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緊張やストレスが続くと胃に痛みを感じることがある。これは気のせいではなく、胃壁に物理的なダメージが及んでいる場合がほとんど。そのきっかけとなるのは、胃から分泌される胃酸である。

胃酸は口から入れたモノを殺菌消毒するには不可欠だが、同時に胃壁を破壊するリスクもはらんでいる。胃酸のように胃壁を攻撃する勢力を攻撃因子と呼び、胃酸の他にもタンパク質の消化酵素ペクチンがある。それに対して攻撃因子から胃壁を守るのが防御因子。その内訳は胃酸を中和する粘液とプロスタグランジンだ。プロスタグランジンは胃酸の過剰な分泌を抑え、胃壁の血流を増加させて胃壁の表面を覆う細胞の防衛力を高めてくれる。

攻撃因子と防御因子のバランスを保っているのは、カラダの機能を自動的に調節している自律神経。自律神経は交感神経と副交感神経からなるが、ストレスがあると交感神経が優位となり、胃壁の血管を縮めて血流がダウン。このため胃壁を守る防御因子の機能が下がり、胃壁は胃酸やペクチンなどの攻撃因子にさらされやすくなり、胃にダメージが蓄積するというワケ。

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