生涯に渡るスポーツ習慣を始めること、特に若者がスポーツ習慣を始めることを促すものでした。ロンドン五輪を経て現在では、This Girl Canをはじめとする性別に関係なくスポーツをすることへの取り組みも強化されています。
また2022年北京五輪に向けて、2004年アテネ五輪近代五種で銅メダルを獲得したジョージー・ハーランドさんが英国チーム統括責任者に選出されました(東京五輪では副統括責任者)。女性がこのポジションに選出されるのはイギリスでは初めてのことであり、今後もジェンダーギャップへの取り組みが期待されます。

日本のスポーツ界におけるジェンダーギャップ
日本でのスポーツ界におけるジェンダー平等の取り組みは、東京が五輪開催地として選定されてから国際社会から注目が向けられ、政策面での変化が進められてきました。しかしながら、記憶に新しい東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会前会長の女性蔑視と見られる発言にあるように、前時代的なジェンダーへの認識はまだまだ払拭できていないように見えます。
現代社会にも現代のスポーツ社会にも、様々なジェンダーギャップが存在し、スポーツは男性のものという固定概念は今も根強く残っているのが現状です。This Girl Canはこの問題に一石を投じ、性別やポジションに限らず誰にでも好きな姿で、好きな形でスポーツを楽しむ権利があること伝えています。女性も男性も全ての運動する人を、皆が温かい目で見守ることが当たり前となることが重要です。