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アイアンマンは“メンタルゲーム”

OYM:アイアンマン世界選手権であれだけ勝つことのできた秘訣は何ですか?

デイブ:これまで話してきた食とか、トレーニングは非常に重要だと思うけど、6回世界選手権で勝った理由というのは、実は食やトレーニングがうまくいったというよりもメンタルの持ちようだと思っている。

20名を超える受講者ひとりひとりに的確なアドバイスを行うデイブ氏

私がレースの日の朝いつも心がけていたのは「これから良いレースをするぞ」というポジティブな気持ちをいつも持つことだった。レースを転戦していると、自分のコンディションとか練習の積み重ねとか身体の具合というのは良いときも悪いときも色々ある。しかしそれを踏まえたうえで、より自信を持てるような暗示みたいなものを自分にかけて、あとは負けたくないという気持ちでスタートを切ったんだ。

OYM:HOKA ONE ONEのアンバサダーもされていますが、デイブさんが感じるHOKAシューズの魅力とは?

デイブ:カカトが上がりすぎていないところ。一般的なシューズではドロップは8mmや12mmといったところだが、HOKAは4〜5mmだ。完全にフラットなシューズだとアキレス腱に負担がかかるから、これくらいがちょうどいいんだ。ソールの見た目は分厚くふわふわしているように見えるが、HOKAのメタロッカーテクノロジーは、実際のところクッショニングと反発のバランスがとてもいい。

デイブ氏も愛用するHOKA ONE ONEのシューズ

5年前からこのブランドのアンバサダーをしていて、一番優れていると感じるのは開発チームの存在だ。5年前はいまほどデザインも洗練されていなかったが、年々良くなっていると感じるよ。ソールだけでなく、アッパーの通気性も素晴らしいが、見た目を裏切る軽量性もいい。もともとはトレイルランナーのためのシューズブランドだったが、いまやトラックやロードランナーにも対応する。体重95kgのひとから、トップレベルのランナーまで履けるラインナップなんだ。

OYM:オリンピックディスタンスとアイアンマン、それぞれのランでは何を履いたらいいでしょうか?

デイブ:みんな軽いシューズを選びがちだが、軽さが必ずしも正義というわけではない。人によってプロネーションも違うし、これ、というのは難しいけども、アイアンマンでは〈クリフトン6〉、そして私が今履いている〈リンコン〉はいいと思う。軽量なレーシングシューズ〈カーボンX〉の人気は高いが、私個人はアイアンマンでもオリンピックディスタンスでも〈リンコン〉を履くね。

OYM:なぜトライアスロンというスポーツに惹かれたのですか? トライアスロンの魅力とは?

デイブ:私はトライアスロンの3つのスポーツ、どれも得意だった。特に水泳のバックグラウンドがあり、自信をもっていたのだが、やってみたら水泳よりもランニングに適性があったのは面白い発見だったね。これら3つのスポーツを、疲労の中で行い、それで人に勝つのが面白かった。特にアイアンマンでは、長い競技時間にいろんなリズムがあり、ハマると「このまま永遠にいけるんじゃないか」と思える時がある。そういう「メンタルゲーム」の要素も魅力だね。


OYM:最後に、トライアスロンを始めてみたい人にアドバイスをお願いします。

デイブ:トライスロンでは色々な要素が組み合わさっていて、それだけの多様性があり、いろんな楽しみ方があり、可能性は無限大だ。パズルのように、どこをどう切り取って楽しむかも自由だし、自分を伸ばす可能性がたくさんあるスポーツだよ。

デイブ・スコット

デイブ・スコット

1954年生。1980年のIRONMAN世界選手権で初出場・初優勝を大幅なタイム更新とともに果たし、IRONMANを挑戦するスポーツから、競うスポーツへ転換させた。世界選手権は最多タイとなる6勝をあげており、その実績と指導者として理論を駆使する総合性から敬意をもって『THE MAN』の愛称で呼ばれる。現在はオンラインコーチング〈デイブ・スコットトライアスロンクラブ〉を主宰しながら、世界各地でもトレーニングセッションを行なっている。