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シーズン真っ最中の1月某日。編集長の松田、荒川、海達で雪山の旅へと出かけました。私たちが選んだ先は野沢温泉スキー場。1923年に設立されて以来、地元の人たちが中心となって営まれ、今も代々引き継がれていく文化が色濃く残る古き良き場所です。
日本では、スキーは教育制度の一環として始まり、全国へと広がり、国民的スポーツとして周知されたそうです。確かに、思い起こせば、小・中学生時代。任意参加ではあったものの、市が運営するスキー合宿の参加案内が学校から届いていたので、私の周りには未経験者がほとんどいませんでした。そんな環境にいたせいか、学生時代はシーズン中は少なくとも月に1度は雪山でスキーをしていた筆者荒川(地元は埼玉)。今回は、20年ぶりに再開を果たした私が、過去の記憶を思い起こしながらも感じる野沢の”今”をレポートします。

北陸新幹線が開通したことにより、野沢がぐっと近づいた

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北陸新幹線で東京駅から飯山駅(長野県)までは約111分(直行)、そこから約30分の野沢温泉行きの直行バス(片道¥600/人)に乗り継ぎ、現地へと到着しました。長野県内のイメージは、車がないと行けない場所というイメージでしたが、便利になったものです。今回の旅では、ウェア以外は全てレンタルする予定だったので、部員の荷物もかなりライト。不慣れな雪道でのドライブも、両腕両肩に担ぐ大きな荷物もない、となると、スキー旅に来た実感かなかなか湧きません。(笑)

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バス停では今回の旅の案内人となるスキーヤーの河野健児さん(左)、THE NORTH FACEの田中さん(右)にお出迎えをしていただき、早速、河野さんのご家族が経営される、宿屋「白樺」へと向かいました。

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実は、去年の秋にonyourmarkの取材でこの地に訪れたばかりの荒川。2度目となる野沢の街は多くのスキーヤーで賑わいを見せ、活気に溢れていました。特に20年前と大きく変わったのは、外国人観光客の多さです。平日に行ったということもあるかと思いますが、日本人よりもはるかに多くの旅行者を見かけました。

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ここ宿屋「白樺」では、従来の和室はもちろん、観光客のニーズの移り変わりに応じて、長期滞在者向けにリノベーションされた5つのベッドとダイニングルームが設置された大部屋の洋室が完備されています。

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前日まで1週間以上雪が降り続いたおかげで、かなり雪の状態は良いとのこと。そこで私たちはチェックインをすませるとすぐに、スキー場へと向かうことにしました。まだまだ雪の現場に不慣れな私は勝手がわからず、案内人の健児さんと田中さんの後ろへと続きます。どうやってスキー場までいくのかな? バスかな? 車かな? なんて想像しながら歩を進めると、”あ、徒歩か”。ということに気づきました。

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今回無理を言って連れてきた我が娘は、人生初のスキー旅行。スキー場までの道中は生まれて初めて目にした”つらら”と、壁のように積もった”雪”に夢中です。はたまた、編集長松田と海達は、お土産屋さんで日本酒を物色。湯けむりに包まれた宿屋が並ぶ街の景色を眺めていると、幼少の頃によく行っていたスキー旅行の記憶が蘇ってきました。スキー旅って、スキーだけが楽しかったわけじゃなかったかもなって。

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道草をしながら、約10分くらい歩き、山の麓からスキー場までにつながる動く歩道「遊ロード」(無料)へと乗り込むと、野沢温泉のスキー場へと到着です。まずは、今回のお世話になるお宿「白樺」が経営するレンタルショップ「Shirakaba」で板やブーツを借りることにしました。

”安かろう、古かろう”の固定概念を払拭したレンタルショップ

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部員全員は、スキー、ブーツ、ストックのスタンダードセットを2日間(¥8200)借りることにしました。ここでは、3年サイクルで在庫を一掃し、できる限り、毎シーズン、新作のギアも取り揃えるようにしているそうです。小学生の頃、まだまだ成長するだろうから、といって、親になかなかスキーとブーツを買い与えられず、毎度レンタルショップにお世話になっていた私。柔軟性とクッション性が欠如したプラスチックのブーツと使い古された板を思い出しながら、”あの頃は、自前を持つことこそがステータスだったよなぁ”と、感慨に耽ります。その間に、スタッフの方が、サクッと最先端のカービングスキーとブーツを用意してくれていました。新作ブーツを履きながら、レンタルすれば、わざわざ重い思いをして旅の移動をすることもなく、オフの間のギアの管理も気にすることもないな、と、現代の人たちが求める”手軽さ”という需要に応え、変貌を遂げたレンタルショップの”今”に思いを馳せつつ、パフパフなゲレンデへと向かいました。

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最近のスキー事情に疎い3人。慣れないカーヴィングスキーを履いて、ゲレンデに立つと、まずは健児さんに現状の私たちのレベルを確認してもらいます。

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カーヴィングにおける基本的な体重移動の指導を受けるや否や、部員全員の”滑り”に明らかな変化が垣間見えました。やっぱり教えてもらうと違うなぁ、もう少し斜度のあるところまで行きたいな、という心とは裏腹に、降雪はどんどん激しくなり、天候もよくなくなってきてしまったので、明日の”晴れ”予報に期待を込めて、本日は2~3本滑って、宿へ帰ることに。

