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(写真 古谷勝 / 文 久恒杏菜)

レースの前日テント泊を楽しんで、スタート地点もキャンプ場。そんな、キャンプ場を起点にした新しいスタイルのレース『南アルプスマウンテンマラソン(以下、MAMM)』が、今秋11月20日、静岡は川根本町で開催されました。その記念すべき第一回大会に、編集部の久恒と海達が参加。山のレース初出場となった、久恒がレポートをお届けします!

レース前日は、キャンプ場でテント泊。前夜祭やBBQ…合宿気分を満喫

MAMM参加のお声がけをいただいたのは確か、10月下旬。5月のホノルルトライアスロン出場以降は“トライアスリート”と胸を張れるようなスポーツライフはおくっていなかったわたくしですが、実は、数年前から山で走るレースに出たい想いはありまして。ですが、面倒くさがり出不精がゆえに、気づけばいつもエントリーできるシーズンも終わっていて…今年も出れないな〜と思っていた矢先にお誘いいただき、この機会を逃すまいと、今大会へエントリーした次第であります。

参加種目は2つ。フル45km(制限時間:9時間/累積標高:3130m)とハーフ22.5km(制限時間:5時間/累積標高:1600m)です。トレイルランニングの経験は、2回程度(直近は1年以上も前)の私は迷わず、ハーフを選択。今年、すでに6レースを終えているトレイルランナーのパイセン、海達はフルを選択しました。一度くらいはコソ練しようと思っていたのに、出不精は揺るぎなく、コソ練果たせずあっさりレース前日をむかえました。

走力には不安を抱えながらも、このレースの醍醐味はなんといっても、キャンピングにある! そう言い聞かせ、まずはキャンプを楽しむため、レースの前日会場へIN。この日の天気は生憎の雨…。明日のコースのコンディションを心配しながら、現地に到着。イベントが行われているキャンプ場『三ツ星キャンプ場』へ向かいます。ゼッケンを受取り、出展ブースをぐるり。

 

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夕方には曇りになる予報だった空は、依然として雨…冷えた身体に淹れたてのホットコーヒーが染み渡ります。美味しいコーヒーを提供してくれた『GOOD DAY COFFEE』は、markのスタイリングなどでもお世話になっている、スタイリストであり、サーフィンやスノーボードなどアクティブなライフスタイルをおくる野崎美穂さんが主宰するコーヒーショップ。また、markに登場していただいたベスパ齋藤さんもベスパブースにいらっしゃったりと、なんだかとっても縁を感じる大会だな〜としみじみ啜るコーヒーは一段と美味いのでした。(ちなみにですが、MAMMのスタートゴール会場となる『不動の滝自然広場オートキャンプ場』オーナーの一人で、今大会の事務局も務める伊藤正裕さんは、markのデザイナーさんでもあります!)

 

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前日イベントでは、お餅つきの催しも。普段は炭水化物は控えて糖質制限している海達、実はお餅が大好物だそうで、しっかり餅つきに参加し、「カーボローディングだし!」と嬉しそうに頬張っておりました。

そうこうしていたら、突然雨が止み、絵に描いたような青空が広がりました。紅葉に染まった山々と雨上がりの神々しい空に感動しながら、不動の滝自然広場オートキャンプ場にて意気揚々と今日の寝床を設営。

 

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私は『不動の滝自然広場オートキャンプ場』で借りたPOLERのテントを(上)、海達は持参したソロテントTERRA NOVA(テラノバ) レーサーコンペティションを(下)をそれぞれ設営

その後、前夜祭に参加するため、再び三ツ星オートキャンプ場へ。前夜祭では、この大会のプロデューサーであるトレイルランナーの望月将悟さんが登場。今年の山の日に、みごと4連覇を果たした『トランスジャパンアルプスレース』についてのお話や、今大会の魅力について語りました。

 

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「制限時間めいっぱい使って、とにかく楽しんでください!」。大会プロデューサーの望月さんの言葉に、本番への不安が和らぎました

 

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キャンプといえばバーベキュー! 肌寒い屋外でも暖かい光景

 

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そんな前夜祭をあとにして、温泉に入り、ちゃっかり晩酌もして、明日の補給食などを買い込み、綺麗な星空を眺めながら焚火なんかもして、なんだかんだで1時頃に就寝。夜の気温低下におびえて、-6まで耐えられる寝袋を前日に購入し準備していましたが、予想よりもはるかに暖かく快適に眠ることができました。

