肝臓の基本ユニットとなるのは、直径約1mm、高さ約2mmほどの六角柱をなす肝小葉という組織。肝臓全体で500万個ほども含まれている。
肝小葉は無数の肝細胞が集まったもの。肝小葉の中央には静脈が走り、そこから肝細胞が放射状に規則正しく並ぶ。
突き詰めると、化学コンビナートに匹敵する機能を一手に担っているのは他ならぬ肝細胞。まさに小さな巨人である。
そして肝臓は内臓で唯一再生能力を持ち、手術で70%ほどを切除しても半年ほどで元のサイズに戻り、以前と同じ仕事がこなせるようになる。
それが可能なのは、肝細胞の増殖能力が非常に高いうえに、肝臓が金太郎飴のようにどこを切っても肝小葉がぎっしり詰まった同じ構造をしているからだ。
ちなみに肝臓は免疫作用も担っている。生体防御に欠かせないアルブミンというタンパク質を作る他、異物を処理する能力もある。
肝小葉の肝細胞と毛細血管の間には、ディッセ腔という隙間があり、そこにクッパー細胞という細胞が潜んでいる。
クッパー細胞は免疫の中枢を担う白血球の一種マクロファージが変化したもの。マクロファージと同じように異物を食べて(これを貪食という)無力化してくれる。
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