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“神の眼”とも呼ばれる奇跡的な構図で、決定的な一枚をレンズで捉えてきたブラジル人報道写真家セバスチャン・サルガド。彼の軌跡を『パリ、テキサス』や『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を監督したヴィム・ヴェンダースと、サルガドの息子ジュリアーノ・リベイロ・サルガドの二人で描いたドキュメンタリーが『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』(AMAZON PRIME VIDEO)です。

映画の前半は、政治運動に関わり軍事政権下のブラジルから亡命し、写真家となったサルガドが政治的な作品から地球の自然を捉える作家へと変化していく道筋が語られます。モノクロームの美しい映像と、詩を思わせるような語り口が印象的なドキュメンタリーとなっています。

しかし、『FORESTRY IS OUR FUTURE 林業は未来』の特集にあわせてこの映画を取り上げた理由は後半部分にあります。難民をテーマとした写真集『EXODUS』を制作する過程でルワンダの大虐殺に触れ、サルガドはカメラを置きます。そして故郷のブラジルに戻った彼が取り組んだのが、荒廃した森の再生でした。乾いた砂漠のようだった土地は、サルガド夫婦の努力によって美しい森に生まれ変わり、土地再生のモデルとなるのです。

そんな再生を経験した彼が再びカメラを手に取り、取り組んだのが写真集『GENESIS』。題材にしたのは、この壮大な地球そのものでした。