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(協力:ヘインズブランズ ジャパン株式会社株式会社IMPRINTアクエリアス
(写真 古谷勝 / 文 松田正臣)

2017年5月、日本人には親しみを感じるダニエル・K・イノウエ空港と名前を変えたハワイ・ホノルル空港には、いつも以上に祝祭的な雰囲気が満ちていました。自転車輸送ケースを押して楽しそうに出国ゲートをくぐってくる老若男女。腕に嵌めたいかついスポーツウォッチとショートパンツから覗く日焼けして引き締まったふくらはぎ。彼らはまごうかたなきアスリート。そう、年に一度のお祭り、ホノルルトライアスロンに参加するトライアスリートたちです。

この大会のためにスイム、バイク、ランと3種目のトレーニングを積んできた選手たちが輝いて見えます。この感じ何かに似ている。それは、2012年に初開催されたウルトラトレイルレース『UTMF』の会場に到着した時の高揚感。スポーツイベントでありながら音楽フェスのような雰囲気と自分がそのイベントを構成する一員なのだという誇らしいような気分を久しぶりに思い出しました。

ウェットスーツ問題
ホノルルに到着したのは大会2日前の朝。着いて早々、時差調整も兼ねて身体を動かします。初心者の多い我らがチームCPFU、メンバー最大の懸念はオープンウォータースイム。会場となるアラモアナパークのビーチでのスイムは、海岸に並行するようにして750m直進して折り返すシンプルなコースレイアウトです。乾いていながらも肌を射すようなホノルルの日差しを受けてランニングした後に飛び込む海は、最高!のひとこと。寒かった館山合宿の海での練習とは全く気分が違います。浮力の高い海水でのスイムは推進力もあって快適。本番でもイケる、という手応えを感じました。

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ただここでひとつ問題が。このホノルルトライアスロンでは水温が25.5度以下の場合、ウェットスーツの着用が認められます。しかし、25.6度以上の場合、着用は可能ですが入賞はできないのです。これはトライスーツのみで開放的に泳ぎたい熟練したトライアスリートには喜ばしいレギュレーションですが、我々初心者にとっては悩ましいところ。ウェットスーツを着て泳ぐと可動域が制限されたりはするものの、浮力が圧倒的に上がり、その結果タイムがかなりアップするのです。また、溺れる心配もないため、初心者には心理的な安心感が増すことも大きい。自分の場合は確実にウェット着用だなと考えていましたが、実際にアラモアナの海で泳いでみると意外と泳げるし、開放的で気持ち良いしで迷いが出てきました。そこでものは試しと水着オンリーとウェットスーツ着用状態で泳ぎ比べてみることに。ここでSUUNTOが大活躍。オープンウォーターモードで実際に計測してみました。すると約500mを泳いで、水着着用で2’42/100m、ウェットスーツでは1’55/100mと圧倒的なタイム差が!(水着は途中ブレイクもあったので参考タイムですが)まあ入賞する可能性はないし、タイム重視でウェットスーツ着用を決心しました。

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心強いチームでの参加
今回はこれまで一緒に練習をしてきたチームCPFUでの参加。HISさんのサポートもあって、ホテル移動から事前エントリーまでスムーズです。滞在先のプリンスホテルも大会会場となるアラモアナパークまで歩いて行けるベストポジション。多くの参加者がこのホテルに泊まっています。ホテル側もこの大会には慣れたもの。バイクは各自の部屋で保管するのですが、エレベーターに載せてもOK。他の宿泊客もレース頑張れよ!と気さくに話しかけてくれます。

ホテル裏の広場では帯同したコーチのKCさんこと高嶺寛己さんがメカニックとしてチームメンバーのバイクをメンテナンスしてくれています。トライアスロンのレースでは、バイクをバラして運び、そして組み立てるという一連の作業が不可欠。ここで何かミスがあるとレースでは致命的。最悪マシントラブルでリタイアもあり得ます。こうして慣れたメカニックにマシンをチェックしてもらえるのは大きなアドバンテージでしょう。

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総監督の大西勇輝さんと適度に身体を動かし、みんなで事前エントリーを済ませると不安よりも楽しみな気持ちが勝ってきました。極めつけは腕にゼッケン番号のタトゥーシールを貼った瞬間でしょう!これでトライスーツを着れば見た目だけは断然トライアスリート。明日のレースが本当に楽しみになってきました。

