(文 南井正弘 / 写真 nowri)
この、経年劣化が見られるシューズは、1989年に発売された当時のThe Pump。加水分解してしまったソールが、25年の時の流れを物語っています。The Pumpは、リーボックの歴史の根幹とも言える「The Pumpテクノロジー」(以下、「PUMP」と記載)が搭載された初めてのシューズです。
バスケットボールシューズであるThe Pumpは、翌‘90年のNBAオールスター・スラムダンクコンテストでドミニク・ウィルキンス(アトランタ・ホークス)が、このシューズのスペシャルカラーを着用して優勝。そのパフォーマンスが立証され、革新的な技術がハイテクシューズの先駆け的存在として話題を呼ぶと同時に、スポーツ界でも大きな期待と注目の的に。
その後、PUMPのテクノロジーは柔軟に仕様を変え、バスケットボールだけでなく、クロストレーニング、エアロビクス、テニス、ランニングといった幅広いスポーツカテゴリに対応。男子シングルスグランドスラム最年少優勝記録保持者であるマイケル・チャンが愛用したCOUNT VICTORY PUMP(1990)、1991年のNBAオールスター・スラムダンクコンテストで優勝したディー・ブラウン(ボストン・セルティックス)が同コンテストでも着用していたPUMP OMNI LITE(1991)など多くのトップ選手の足元を飾りました。これらのPUMPシューズを選手が試合中にポンピングをする姿は、PUMPの知名度を急速に上昇させ、スターのシューズとして全世界の人々が認識するきっかけにもなったのです。
そんなThe Pump誕生から今年で25年。その節目をむかえ、この度リーボックは、フィットネスとスポーツヘリテージを根幹とするカジュアルライン、リーボック クラシックより11月28日から全世界で「The Pump」の完全復刻モデルを発表。さらに、25年の集大成の取り組みとして、PUMPを搭載したリーボック クラシック歴代のモデルを展示する『The Pump 25周年記念 特設ポンプミュージアム』を開催。東京・新宿駅での開催は終了しましたが、明日12月19日から21日までの3日間、大阪ステーションシティ・旧砂時計ひろばに、同ミュージアムが展開されます。
そこで今回onyourmarkでは、25年という時のなかで、進化を続けてきたPUMPの誕生から、現在に至るまでの歴史を、同ミュージアムに展示される実際のシューズを紹介しながら、振り返っていきたいと思います。
足とシューズの一体化を目指した革新的なフィッティングテクノロジー「PUMP」
80年代末期のスポーツシューズ業界は、“クッショニング戦争”と呼ばれるなど、衝撃吸収性能を向上させるテクノロジーの開発に躍起となっていた時代。リーボックは、クッショニングと同時に新たなフィッティングテクノロジーの可能性を模索していました。それが、空気の注入量の調節で足とシューズの一体化を目指したPUMPです。
このテクノロジーは、シュータン部分に配されたコンプレッサーをポンピングして、アッパーに内蔵されたブラッダー、もしくはチャンバーと呼ばれた空気室のなかに、適量の空気を注入することで、個々の足にシューズをぴったりとフィットさせることを可能にしました。空気を“ポンプ”して注入する技術において、根幹を成すのがブラッダー部分。この部分には、自動車のエアバッグや医療用の血液バッグ、エアギプスに匹敵する高度な製造技術を必要としましたが、リーボックの開発陣とサプライヤーはこの難題をクリア。先進的技術を駆使して作られたテクノロジーとして、当時、リリース前からすでに関係者のあいだで、多くの注目を集めていたそうです。
こうしてPUMPを初めて搭載したバスケットボールシューズ「The Pump」が1989年にデビュー。他ブランドから類似のシューズも登場しましたが、セールスではThe Pumpがライバルブランドのモデルを圧倒しました。これにはいくつかの理由があるといわれていますが、大きくはふたつ。ひとつめは、他社の製品は足首のフィット調節のみでしたが、PUMPは、つま先部分を除く足全体のカスタムフィットが可能だったこと。ふたつめは、空気注入のためのコンプレッサーをシュータン上に一体化させたのに対し、他社モデルは別途、付属製品のコンプレッサーを持ち歩かなければならなかったこと、です。
PUMPシリーズのシューズにおいて、とくにこの、シューズに一体化したコンプレッサーのデザインは、ファンの心をつかむ重要なエンブレムとなりました。バスケットボールやテニスボールをモチーフにしたデザインは、絶妙なアクセントとなり、ストリートキッズにとってはメルセデスのスリーポインテッドスターのような価値のある存在となったのです。
このように幸先の良いスタートを切ったPUMPでしたが、その後さまざまな課題にも直面し、その度に進化を遂げた歴代モデルが生まれてきました。
あらゆるカテゴリのスポーツに対応してきたPUMP進化の軌跡。歴代モデルを紹介!
