先日、某スポーツ・グラフィック誌で念願の選手を撮影することができました。
彼は箱根駅伝に出場する某大学のスーパーエースで、将来をもっとも期待されている長距離ランナーです。
7年後の東京オリンピックでも間違いなく日の丸を背負っていると思います。
そんな彼の撮影は、大事な駅伝前ということもあり10分あるかないか。
寒空の中、ユニフォーム姿での撮影なので風邪なんてひかせてしまっては一大事です。
とはいえ、ずっと撮りたかった選手なのでできるだけ粘って最高の一枚を撮るぞと。
かなり、もうそれはかなり気合いを入れて撮影に挑みました。
(最近、個人的に気持ちも写真にうつると思い込んでいます。)
端正な顔立ちでクールなイメージの彼は、走っている時はアフリカの野生動物みたいです。
腰の位置が高く、手足の動きがしなやかで、まっすぐ前を向いて次々にランナーを抜きさって行くさまは、小柄な体格からは想像できないくらいダイナミックで、走ってる姿を見るだけで希望を感じさせてくれます。
実際の彼本人は、とても気さくで話やすく、時折見せる笑顔が子供っぽくてすごく好感が持てました。同じ部活にいた同級生のような。
僕が使っていたカメラに興味を示してみたり、寮での門限の話や遊びに行く場所の話、
レース中、沿道に押し寄せてくるファンの方々の話など、撮影中だけどシャッターを押すことよりも、話に夢中になっていた感じがします。
誌面に掲載されたのは、はにかんだ笑顔の写真。
寒さのせいか両手をぎゅっと握りしめていました。
撮影前の僕の気合いなんて気づいたらどこかに吹き飛んでしまって、
彼の素の部分に心地よく、少しだけ、触れられたような気がしました。