心臓と血管からなる血管系以外にも、大切な循環器系がある。
それがリンパ管系。リンパ液の循環ルートだ。
リンパ液は毛細血管から漏れた成分。動脈と静脈は前述のように3層構造だが、毛細血管はほとんど内皮細胞一層からなり、血液が漏れやすく、血管に沿うように走るリンパ管に入ってリンパ液となる。
リンパ液とリンパ球は混同されやすいが、リンパ球は血液の細胞成分(血球)の一種。
白血球の仲間で免疫反応に関わり、ややこしいことにリンパ液に多く含まれる。
血管系との明確な違いは、リンパ管系には要所にリンパ節という関所があること。
リンパ節には免疫反応を担当しているリンパ球などが集まり、リンパ液にまぎれた異物を除去している。
風邪などの感染症に罹ると顎の下や鼠蹊部にあるリンパ節が腫れるのは、病原体を処理する水際の戦いが起こっている証拠である。
リンパ液の循環量は1時間におよそ120ml、1日で約3L。血液の循環量と比べると圧倒的に少ないけれど、じっくり流れることで人体に悪影響を与える病原体や物質の排除が腰を据えて行えるというメリットもある。
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