“秋なすは嫁に食わすな”ということわざがある。解釈は諸説あるが「おいしいから嫁に譲りたくない!」という欲張りな思いから生まれたのかもしれない。事実、秋なすがおいしいのには理由がある。まず昼夜で気温差があるために、キュッと締まった身になる。種が少なくて舌ざわりがいいのも特長だ。
皮がうすくてやわらかいのもポイント。血栓の予防や眼精疲労の緩和などにも働く効果をもつ皮の色素であるナスニンは、皮ごと食べられる秋なすなら余さず摂取できる。
肌寒くなってきた今日この頃、じっくり温めた茶せん煮がおいしい。秋なすの上部と下部を切り、実の下部に斜線状に5mmくらいの深さの切り込みを入れて、梅を入れた麺つゆで20〜30分煮る。そうめんを茹でて温かなうちにぶっかけて、くずしながらいただいても美味。疲れた内臓をじっくりと労ってくれる、優しい一品だ。