とあるカスタマーとの会話。
「今日は峠でとある大学チームに抜かれたよ」とおっしゃるカスタマー。
なぜ、カスタマーの方が自分が抜かれてしまった集団のことの所属先に気付いたのでしょうか。
それはチームのウェアーを着ていたからなのです。
この感覚。
自転車乗りにはフツーかもしれませんが、意外にも他のスポーツをされている方には馴染みが無いかもしれません。
普段の練習からレースでも着るユニフォームは着ないですよね?
とくにアマチュアの場合はその傾向が強いのではないでしょうか。
かつてわたしが高校生だった頃に1年時だけラグビー部に所属していた時代がございました。
正月以外は毎日練習、そういうなかでチームのユニフォームを着る機会なんて公式の試合のときくらいでした。
レギュラーがポジションの番号順に名前を呼ばれてゆき、うやうやしく塩で清められたユニフォームを監督から受け取っては大事に抱くようにして持つのです。
これはまさに儀式であります。
もちろん、レギュラーにならなければ、ユニフォームに袖を通す機会すらありません。
こういう感じでラグビーを例に出させていただきましたが、隣で練習しているサッカー部も野球部も基本は練習着。
体育館のなかのバレー部もバスケ部もみんな練習着。
日頃からユニフォームを着用するなんてことはありませんでした。
このへんはオトナになって、例えばママさんバレーになったとしても練習着スタイルは変わらないのでは?
そんななかにあって自転車競技はといいますと、試合以外の普段の練習でもユニフォームを着て走る傾向があります。
前出の大学のチームからあまたあるクラブチームにプロチームまでみんなが試合用のユニフォームで練習。
これはナゼでしょう?
自転車は玄関を出たら2分でスポーツ。
ロードレーサーの場合はすぐにフィールドが広がります。
自転車競技とは関係ない、車や歩行者ともフィールドを共有してスポーツの時間を楽しもうという冒険の旅です。
関係ないひとを自分の世界に巻き込んでしまわないように、そういった社会性が要求されるスポーツなのです。
ユニフォームの成り立ちとして所属を表すということと、それに合わせて広告をするという原点があると思うのですが。
大きな社会のなかで自分の存在や所属を明らかにしておくということで普段からユニフォームを着る習慣になっているのではないかと考えます。
自転車と同じように玄関を出たらすぐにフィールドのランの方が自転車と同じであるのかといったら、また全然違うと思います。
これは興味深い点ですね。
さて、わたしが組織させていただいてますチーム〝Team BONSAI Astronautics〟では、こうした自転車乗りの慣習に反して、平素からみだりにユニフォームを着るべからずの方針をとっています。
ユニフォームを着る機会といえば、試合のときや、他チームとの合同練習のとき、地方を走る機会のときくらい。
もちろん、わたしも普段からユニフォームを着て走る事はありません。
普段から着る感覚にならないのです。
それは高校時代に、たった1年だったけれど。
それでも培ったラグビー部時代のトラウマがそうさせてくれるのかもしれません。
そこにリスペクトがある。