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元プロ陸上選手であり、弊誌「mark」07号でも取材させていただいている為末大さんが館長を務める「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」が12月9日にオープンしました。

このスタジアムは為末さんが代表取締役を務める株式会社侍、障がい者アスリート向けの義足を開発するXiborg、特定非営利活動法人SLOWLABEL、東京ガス用地開発の4社で共同運営。コンセプトは「すべての人に、走り、体を動かし、自分を表現する喜びを!」。スポーツを健常者と障がい者でカテゴライズすることなく、純粋に「走る」楽しみを構築することを目的としているそうです。

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施設のメインとなるのは一直線に伸びる全天候型60mのトラック。競技用義足の開発ラボのほか、ユニバーサルデザインのトイレを備えたランニングステーションを併設。アスリートだけでなく、一般ランナーや子どもまで開放されています。イベントも随時開催されており、50mの測定会や義足体験、車いすのレーサー体験なども行っていく予定です。

また、エクステリアには、オリンピックやサッカーW杯など、世界最先端のスポーツ施設に利用されている高機能フッ素樹脂膜材「ETFEフィルム」を、日本ではじめて大規模に採用。「ETFEフィルム」は厚さ250ミクロン、重さ440g/㎡と非常に軽くて薄い素材ながら、20年以上の高い耐久性を備えているそう。さらに、施設周辺にはランニングコースの整備も予定されています。

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「足が速くなって有利になるスポーツは多いですよね。もし日本人全体で速くなれば、多くのスポーツでメダルを獲得したり、結果的に世界で勝負できる可能性が高くなっていくはず。陸上競技に限らず、足が速くなりたいすべての方がここでトレーニングして、刺激しあってほしい」と、為末さんは大きな期待をよせています。

為末大さんが思い描く”理想郷”への試金石となるか

新ランニングスタジアムオープンの経緯について為末さんは「障がいのあるなしでスポーツは分断されるものではない。だからその象徴となる風景が必要でした。2020年に向けてパラリンピックやオリンピック専用の施設はありますが、1つに融合された場所はなかった」と話します。

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実際、パラアスリートは、まだまだプロ野球選手やサッカー選手と比べると”近い”存在ではない人も多いはず。とはいえ、義足をまるで以前から備わっているように扱ったり、視覚を遮断されることで聴覚が驚くほど鋭くなるようなパラアスリートは、健常者アスリートにはない能力をもった”スーパーマン”のような存在。人間の身体的な可能性も含めて、近年注目されています。

「ただ、日本には障がい者をマイノリティととらえ、躊躇する傾向があります。この壁を取り壊すには”慣れ”が重要。パラアスリートが街中に多くいたら、そのこと自体が普通になる」と為末さん。スポーツにおいて、健常者と障がい者を単純にセパレートするのではなく、新たな概念や技術によって次世代のスポーツ社会の形を模索していく。この場所は為末さんにとって”理想郷”のための、試金石といえるかもしれません。

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新豊洲Brilliaランニングスタジアム
住所:東京都江東区豊洲6-4-2
料金:1回券500円(学生・障がい者)/800円(一般)、月契約(2000円~)、年契約(2万円~)
公式サイト http://sportxart.jp/running_stadium/