MAMMの最大の魅力は、がんがん走れるコース
睡眠時間は約5時間。6時頃に起床し、7時、いざスタート! 自身初の山のレース、スタミナと走力の心配はありましたが、山登りをする感覚でゴールできたらいいやと、スタートしてしまえば気楽な気持ちになりました。

 

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下記の獲得標高をご覧いただければわかる通り、最初しばらく登り、中間でアップダウンがあって、(ハーフの)最後はひたすら下りという、メリハリあるコース。最初の登りでは、海達先輩の「前半はとにかく我慢」という言葉を反復しつつ、心拍に注意深く耳を傾け進みました。「トレランってあんまり走れないものだよな、そういえば」って思いながら、最初の登りをやり過ごしましたが、ひとつ峠を越えたら気持ちよく走れる箇所がでてきました。そう、この大会は“走れる”ところが魅力なんです。

 

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「マウンテンマラソン」というだけあって、トレイルが少なく、コースは林道が半分以上を占めるので、細かなアップダウンやテクニカルな場所もほとんどない。予想以上に長く走れる道は、トレラン初心者の私のテンションを上げてくれました。また、この日の天気は快晴で、最高気温は20度近く思った以上に暑かったですが、おかげさまで絶景を望むこともできました。大井川対岸にある紅葉の名所、大札山稜線を眺められるポイントや、富士山が見える場所もあったりと、秋の爽快な景観にさらに気分は上々です。

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道中、インスタントカメラで撮影した写真

トレランもキャンプも初心者の私が安心して楽しめた2日間

そんなこんなであっという間に、4時間が経過。10km〜14kmまでの登りは13分/1km程のペースまで落ち込みましたが、なんとか最後の下りでは巻き返していこうと意気込み、下り始めるとフルを走るランナーたちが大勢折り返してきて、「ナイスラン!」「ファイト!」などと声を掛けてくれます。私もそれに応えて言葉を返します。この掛け合いが新鮮で、パワーをもらえました。ゴールまで約3kmほど、走り始めて4時間を少し過ぎた頃に海達先輩にも遭遇。(持っていたインスタントカメラでパシャリ。)

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「あと45分! たぶんいける!」と、なんとも冷静な声援をいただき、最後の力を出し切り、無事ゴール! したはいいものの、計測チップが見当たりません…山のどこかで落としてしまったようです。なので、正確なタイムはわかりませんが、約4時間44分で私のマウンテンマラソンデビュー戦は終わりました。

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周りのランナーの方々、日向ぼっこをして川の流れを眺めながら疲れを癒していました

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先述の、markデザイナーであり、不動の滝自然広場オートキャンプ場のオーナーでもある伊藤さんにゴール後会えました

ハーフのゴール会場は川根大橋付近。大井川を眺め、しばし休憩した後、大井川鉄道に乗ってフルのゴール会場(スタート地点)へと向かいます。列車のなかでは、のどかな日射しに照らされて、睡魔に負けて爆睡。車窓からの景色を眺めることができなかったのが悔やまれます。

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千頭駅→下泉駅行きの大井川鉄道は1時間に1本程度しか運行していないため、のんびりと会場へ戻るとすでに海達はゴール済みで、フィニッシュには立ち会えず…。ゲートで再会した海達先輩は心無しか頬が痩けてました。タイムは7時間22分程。しっかり脂肪を燃焼した証ですね。

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こうして、我々のMAMMは幕を閉じました。私にとっては、初の山レース。まったく練習をせず挑んでみたわけですが、思っていたよりも無理せず、楽しんで走り切れました。キャンプをして、山を登る。それを個人単位で実行するのは、私にはまだちょっとハードルが高いですが、MAMMでは安心して、そのどちらも楽しむことができました。トレイルランもアウトドアも、ギアやウェア、移動手段に宿泊施設等々、プランニングすることが多いものです。それは醍醐味のひとつでもあり、経験値を積むことで自分流のカスタマイズを楽しめるわけですが、私のようなエントリー層にとっては(出不精という性質もありますが)、まずは入り口が必要です。そんな入り口を探している方々にとって、とてもオススメなレースがこのMAMMだと思いました。足踏みしている方、来年はぜひエントリーしてみましょう!

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MINAMI ALPS Mountain Marathon(MAMM) 南アルプスマウンテンマラソン
主催 南アルプスマウンテンマラソン実行委員会
開催地 静岡県榛原郡川根本町
公式サイト http://www.ma-mm.com/