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ゲーレン・ラップの活躍が背中を押した

復帰の決め手となったのが10月のシカゴマラソンです。8月8日(東京オリンピック男子マラソン)が終わって休んだり、シュガーエリートキッズの活動をしたりであまり走る機会はありませんでした。9月末に娘の誕生日で米国に戻る機会があり、そこでもういっかい走ってみようかな、ワークアウトも週1、2回入れてみようかなという気持ちになり、そこそこ練習ができていました。

その中で10月の半ばにシカゴマラソンを家族で観ていて、オリンピックで8位入賞したゲーレン・ラップ選手が、2ヶ月という短期間で仕上げて3位に入賞してた。それも力強い走りだった。それを見てかっこいいな、自分も見てくれる人たちがわくわくしてくれるような場所に立ちたいな、と思ったのが決め手になりました。そこに対してのインスピレーションの熱量が、自分の中でここを超えたら行動しようというラインをはるかにこえていた。それでもう一度挑戦してみようかなと決めました。

僕自身トラックをやっている時も彼が目標であり憧れでもあった。身近な存在で、僕にも、オレゴンプロジェクトというチームにもしっかりとした姿勢を見せてくれた選手。2、3年前は故障で悩んでもがいているのを見ていたので、そういう選手が活躍していて刺激になりました。

復帰を一番に伝えたのはコーチのピート・ジュリアンです。ちょうどナイキトラックに行くという話をコーチにしたら「もし練習内容が合えば他の選手と一緒にワークアウトしよう」と言ってくれて、その時に「復帰しようと思うんだ」と話しました。そうしたら「いいんじゃない」って喜んだ感じで答えてくれた。僕自身が早く誰かに言いたかったんですね。自分の中に留めておくとその熱量も下がってしまうんですけど、自分の中でやった方がいいなって感覚だったので、すぐピートには話しました。

現役を退いて見えたもの

いままで競技としてしかランニングと向き合ってこなかった。現役を退いて文化としてのランニングに触れて、楽しんで走る、終わった後のお酒のために走る、ご飯を美味しくするために走る、コミュニケーションの場として走るというところを見て、ランニングって素晴らしいなって思うと同時にそれだけでは物足りなくなって、競技としての刺激も欲しいなとなったというのもあります。

(現役を一度退いた経験を活かして)自分自身を突き詰めるだけではなく、ファンと協力し合いながらランニングを良い文化にしていく活動をしたり、後輩たちに自分自身がこれから世界のトップレベルを目指していく選手として背中をみせてひっぱっていくことができれば日本陸上界が強くなっていくんじゃないかという思いもありました。

ひとつは自分自身がやり切れていない部分、どこまで世界と戦えるのかという挑戦をさらにしたい。それにこれから育っていく選手たちに途中まで伴走できれば。自分自身も競技者として狙いたいし、後輩たちにもトップを取ってもらいたい気持ちがより強くなりました。

常識を疑ってみる

オリンピックには出たい気持ちはありますが、そんなに甘くないのは自分自身が一番わかっています。今年一年はスケジュールをしっかりして、向かってみる。競技は第一なので、来年再来年とよくなるようにしていきたい

(「ロス五輪は年齢を重ねて体力的に衰える中での挑戦になるが」という質問に)やってみないとわからないですよね。衰えってのは一体なんなのかっていうのを質問している方はわかってないと思うんです。(マラソンは)30km過ぎからがきつい、別の世界だって言ってる人と同じように。そこはまずは常識を疑ってみるっていうのをしてみたら、競技をしていく上で楽しい部分になるのかなって思いますね。

緊張とドキドキがいまは嬉しい

(「現役時代は練習メインのストイックな生活をしていたと思いますがその生活に戻る難しさというのはあるでしょうか」という質問に)なんで僕が練習メインのストイックな生活だって知ってるんですか?ってことですよ。僕自身は現役中もうまく抜いてやってきましたし、バランスだと思うんですよね。よりやることが増えたので、これからはそのバランスを取ることが難しくなると思うんですけど、集中するときにはしっかり集中してやっていけたらしっかり結果を残せんるんじゃないかなと思っています。

(レースの緊張感に格別なものはありますかという質問に)大会はまだ未定なのでそのドキドキはまだ味わえないですけど、練習に向かうときに朝、歯を磨きながら緊張というわけではないですけどドキドキする。いや、緊張ですね。ここ最近経験するわけですけど、そういうのって非常に競技の中だけというか、普通に生活していたら味わえないドキドキで、それがプレッシャーになりつつも心地いい感じは、ちょっと嬉しいなと思っていますね。

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