当初、The Pumpの価格は、170ドル。当時、バスケットボールシューズのトップモデルが100ドルほどで購入できたことを考えると非常に高価な価格設定でした。課題となった低価格化のヒントになったのは、一部のプレーヤーから寄せられたフィードバック。「シューズ全体のカスタムフィットは必要なく、中足部の調節だけで十分だ」という声を参考に誕生したのが、シュータンを大きく拡大し、この部分にのみブラッダーを内蔵してカスタムフィットを追求したミッドフットチャンバー。これにより、PUMP搭載モデルの拡販と低価格化を推進。
バスケットボールだけでなく、クロストレーニング、エアロビクス、テニスといったカテゴリにも搭載されることとなったのです。さらに、上記のカテゴリに加え、ランニング独自の動きに対応する空気室の開発で、前進運動の繰り返す動作に最適なフィット感を提供することに成功し、1991年、PUMP搭載のランニングシューズPUMP RUNNING DUALも発売されました。
そして、1992年、The Pumpシリーズは次なる進化を実現します。それがブラッダーをアッパーに内蔵するのではなく、ブラッダー自体がアッパーの一部となったテクノロジー「INSTAPUMP」。この新構造は従来のPUMP搭載モデルよりも大幅な軽量化と優れたフィット性能を実現。そして、ついに、1994年にINSTAPUMP FURYが誕生するのです。INSTAPUMP FURYは、INSTAPUMPテクノロジー以外にも中足部のミッドソールを取り去り、炭素繊維パーツを配することで土踏まず部分の軽量化とサポート性の向上に成功。機能面はもちろんのこと視覚面において大きな話題となりました。今年、完全復刻モデルが発売されるやいなや即完売となるほど、憧れのモデルとなっています。
度重なる研究の賜物として、PUMPは、機能とビジュアルの両面において、唯一無二の存在となりました。歴代のモデルが復刻されるたびに、世間を賑わす、シューズ業界屈指の著名なテクノロジーに君臨しているといえるでしょう。
ここで、歴代のPUMPシューズの特徴とともに、今回の『The Pump 25周年記念 特設ポンプミュージアム』で展示される、貴重な当時のアーカイブや、実際にシューズを愛用していた著名なプレーヤーのサイン入り復刻モデルなどを紹介していきたいと思います。
[01]THE PUMP(1989)
リーボックが初めてPUMPを搭載したバスケットボールシューズ。つま先を除く足全体に空気室が配されるフルフットチャンバーを採用。
[02]PUMP OMNI ZONE(1990)
両サイドにシュータンを拡大し、その部分に空気室を内蔵するミッドフットチャンバーを採用したバスケットボールシューズ。NBAやNCAAといったトップレベルで活躍するバスケットボールプレーヤーにも愛用された。
[03]COURT VICTORY PUMP(1990)
テニスプレーヤーからのPUMP搭載モデルの要望に応えるかたちで登場したのがコートビクトリー。マイケル・チャンのお気に入りモデルとなり、当時「左足が16回のポンピング、右足は21回で自分の足にピッタリとフィットした」と語っていた。
[04]PUMP OMNI LITE(1991)
1991年のNBAオールスター・スラムダンクコンテストにおいて、このモデルを履いたディー・ブラウン(ボストン・セルティックス)がダンクの試技のたびにポンピングを繰り返し、この模様が全米で生中継され、PUMPの知名度が急速に上昇することに。
[05]BLACKTOP BATTLEGROUND(1991)
屋外のアスファルトやコンクリートでのプレーに対応するために耐摩耗性に優れたアウトソールを装備したバスケットボールコレクションBlacktopにラインアップされた1足。
[06]PUMP AEROBIC LITE(1991)
女性向けモデルらしいクリーンでシンプルなアッパーにミッドフットチャンバーを組み合わせた高機能エアロビクスシューズ。。
[07]PUMP AXT(1991)
AXTとはエアロビクス クロストレーニングの略で、エアロビクスダンスなど有酸素運動に最適なスペックを有したクロストレーニングシューズ。
[08]PUMP RUNNING DUAL(1991)
ランニング時の足の動きに対応すべくカラー(履き口)とアーチ(土踏まず)部分にランニングおよびウォーキング専用のチャンバーを設置したシューズ。空気を送り込むコンプレッサーは、アッパー両サイドに設けられている。
[09]PUMP GRAPHLITE(1992)
土踏まず部分のミッドソールを取り去る替わりに炭素繊維のプレートを配することで比類なき軽量化とサポート性を追求したグラフライト搭載モデル。カラー(履き口)部分にチャンバーを設置することでランニング時のかかとの浮きを抑えてくれる。
[10]SHAQ ATTAQ(1992)
LSU(ルイジアナ州立大)からオーランド・マジックに入団し、一躍NBAのスターとなったシャキール・オニールのシグネチャーモデル第一弾。PUMPはミッドフットチャンバーのタイプで、安定性重視のためクッショニングテクノロジーを使用していない。
[11]INSTAPUMP FURY(1994)
INSTAPUMPはブラッダーをアッパーに内蔵せず、ブラッダー自体がアッパーの一部となったテクノロジー。1994年にリリースされたインスタポンプ フューリーは、その斬新なデザインでストリートシーンにおける大ヒットモデルとなり、現在も根強い人気を誇る。
『The Pump 25周年記念 特設ポンプミュージアム』大阪 開催情報
日程:12月19日(金)〜21日(日)
展開場所:大阪ステーションシティ・旧砂時計ひろば
大阪府大阪市北区梅田3丁目1番1号
特設サイト:http://www.houyhnhnm.jp/feature/009524.html
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応募期間:11月21日(金)17:00~12月21日(日)23:59まで
応募条件:あなたのお気に入りのPump機能搭載シューズの写真を [#Pump25]を付けてSNSで投稿するだけ!
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