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胃の内部の壁をスキャンしてみると、そこには小さな穴が無数に開いている。

それが胃小窩。胃全体のおよそ3分の2を占める胃底部から胃体部にかけて、1平方cmあたり100個ほどもある井戸のような開口部である。胃小窩の奥は胃底腺で、壁細胞、粘液細胞、主細胞という3タイプの細胞が潜んでいる。

壁細胞は胃底腺のなかほどにあり、塩酸を分泌する。

壁細胞が分泌する塩酸は俗に胃酸と呼ばれている。胃酸は殺菌力が極めて高く、口から入った有害な病原体などを軒並み殺菌して無力化する。

粘液細胞も胃底腺のなかほどにあり、ねばねばした粘液を分泌している。この粘液には強力な胃酸から胃自体を守る役割がある。
そして胃底腺のいちばん奥に並ぶのが、主細胞。主細胞はペプシノーゲンという酵素を出し、ペプシノーゲンは胃酸と出会うとペプシンという消化酵素に変換される。

ペプシンの機能はタンパク質の分解。胃壁もタンパク質からできているので、主細胞がいきなりペプシンを分泌すると胃壁のダメージになる。そこで胃酸と出会って始めて効力を発揮するように調整されているのだ。

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