ナイキブランドが生まれ、スウォッシュロゴはあしらわれたシューズが初めて作られてから2年が経った1973年にナイキと契約を結んだスターランナーをご存知でしょうか? 彼の名はスティーブ・プリフォンテーン。
オレゴン州出身の彼はハイスクール時代に2マイル(約3.2km)を8分41秒5で走り、自身初の国内記録を樹立したプリフォンテーンは、さらに1968年と1969年に連続して州のクロスカントリー選手権で優勝。まさに負け知らずの高校時代を送ります。
プリフォンテーンの存在がアマチュアランナーの普及を担ったワケ
オレゴン大学に進学するとヘッドコーチのビル・バウワーマンのもとでトレーニングを積み、NCAAの大会で7度優勝。(太平洋地域の大学の大会である)Pac -8カンファレンストラック大会では、オレゴン大学在学の4年間の毎年3マイルレースで優勝したのに加えて、1971年にはマイル競技でも優勝し、1970年から75年までホームのオレゴン大学ヘイワードフィールドで38戦35勝という成績を収めます。彼の活躍は当時まだ注目の薄かったランニングに光をあてるとともに、1973年にナイキと契約を結ぶとプリフォンテーンはトレーニング費用の提供を受け、ストアの手伝いや全国に向けてナイキの新しいランニングシューズをさまざまなアスリートに紹介していきました。
さらにプリフォンテーンはアマチュア運動連合(AAU)にがんじがらめになっていたアメリカの陸上競技選手のための活動も行います。70年代においてオリンピックを目指す選手はアマチュアで活動することが求められていました。そのためトレーニングをしながら生計を立てることを余儀なくされ苦境に立たされており、そのような不平等に関してプリフォンテーンはAAUに疑問を呈していきます。
彼自身も1976年のモントリオール大会の出場資格のために20万ドルのプロ契約金を諦め、AAUが認める最大日当3ドルのみを得ていました。しかし、プリフォンテーンのモントリオール大会への夢は叶わなかったのです。
1975年5月29日にヘイワードフィールドで行われた大会で5,000m競技に参加したプリフォンテーンは自身がもつアメリカ記録を凌ぐ13分23秒8で優勝。7,000人の観客を魅了した彼はビクトリーラップを走り、オレゴン大学陸上部の祝賀会に参加した後、帰宅途中に自動車事故によって24歳の短い一生を閉じることになったのです。
トップアスリートが集結した『プリ・クラシック 40th』レポート
そんな彼の偉業を称えるために翌年から行われてきたプリ・クラシックの記念すべき40回目がヘイワードフィールドにて5月29日と30日の2日間開催。モー・ファラー(1万m)が金曜日の夜を盛り上げ、土曜日の午後にはアリソン・フェリックス(400m女子)とシェリー=アン・フレーザー=プライス(女子100m)が好成績を残しました。
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モー・ファラーは2011年8月28日以来つづいている1万mでの無敗記録を守りました
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タイソン・ゲイは100mを9.88秒で走り、今年3番目に速い記録で優勝
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ジャスティン・ガトリンは200mで自己ベストタイの19.68を記録
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ディババは女子5,000mにて14:19.76で優勝
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イングリッシュ・ガーデナーは母校のグランドで100m10.84のパーソナルベストを記録
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シェリー=アン・フレーザー=プライスは10.81という好記録で女子100m優勝
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アリソン・フェニックスは女子400mにて2011年の世界大会で銀メダルを取った以来の好タイム50.05で優勝
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ルノー・ラビレニは自らの持つ世界記録6.16mに挑むも、3度の挑戦は失敗に
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キラニ・ジェームズは男子400mで43.95という今年最高の記録でフィニッシュ
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カテリン・イバルグエンは三段跳びで優勝し、24戦連勝を収めました
ヘイワードフィールドで繰り広げられた各選手たちの凌ぎ合いは、まさにスティーブ・プリフォンテーンが目指したプロフェッショナルなアスリートが自らの力を存分に発揮できる場をそのまま体現していると言えるでしょう。死後40年経っても影響を及ぼしつづけているプリフォンテーンの魂は未だにアスリートたちの背中を押しつづけているのです。