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いよいよスタート
大会当日の朝はマラソンもトレイルランも、そしてこのトライアスロンも共通した何かを感じます。早起きした気だるさとレースに臨む緊張感、結果を求める気持ちとなるようになるさという諦めにもにた感覚。でも自分の場合はいつも不思議と静かな平常心で満たされることが多いように思います。

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まだ暗いアラモアナ・ビーチ・パークのトランジションエリアは賑わっていながら、選手たちの集中力が伝わってくるような不思議な静けさがありました。自分の番号が振られたラックに自転車を収め、ヘルメットのストラップを外して素早くかぶれるように準備します。ビーチの砂がついた足を拭くタオルを準備してシューズを履きやすいように整えます。偶然隣のラックになったトライアスロン経験のあるチームメイトの大槻さんが、いろいろと教えてくれて心強さを感じました。

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最後はチームで集まってストレッチ。円陣を組んでお互いの健闘を祈りました。

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ホノルルトライアスロンのスタートはウェーブ方式。まずはエリートカテゴリーの出発を見送ります。チームからはコーチの高嶺寛己さんと奥様のプロ選手高嶺直美さんが出場。同じウェアを着たチームメイトがエリートでスタートするのはなんとも誇らしい気持ちです。

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その後は年代別にスタート。自分が入るM45-49(45〜49歳男子)はもっとボリュームゾーンのように見えます。いつものことながら周りの選手が皆自分より強くて速く見えてしまいます。

そしていよいよスイムスタート、一斉にビーチを駆け出します。水深が膝の高さを越えたら飛び込んで泳ぎ始めます。あれ、懸念していたバトルは思ったよりも激しくない。無理して前に出ず、マイペースを心がけます。無駄に距離を泳ぎたくないのでインコースぎりぎりを保つと自然に流れに乗っていけました。ウェットスーツの効果なのか、はたまた海での泳ぎに慣れたのか速度もしっかり出て、まわりの選手よりもややペースが速めのよう。やがて前を行く30代女子の集団に追いついてきました。折り返し点辺りにくると上を向いて浮かんで休んでいる選手や、平泳ぎでペースを落としている選手をぐんぐん抜いていけます。流石に最後の300mくらいに来ると速く終わらないかなと疲れてきましたが、初めての1500mを難なく泳ぎ切ることができました。

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元世界水泳メダリストの細川大輔さんは、さすがの上位でスイムアップ

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余力を残してスイムアップをすることができました

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初めてのトランジションもそつなくこなせ、バイクへ。アラモアナセンターから西へ向かい、空港の近くを周って戻ってくるコースです。バイクはオリンピックディスタンスの3種目の中で一般的に一番時間を使う部分。ペース配分に気を配り進みます。

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振り返ってみると個人的には、このバイクパートが一番興味深い部分でした。なぜなら参加選手の幅広さやキャラクターが一番見えてくるから。バイクが得意な選手はエアロフレームやディスクホイールでいかにも速そう。でも、いかにもアスリートという選手が自分の後ろから追い越してくるということは、随分スイムがゆっくりだったということ。逆に自分のはるか前方には、レンタルバイクと思しき自転車にクリートもなしの普通のスニーカーで漕いでいる若者も。きっとスイムはとても速いけど、普段はバイクに乗ったりはしていないのでしょう。トライアスロンというと日本ではなんでも一式揃えて、カタチから入らないといけないイメージですが、実はもっと自由なものなのかもしれないなと思いました。

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練習では意外と得意なことがわかり自信が芽生えつつあったバイクパートですが、空港付近で折り返すとかなり厳しい向かい風に。30kmを過ぎると脚の各部に乳酸が溜まってきたのが感じられ、ぐっと踏ん張るのが厳しくなってきました。これで40kmもつかなと思っていたところ、おもむろにアラモアナセンターが見えてきます。そう、現在のホノルルトライアスロンのバイクコースは若干40kmに欠けているんです。しかし、おかげで助かりました。

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最後のランはビーチパーク内を2周+αの10km。周回コースなので、多くのチームメイトとすれ違うことができました。同じユニフォームを見つけて、手をあげて励まし合うたびに練習を重ねてこのホノルルを走れている喜びが湧き上がります。もちろん身体は最高にキツイのですが。

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ダイヤモンドヘッドを背に海沿いのコースを走ったらみんなが待つゴール!とうとうトライアスリートの称号を手に入れることができました。

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振り返ってみれば順調すぎるほどのレースでした。結果は以下の通り。