「さて、外湯に入って、あったまってから、食事にしましょうか」

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温泉街に点在している十三の外湯は、江戸時代から湯仲間という制度によって守られてきた野沢の象徴とも言えます。100%かけ流しの天然温泉は無料で入れますが、各温泉の入り口にはお賽銭箱が設置されているので、小銭を持っていくことをお勧めします。この外湯カルチャーは今も昔も外湯は村の人達に根付いていて、日々利用している人が多いそうです。それゆえ、管理がしっかりと行き届いていて、どのお風呂も清潔感があります。何より、(シャワーがないので)オケで体や頭を掛け流すスタイルが、懐かしい気持ちにさせてくれました。

野沢で採れた山菜と野菜で

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夜は、白樺の宿の横にあるカフェ&レストラン「七良兵衛珈琲(shichirohei coffee)」で、コース料理をいただきました。ここは健児さんのお兄さんである克幸さんが手がけたお店。長野県スキー連盟の副会長を務める健児さんのお父さんをスペシャルゲストとして同席していただき、野沢のスキーの歴史を伺うことに。(この話は次回にじっくりとお楽しみに!)

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宴もたけなわで一度は解散しかけたものの、歩いて数分のところに、手造りにこだわるマイクロブルワリーのタップルーム「Anglo Japanese Brewing Co,」があるって聞いてしまったもんですから、ビール大好きコンビ、荒川と海達の立っての希望で、1杯だけひっかけに行くことにしました。

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店内は立ち飲みでしたが、カウンターが埋まるほどの大盛況。入れなかったので、お持ち帰りにして、ビール片手に雪道の夜の散歩をすることにしました。スキー場へ向かう道中に見つけた酒屋にまたも立ち寄り、寝酒用のお酒を物色。私は地ビールの瓶ビールを購入。しかし、悲しいかな栓抜きを持参してなかった故に、家に帰るまで味わうことができずじまい。

明け方まで降り続いた雪が止み、晴天に恵まれた絶好のスキー日和

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翌朝。私たちはゴンドラを乗り継いで、野沢温泉の街を見下ろせる山頂まで行き、パウダースノーのフィールドでライディングを楽しみました。

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見下ろす先に野沢の町。そして、青い空に銀色の世界。最高の気分で滑走します。

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2日目ともなると、私たちの足もスキー板にだいぶ慣れてきました。足取りも軽やかに、気持ちもリラックス。とはいえ、20年ぶりにスキーを復活した私が気にしていたことは、自分の身長よりも低く、幅のあるカーヴィングスキーをどうやったら現在のスキースタイル風に乗りこなせられるのか、ということ。しかし、健児さんに指導されればされるほど、基礎は一緒である、と思い直しました。

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「要は、いかに遠心力を利用するかなんです」とカーブに関しての指摘を受けると、自分で言うのもなんですが、滑り方がガラッと変わる感じがしました。体重移動とか、体を斜面と平行になるようにねかせる感じとか、滑るたびに体が思い出し始め、スキーと一体化していくような感覚になっていきました。

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健児さんのパフォーマンスは、真似はできないですが、イメトレの参考にさせていただくことで、アドレナリンが湧いてきます。

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ハーフパイプでは健児さんが圧巻のライディングを見せてくれました。プロのパフォーマンスが生で見れるのは貴重な体験です。

スポーツって、日々上達が見えてこないと、途端に気持ちが切れてしまうことが往々にしてありますよね。思い起こせば、私がスキーに行かなくなってしまった理由の一つは、これ以上やっても? と思った時期があり、それを境に行かなくなってしまいましたような気が。たまに指導を受けて、気持ちに刺激を与えることが、モチベーションにもつながる、これはスポーツ全般に言えること。当時の記憶と今をリフレインしながら、絶好調の雪上でのライディングを楽しみました。

我が娘、念願のスキーデビューを果す

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娘はウェアもギアもフルセットでレンタル(¥5700/日)しました。親が教えるのもなんなんで、スキー場にあるキッズスクール(¥4000/半日、¥6000/1日)に入れてみると(その間私もスキーを楽しむ)、なんと、半日コースの2時間で(めちゃめちゃなだらかですが)傾斜で滑り、ストップができるようにまでなっておりました。スクールから戻るや否や、どうしてもその成果を見せたいと乞うので、ゲレンデの麓にある、無料で使える施設キッズパークでしばし親子の時間を満喫。なだらかな丘の上までは、2台のエスカレーターが完備されており(無料)、施設内は常時スキー場のスタッフが監視、管理してくれています。さらにソリも無料で貸し出しをしてくれるという、スキー場のホスピタリティに感激します。例えてよろしければ、ここはまさに雪山の児童館です。

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たったの2日間でしたが、非常に濃厚な旅でした。スキーも、お風呂も、ご飯も、宿から外に出て、住んでいる人々と触れ合うことで、楽しむ旅。歩くことで、ローカルになった気分も味わえ、古き良き文化を残しつつも、時代に応じて自然な形で変化する野沢は心地が良かったです。リゾート地のように、ホテルの敷地内だけで楽しむスキーも魅力的ですが、街とスポーツが密接な関係にあり、寄り添いながら成長していく野沢に、ここにしかない”発見”を見出せた気がします。家族でも、夫婦でも、友達でも、会社仲間でも、どんなメンバーでも安心して楽しめる野沢の町を是非体験してみてはいかがでしょうか?