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骨はカラダを支えているだけではなく、その他にも重要な機能を担っている。その一つが血液を作る造血作用。

成人の体内にはおよそ5Lの血液が巡っており、酸素や栄養素の運搬や免疫作用といった生命活動になくてはならない役割を果たしている。血液のおよそ45%は細胞組織(血球)で、残りの55%は水分やタンパク質などからなる液体成分(血漿)。このうち骨で作られるのは血球である。

骨の中心部や海綿質の髄腔には「骨髄」という組織がある。ここには集まっているのが、造血幹細胞。

血球には、赤血球、白血球、血小板という3つの体系がある。赤血球は細胞に欠かせない酸素を運ぶ役割があり、白血球は外敵から自らを守る免疫を司り、血小板は出血を止める機能を担っている。

造血幹細胞はこれら3系統すべての血球を生み出す能力を秘めている。とはいえ、206個もある骨の一つひとつで、血球が作られているわけではない。血球を作る造血が盛んなのは、胸骨、肋骨、脊柱、骨盤といった体幹の骨が中心である。

白血病などの血液の難病治療のために「骨髄移植」が行われるのは、提供者(ドナー)の骨髄に存在する正常な造血幹細胞を移植し、移植した造血幹細胞の分化により、正常な血液を回復させるのが狙いである。

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