トレイルランニングシューズのニューカマー〈norda〉。世界最強の繊維と呼ばれるDyneema®(ダイニーマ®)を初めてシューズに採用したことで話題となっている。その〈norda〉の創業者であるニック・マルティーレが来日し、新宿のシューズストア〈downbeat RUNNING〉で日本のランナーと交流した。
初めてDyneema®(ダイニーマ®)を採用したシューズ
なんといっても〈norda〉の特徴はダイニーマ®を使ったアッパーにある。まずダイニーマ®とは超高分子ポリエチレン繊維の商品名で、鉄の15倍の強度を持ち、210デニールのナイロンと1/4〜1/5軽量という強さと軽さを備えた繊維。ウルトラライト系のバックパックなどに使用されることが多いので、手にしたことのある読者もいることだろう。〈norda〉はこの繊維を初めてランニングシューズに採用した。
「最高のパフォーマンスには軽くて強い素材が必要になります。私たちが採用したダイニーマ®は、それを満たしているのですが、つるつるとした質感なのでこれまでシューズには使われてきませんでした。私たちは開発に2年を費やして、リサイクルのコーデュラナイロンとダイニーマ®の繊維を織りこむことでそれを可能にしたんです」とニックが開発の裏側を教えてくれた。
このダイニーマ®はバイオベースのものを採用しており、リサイクルのコーデュラナイロンと合わせることでサステナビリティにも配慮されているという。アッパーにおけるダイニーマ®の割合は50%以上ということで、コーデュラナイロンとの交織でもその軽量性と強度はしっかり担保されている。
ソールにはVibram®(ビブラム®)を採用
またソールにはトレイルランナーにはお馴染みのビブラム®が使われている。ただ、一般的にはビブラム®のソールは耐久性とトラクションの高さが特徴でアウトソールのイメージがあるが、〈norda〉では、ミッドソールにもビブラム®を採用しているのが特徴だ。ミッドソールにつかわれているのは、〈Vibram® SLEソール〉で、軽量かつ最高の反発性能を実現すると同時にクラス最上級のクッション性と耐久性を誇る。 アウトソールには〈Vibram® Litebase〉と〈Megagripテクノロジー〉を採用し、軽量化とトラクションの向上を実現している。
イノベーションは続く
〈norda〉の開発したダイニーマ®のファブリックは、今後シューズ以外にも展開していくそうだ。Tシャツやハット、ソックス、バッグなどの製品が予定されている。さらにはダイニーマ®︎を使ったハイドレーションベストもリリース予定。
こうしたイノベーションに対して特許をとっているのかという質問に対してニックは「ライセンスは取っています。他の会社ももちろん試してみることはできると思いますが、必ず2年ははかかると思います。大変すぎるので誰もやろうとも思わないんじゃないかな(笑)」とのこと。それだけ開発が難しかったのがよくわかるエピソードだ。〈norda〉のさらなるイノベーションに期待しよう。