CO2のみならずあらゆる温室効果ガスの削減を目指し、環境負荷の少ない循環型社会のために開発された植物由来の素材。近年では私たちの日常生活でも少しずつ浸透してきています。
各業界がサステナブルな社会へ向けたアクションを試行錯誤していますが、特にファッションシーンでは、その生産における環境負荷が問題視されている動物の革(アニマルレザー)に替わる素材を生み出すことが課題となっているのも事実。
パイナップルやリンゴ、きのこなどを用いたヴィーガンレザーが注目を集めていますが、一部にポリウレタン(PU)を使用しているものもあり、完全な植物由来の素材は実現していませんでした。
そんな中、サステナブルな製品を展開するAllbirds(オールバーズ)が、⾰新的な素材を開発する⽶国イリノイ州の企業「ナチュラル・ファイバー・ウェールディング(以下NFW)」とそのMirum®テクノロジーに対して200万ドルを投資。世界初となる100%植物由来の「プラントレザー」の開発に成功しました。
この「プラントレザー」は植物油や天然ゴムなどのバイオ素材を原料としており、すべてが自然に還るもの。また、自ら「最もサステナブルなレザー」と評すその理由は、従来の天然⽪⾰に⽐べて1/40、⽯油由来の合成⽪⾰と⽐べて1/17もカーボンインパクト(⼆酸化炭素による環境への影響)を軽減することに成功していることにあります。
Allbirdsは昨年、adidasとカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)の低いスポーツパフォーマンスシューズを開発するためのパートナーシップを結んだことも話題になりましたが、今回も気候変動という難題に立ち向かうために競争ではなくNFW社と手を組んだところにその意欲的な姿勢が伺えます。両者からのメッセージは以下。
Allbirds共同創業者ジョーイ・ズウィリンジャー
「多くのファッション企業は、環境より⽣産スピードとコストを優先させるために、環境に悪影響な⽯油由来の合成素材やサステイナビリティに⽋けるレザーを⻑く使⽤し続けてきました。NFW社はスケーラブルかつサステイナブルなプラントレザーを開発しており、これらの素材は⼆酸化炭素排出量を98%も抑えられるポテンシャルを秘めています。今回のパートナーシップ及びそのテクノロジーによって開発されるプラントレザーは、ファッション業界から⽯油系素材を失くすための⼤きな⼀歩となるでしょう」NFW創業者ルーク・ハヴェラール
「今、社会に蔓延している⽋乏感。これはプラスティックや⽯油系製品に頼り続けてきた結果なのです。しかしサステイナブルで再⽣可能な⼿法に基づいたテクノロジーは、この問題を解決し、まったく新しい時代を⽣むでしょう。新しい時代に向けた取り組みを牽引するAllbirds社とパートナーシップを結ぶことは、私たちにとっても⼤きな意味があり、⼤変喜ばしいことであると感じています」
今後この「プラントレザー」を用いた商品がAllbirdsのラインナップへ加わっていくとのこと。
「プラントレザー」の登場がファッション業界へのイノベーティブな影響を及ぼすきっかけになるだけでなく、スポーツシーンでどのように採用されていくのかにも注目したいところです。