「SHINETSU FIVE MOUNTAINS GROUP FKT」に挑戦したランナーたちの足元を支えたのは、Columbia Montrailが2022年に満を持して放つ〈Trinity AG”トリニティ AG”〉だった。ここでは、公開となった後編動画を観つつ、このシューズで信越五岳地域を走ったランナーのインプレッションを訊く。
三浦裕一「長いレースで活きるバランスシューズ」
コロンビア モントレイルのシューズで〈Trans Alps〉というグリップの強いシューズがあります。トレイルでは具合がいいのですが、舗装路で少し引っかかる感覚が気になっていたんです、今回、この〈Trinity AG”トリニティ AG”〉を履いて走ってみて、〈Trans Alps〉のグリップ力を持たせつつ、舗装路での引っ掛かりのないバランスの良いシューズに仕上がっていると感じました。ミッドソールにプレートが入っているので、地面への反発も感じ、脚がなめらかに前に進んでいきましたね。ロードランニングシューズに採用されているようなカーボンプレートシューズの剛性感ではなく、ほどよい反発です。
あと、ミッドソールの素材が固めなのか脚への突き上げとダメージを感じにくかったのも発見でした。これは使いやすいシューズだと思います。このシューズが活きてくるのは、距離の短いレースより長いレースだと思います。今回、路面がぬかるんでいたり滑りやすい所もあったのですが、こうした悪い路面で本領を発揮するシューズだと感じました。2022年はこのシューズを履いて長いレースを勝負しようと思います。
大塚浩司「お気に入りシューズがさらにオールラウンドに」
今回のFKTで初めて履きました。僕の足は幅広なのですが、それでもスポっと入ってくれてフィット感が良かったです。見た目はワイドでも実際は幅狭いシューズが結構ある中で、これはしっかり幅広の作りをしていて、日本人の脚に会うでしょうね。あと、今まで履いたシューズと比べると反発を感じました。ロッカー構造も効いています。足裏に厚みがあって自然と転がる感じは履いた瞬間からわかります。今回はコースの都合上、下りをメインに走りましたが、脚を置くだけで自然に転がってくれるので推進力をたっぷり味わいました。
カカトの収まり具合も今までのシューズと比べて良くなっています。自分はカカトに重心をかける走り方をするのですが、カカトの収まりと安定感がいい。従来のシューズより広い作りになっていることに起因するであろう安定感があります。
コロンビア モントレイルの既存のシューズと比べると、カカトの収まり具合は〈Bajada〉に近いですね。その安定感からもとから愛用しているお気に入りシューズですが、〈Trinity AG”トリニティ AG”〉はよりオールランドに使える印象です。初心者の方に最初の一足としてお勧めしたくなります。それでいて重さを感じないのもいいところです。最軽量級シューズにはかないませんが、履いた瞬間に感じる軽さは、ランを軽快なものにしてくれるはずです。
枝元香菜子「今までにないコロンビア モントレイルのトレイルシューズ」
普段は〈F.K.T Lite〉を好んで履いているため、厚底の〈Trinity AG”トリニティ AG”〉はどんな感触が気になっていましたが、足全体を包み込むようなフィット感が最高でした。今回の信越五岳のグループFKTでは、ゲレンデ、林道、ロード、トレイルとさまざまな道を走りましたが、どんなシチュエーションでも安心して走ることができました。ぬかるみや濡れた木道も、高いグリップのおかげで滑りませんでしたね。全体的に「走れる」コースでしたが、シューズが推進力を生み出してくれるおかげで足が運びやすく、終始快適に走れました。
トレイルランニングシューズ選びにおいて、私は軽さと走りやすさを重視しています。ロード用のランニングシューズに近い感覚のものが好みで、細身でホールドのしっかりしたシューズが自分には合っています。距離が長く走る場合は、そこにさらにクッション性も求めます。〈Trinity AG”トリニティ AG”〉はクッションがしっかりしているうえ、軽いというのが何より好印象でした。それでいて推進力が得られる構造が実現しているのもグッドポイント。ホールドがしっかりしているので足のブレが少なく、下りも気持ち良く走れましたね。総じてバランスのとれた、今までにないモントレイルのトレイルシューズだと思いました。
石川弘樹「着地の安定感は素晴らしいの一言」
足全体をソフトに包み込む、これまでのコロンビア モントレイルのシューズにはないフィット感を覚えました。斜めにとられた幅広のシューレースが、甲へのピンポイントでの圧を散らしてくれているため、足全体がホールドされているのでしょう。ランの動きによって足が左右に振れたり着地の衝撃でブレることなく、シューズの中でどこかに当たりや抵抗を感じることもありません。ヒールの収まり具合もよく、踵から甲、指先まで高いフィット感のシューズに仕上がっています。
走ってみて、今までにないヒールの幅と厚みがもたらす着地の安定感は素晴らしいの一言。路面からの衝撃や凹凸の抵抗を見事にブロックして、路面状況に対して怖いもの知らずでスピードに乗せて走ることができます。ミッドソールの厚みとクッション性によるソフトで気持ちのよい着地感も好印象。この反った形状のミッドソールに樹脂製の内蔵プレートを搭載したことで、着地から蹴り出しへの流れの中で足が軽く感じます。従来のシューズでは蹴り出しで自分の力を地面にしっかり伝えて推進力を得ていたところが、足の運び出しが軽やかに、柔らかくなったという感じです。アウトソールも土、砂利、岩、草、木道、泥濘といったコンディションでもしっかりとグリップを効かせてくれ、安心感を持って走ることができました。
須賀暁「日本の100マイルレースにフィットするシューズ」
このFKTで履く前から、いちランナーとして注目していたんです。現在のトレンドであるドロップのしっかりある転がるシューズで、カーボンではない樹脂のプレートが入ったことでどんな走り心地になっているのか? と。実際に履いてみて、予想以上の仕上がりでした。
コロンビア モントレイルのシューズが持つ元来の高いフィット感はそのままに、履いたら予想通りの転がりをしてくれ、樹脂プレートによる柔らかい反発があり、力を入れなくても自然に足を転がしてくれて前に進む感覚がありました。力んで走らなくても、従来のシューズよりも1歩ごとに1、2cmを稼いでくれるイメージです。良いシューズです。モントレイル以外のランニングシューズを含めても僕の中でトップに来るシューズですね。
接地してから優しく転がって反発することで、従来よりも進む感覚が確実にありました。日本だと100マイルといったロングのレースだと林道は避けられず、どうしてもロード区間が入ってきます。今までのモントレイルのシューズはミッドソールが硬くロードの走行性が落ちる部分がありましたが、今回〈Trinity AG”トリニティ AG”〉はやわらかく走らせてくれるので、ロードでの走行感が上がっています。トレイルでの走破性はそのままに、ロードが走りやすくなりました。日本のUTMFや信越五岳トレイルランニングレースにもかなりフィットしますよ、これは。こうした100マイルレースにフィットするということは、トレイル初心者の方にも間違いなくおすすめできるシューズだと思います。