fbpx

久しぶりの特集配信になってしまいましたが、みなさんはいかがお過ごしでしたか。前回の特集から4ヶ月が経ちますが、その間に3つのランニングイベントに参加しました。12月には世界初のマイボトルマラソンとなった〈湘南国際マラソン〉を走り、2月にはその姉妹大会である第一回〈せとだレモンマラソン〉でハーフマラソンにエントリー、そして先日は4年ぶりの開催となった〈板橋Cityマラソン〉をなんとか完走しました。

長らく大きな大会が開催できない中、わたしたちは孤独なランニングに徐々に慣れていきました。レースという目標を失った中で走るのをやめたランナーもいれば、逆にコロナ禍でランニングをはじめた方も多くいました。日常に寄り添う瞑想のようなランニングは、私たちに様々な恩恵をもたらしてくれました。ランニングに救われたという方も多かったのではないでしょうか。そんなマインドフルなランニングの長いトンネルを抜けて、昨年からはレースという目標に向けたトレーニングを積み重ねてきたランナーの姿があったと思います。そして迎えたレース。思い通りに結果を残せたランナー、イメージとの乖離に驚いたランナーと様々だったことでしょう。

自身の体験で言えば、ゴミを極力廃したことでボランティアの負担を大幅に減らすことができた〈湘南国際マラソン〉に、ポストコロナにおけるロードレースの新しい姿を垣間見ることができた一方で、結果としてはマラソンワーストを記録。数年前の自分とのイメージとのギャップに謙虚な気持ちにさせられました。〈せとだレモンマラソン〉は、第一回ということもあり、限られた参加人数のアットホームな雰囲気に、かつて大好きだった手作りのトレイルランニングレースを思い出し、こういう大会に参加するために自分は練習を頑張っていたんだという記憶が甦る体験をしました。〈板橋Cityマラソン〉は、(良い意味で)昔ながらのロードレースがようやく戻ってきたという感慨に浸りながら、気持ちよく42.195kmを今の自分らしいペースで走り切ることができました。

そこで感じたことは様々で、ひとことで表すことは難しいのですが、最も強く感じたのは“繋がる喜び”です。ひとりで走ることも好きだけれど、誰かと走ることで感じることの連帯感は、ランナーならきっと理解してくれるでしょう。

「走ることをきっかけにいろんな方と出会えて、いろんな経験をさせてもらいました。それに、話すだけじゃ感じられない、一緒に走ることで、すごい意思疎通があるのがわかりません? 一緒に走ると同志みたいな気持ちになるんです」

これは、先日取材した名城大学女子駅伝部の谷本七星選手の言葉です(記事はニュースレターには間に合わず、来週公開予定なのでお楽しみに)。小学生の頃、両親に連れられて地元の市民クラブで走ることをスタートした彼女の言葉には、年齢や職業や様々な背景を超えて“走る”という一点で繋がることができるランナーの喜びが溢れています。走れば理解し合えるというのは大事なRUNNING CULTUREです。それが長い断絶を経て、新しい時代を迎えようとしています。それは単に以前の姿に回帰するだけではない、アップデートを伴ったものになっているのです。この特集でそれがお伝えできたらと願っています。

mark編集長 松田正臣