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左の手のひらを右のみぞおちの下にあててみる。そこがあなたの肝臓の定位置。人体最大の臓器で重さは体重の約2%、体重60kgなら1.2kgにもなる。その存在は普段あまり意識しないが、500種類以上の化学処理をこなす肝臓は化学コンビナートに喩えられるほど多彩な機能を担う。

まず大切なのは栄養素の代謝。ウェブの入り口となるサイトをポータルサイトと呼ぶが、肝臓にはポータルベインという太い血管(門脈)が消化管から伸びる。ポータルとは玄関、ベインとは血管という意味。

消化管から吸収された栄養素は血液に入り、門脈で肝臓へ。そこで必要に応じて加工されて全身に供給される一方、一部は肝臓内に貯蔵される。

次に重要なのは解毒作用。門脈を流れる血液に含まれるアルコールなどの有害物や老廃物は肝臓の酵素で分解されたり、グリシンというアミノ酸の一種などと結合したりして無毒化される。さらに肝臓は胆汁を合成し、十二指腸に分泌して脂肪の消化吸収を助け、ビタミンやミネラルの吸収をアシスト。

そして解毒した物質のうち、水に溶けないものは胆汁と一緒に大腸から便と混じり、水に溶ける物質は腎臓を介して尿と混じり体外に排泄されるのだ。

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