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(文 小泉咲子 / トップ写真 Armin Walcher for Wings for Life World Run)

今年、2回目となる「Wings for Life World Run」が5月8日20時(日本時間)から、世界33か国34か所以上の会場で同時スタートする。

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Ph: Mahmut Cinci for Wings for Life World Run @トルコ

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Ph: Ali Bharmal for Wings for Life World Run @インド

このレースの特徴は、なんといっても「ゴールが追いかけてくる」独特のルール。スタートから30分後、ランナーを追いかけてくるキャッチャーカー(追跡車)に捕まった時点が、ゴールとなる。いわば、壮大な“追いかけっこ”。日本初開催となった昨年は、エンターテイメント性が話題となったが、このレースにはもうひとつ大切な側面がある。

自分+誰かのために走ってみる

リフレッシュや健康管理、タイムの追求と、走る理由は、人によってさまざま。しかし、誰のためかと問われれば、自分のためという人が大半だろう。“自分のために”に、“誰かのために”が加わるとしたら――。

今回、Wings for Life World Runの大会サポーターに就任したフリースタイルスキー選手として活躍していたTAKAは、13年前、16歳のとき、練習中に首の骨を折り、肩から下の運動機能を失った。一瞬にして、アスリートとしての道を絶たれた彼は、アメリカでアートに出会う。現在は、口に筆を加え、コンセプトアートを生み出す “EXTREME PAINTER”として活躍中だ。「ひとりで生きているんじゃない」と彼は言う。移動ひとつとっても、人の手を借りなければいけない。障害者年金をもらっている。だからTAKAはそう強く感じるのだろうが、この世界の誰しもが、ひとりでは生きていけない。

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Ph: Naoyuki Shibata for Wings for Life World Run

Wings for Life World Runの参加費は、脊髄損傷治療法の発見に取り組む研究に対して資金援助を行う非営利団体Wings for Life財団に寄付される。2015年は世界 6 大陸33か国 35ヶ所の会場で男女 73,360人(日本では 2,024 人)が参加し、参加費は約5億6500万円にもなった。多くの人が走ることによって、現在300万人が脊髄損傷によって車いす生活を余儀なくされている現実を、変える力が生まれるのだ。チャリティは気負ってするものでもない。照れくさいと感じる人もいるだろう。楽しんで走ったら、誰かのためになっていた。それくらい自然な形であったら、チャリティに対するハードルはぐっと低くなる。

また、今年から、本大会には、チーム戦も行われることに。プロスノーボーダーの岡田圭司は、スノーボード中に影から転落し、脊髄を損傷。下半身が動かない状態に。右足首に障害は残っているが、自立歩行ができるまでに回復した。いつかは治すことができる脊髄損傷の現状を知ってほしい。今、苦しむ人たちの回復の可能性を広げたい。そんな思いから「RUN WITH KEIJI」を立ち上げ、チーム戦に参加する。メンバーには、スノーボーダー仲間の角野友基選手も。その他の大会サポーターには、エアロバティックの室屋義秀、スノーボードハーフパイプのソチ銀メダリスト平岡卓、BMXの内野洋平、フリースタイルフットボールの徳田耕太郎など、多彩なメンバーが参加。世界で活躍するアスリートたちが、どんな戦いを繰り広げるのか楽しみだ。

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レース前のチームの円陣@南アフリカ・ケープタウン(ph:Wayne Reiche for Wings for Life World Run)

大会のイメージを掴める体験会を実施!

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ph:Yusuke Kashiwazaki for Wings for Life World Run

本大会を前に、駒沢オリンピック公園陸上競技場で、体験会が行われた。ルールは、400mのトラックを1周するごとにライフポイントとなるステッカーを1枚ゲット。キャッチャーカーの代役の“キャッチャーマン”が3分後にスタートし、追い抜かれるたびに1枚ステッカーをはがさなければいけない。女子の部でなんと優勝をしたonyourmark編集者の走行距離は8km弱。ゲームを楽しみつつも「普段走るのにはなんともない距離であったが、今回はかなりきつかった」と振り返る。「走るのをやめようと思えばその場が自分のゴールになる。自分次第の気持ちでいつでも諦められる状態は、なぜ自分は走り続けるのかを精神的に問われた」という。決められたゴールに向かい、タイムを競うだけがすべてではない。自らのランニングスタイルの在り方さえも考えさせられるのだ。

この体験会が、大阪・長居のヤンマースタジアムでも4月13日に開催される。キャッチャーマンは、100kmマラソン世界記録保持者の砂田貴裕が務めるというから、自らの実力を試すのにはぴったりだ。

Wings for Life World Run体験ランニングイベント

日時: 4月13日(水)受付17:30 / スタート18:30 / 終了予定19:30
場所: ヤンマースタジアム長居(大阪府大阪市東住吉区)

【注意事項】
※エントリー多数の場合は抽選になります。(定員150人)
※参加者の発表は事務局よりメールにてご連絡します。
※参加される際は、着替えとランニングギアを持参ください。

エントリーはこちらから
http://www.redbull.com/jp/ja/stories/1331784511207/wings-for-life-world-run-2016-activation-osaka

既存の大会と一線を画すWings for Life World Run

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Ph: Naoyuki Shibata for Wings for Life World Run

昨年のWings for Life World Runの男性部門は79.90km(日本人最高は67.68km)、女性部門は56.33kmが優勝距離。女性チャンピオンは、日本人の渡邊裕子選手だった。彼らの記録に挑戦するコアなランナーから、ゲーム性をチームで楽しみたいファンランナーまで、どんなスタイルのランナーでも参加できるのが、この大会のいいところ。

また、世界同時開催のため、日本は20時スタート。フルマラソンの大会と言えば、朝にスタートするのが常だが、夜、滋賀の大自然を駆け抜けるのは、新鮮なランニング体験になるに違いない。

Wings for Life World Run @JAPAN

日時:2016年5 月8 日(日)20:00スタート(UTC 協定世界時午前 11 時)
開催場所:滋賀県高島市
募集人数:先着順 3,500人(一般+車いす)
参加料:6,500円(税抜き) ※参加費の全額と同額をWings for Life財団に寄付 申込先:

本大会のエントリーはこちらから
https://registration.wingsforlifeworldrun.com/jp/ja/takashima/single#/participant