TIME:2:33:39
SWIM:31:56
T1:3:10
BIKE:1:07:35
T2:2:05
RUN:48:56

スイムは自分の想定をはるかに上回るタイムでクリアできていました。バイクはほぼ想定通りの内容。最も得意なはずのランはまったく追い込むことができず課題を残しましたが、初めてのトライアスロンで満足の行く結果を残すことができました。

これも、大西コーチをはじめとしたスタッフのみなさんと、一緒に切磋琢磨したチームメンバーと出会うことができたから。自分が好んで楽しんでいるトレイルランやトライアスロンは個人スポーツでありながら、ときにチームのメンバーと、そしてレースで出会う一期一会の選手たちとかけがえのない瞬間を共にするのが最大の魅力なのだと改めて確認することができました。

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チームメイトの大槻さんの目にはうっすら涙が

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エリートカテゴリーで出場した高嶺選手はなんと女子優勝。TEAM CPFUが表彰台に上がりました。

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レース後にはチームメンバーの中からトライアスロン初挑戦となった何人かにレースの感想を聞いてみました。

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「バイクが辛かったですね。スイムは思ってた以上にスイスイいけたんで練習すればもっといけるかもって伸び代を感じたんですが、バイクは練習を3回くらいしかしてなかったから風が辛くて」とモデルの大木美佳さん。

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「あの空港のところは風がすごかったよね」とうなずく渡辺和史さん(右)はコカ・コーラ社マーケティング部のディレクターを務めている。元世界水泳メダリストの細川大輔さん(左)も「海沿いの帰り道やばかったですね」と共感。

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「疲れました。普段やっている瞬発系スポーツとは全然違いますね」とケイン・コスギさん。「1月の終わりからトレーニングを始めて、最初は25mも泳げなかった状態から、今回楽に海を泳げるようにしてくれたコーチたちに感謝ですね。少しづつトレーニングすれば長い距離も泳げるようになったから、それが一番の嬉しいこと」

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大木「チームで参加したから、すれ違いの時にCPFUってはっきり見えるんで、あ〜!って手を振って。それだけで気分上がりますね。あとゴールした瞬間は最高でした」

渡辺「仲間が待ってるっていうのがね。レース中もそうなんですけど、練習中もお互いのウイークポイントが一緒のひとが集まって自主練やろうってなったのとかすごく大きくて。ぼくら館山の合宿の時に海練習が相当ダメだったんですけど、その後GWで自主練したんですね。それで克服することができたんで、そんなとき仲間がいてよかったなって」

細川「やっぱり不安なことが言える仲間っていいじゃないですか。ぼくはこんなところが不安でって話し合った上で、お互い頑張りましょうよっていうのがよかったですね。またそれを達成して、お互いできたねって喜び合えるっていう。このチームっていうのはそこが一番良かったかなって」

ケイン「いままで、独りでやるトレーニングやスポーツが多かったので、みんなと一緒にやるのは改めて楽しいですね。ライバルではないですけど、みんなが一生懸命やってるから自分も負けないくらい頑張ろうって。手は抜けないですね。それがすごくパワーになりました」

みんながレースを経て、課題と手応えを感じていたようだ。そして、そうした課題を一緒に克服できる仲間を得たことを大切な財産だと感じている。TEAM CPFUでのトライアスロンチャレンジはここで一度幕を下ろすが、それぞれがこのチャレンジで得たものを次のスポーツライフに、さらに今後の人生に活かしていくに違いない。

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WHAT’S CPFU?

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スポーツとライフスタイルをつなぎ、心身のパフォーマンスを向上させる。ChampionがリリースするアーバントレーニングユニフォームCPFUは、そんな思想を背景に誕生しました。その思想を体現するコミュニティとして結成されたのがTEAM CPFU。年齢、性別、職業を問わずお互いをモチーベートし合い、同じ目的を目指す大人たちが集います。トレーニングやスポーツをライフスタイルに浸透させることは簡単なことではありません。一人では続けられない練習も、相互に助け合い、励まし合うことで、チーム一丸となって超えてゆくことができる。そして、目的を達成した時の喜びはより一層大きくなる。TEAM CPFUはスポーツの新たな魅力を創出する、今までにないコミュニティです。

詳しいPRODUCT LINE UPはこちら

左上:87C JERSEY Tシャツ(C3-KS302)  右上:STRETCH TAFFETA ショートパンツ(C3-KS503)  左下:ウィメンズ MM JERSEY Tシャツ(CW-JS301) 右下:ウィメンズ STRETCH TAFFETA ショートパンツ(CW-KS502)