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本メディア〈mark〉と、D2Cアパレルブランド〈HERENESS〉を事業展開する株式会社アルティコが〈B Corp〉認証取得に向けて取り組む様子を、これまで2回に渡りお伝えしてきました。なぜわたしたちは〈B Corp〉を目指すのか、BIA(B Impact Assesment)を通して会社運営にどのような影響を受けたのか、など〈B Corp〉認証を目指す企業のひとつのケースとして参考になればと記事にしているので、ぜひご覧ください。

mark特集【HOW B CORPS ARE CHANGING THE WORLD.

わたしたちも〈B Corp〉認証を目指します! vol.01  2022.11.17
・ なぜ、〈B Corp〉認証を目指すのか
・ 認証までの道のり、BIAの達成基準
・ BIAを通して見えてくるもの

わたしたちも〈B Corp〉認証を目指します! vol.02  2023.05.08
・ BIAを通して見えてきた日本社会の課題
・ 〈B Corp〉基準に合わせるのか? 自分たちのこだわりを貫くのか?
・ 透明化する会社運営。網の目状に広がる社外へのインパクト

〈B Corp〉認証を取得しました

昨年12月、本メディア〈mark〉を運営する株式会社アルティコは、ついに〈B Corp〉認証を取得することができました。日本では、38社目の認証企業となります。(https://bthechgjapan.net/japanese-b-corps/

B Lab審査員との面談後まもなく、「Congratulations on Certifying artico as a B Corporation!」というタイトルで届いたメール。12月5日、晴れて〈B Corp〉の仲間入りをしたことが、B Impact Assessment 企業ページに登録されている従業員(当社の場合、全員)に通知された。

認証を取得するため動き始めてから、約1年2ヶ月が経っていました。通常業務を行いながら会社の仕組みを整えたり、必要なエビデンスを準備するといった長期にわたる取り組みが実を結んだ喜びと同時に、認証企業としての責任を実感しました。これまでと変わらず、人々と地球の健康に貢献する企業であることを目指すとともに、ステークホルダーへの貢献を強化していきます。

B Corp認証コンサルタント 岡望美さんインタビュー

わたしたちが無事認証を取得できたのは、ある方のサポートなくして実現しませんでした。〈B Corp〉認証コンサルタントの岡望美さんには、とても親身にサポートしていただきました。アルティコが認証取得に至るこれまでのプロセスを振り返りながら、改めて岡さんにお話を伺いました。

ーアルティコが認証を取得できたことを受け、どんなご感想をお持ちですか。

岡望美さん(以下、岡さん):真面目に、真摯に取り組んできた会社が認証を取得できて本当によかったです。週に一度、私との定例会議を設けていましたが、アルティコは全社員があの場に集まって、みんなで取り組んでいたことがやはりすごいなと。代表の松田さんの呼びかけにより、定例以外に社内会議も行われていましたよね。一番大切なのは、会社のなかで納得して進めていくことですから。とにかく全員が参加していることが印象的でした。markにおいては、読者の元々の関心領域でなくても「社会的意義があるから」と〈B Corp〉の特集を組んで発信し続けていることは、真の〈B Corp〉だなと思います。

ー日本におけるB Corpの存在はどんな意義があるとお考えですか。

岡さん:日本の会社はお客様の声を生かして、より良い商品やサービスを届けることが得意だと思います。そこはB Corpのアセスメントでも評価されますが、地球や人にやさしい新しいライフスタイルを消費者に働きかけるような挑戦がもっとあってもいいですよね。低価格の実現を重視するあまりモノ(原材料)がどこから来ているのかわからない、それ以前に問題を問題と認識できていないのが、私たち消費者だったりもします。だから環境や社会に配慮したモノが消費者に受け入れられない価格・品質になるのではないかと危惧する会社も多いです。しかし、多くの〈B Corp〉企業がクリエイティブに、そしてポジティブに課題を解決し、率先して地球と人にやさしい生活を訴求していく、勇気ある行動をしています。

オールバーズも返品ポリシーを変更したり、パタゴニアがショッパーを廃止したのもそう。そして、HERENESSのさまざまな取り組みが、我慢ではなくポジティブにお客様に伝わって、仲間を増やしていってくれるのだと思います。

ーアルティコの認証取得に向けてサポートする中で、苦労したことは何ですか?また、コンサルタントとしての気づきなどはありましたか?

岡さん:特に苦労したことはないですけど、緊張関係を維持できたことはよかったですよね。常に第三者としての意味を持たないといけないと思っていますが、ただの“解説屋さん”で終わってはいけないし、コンサルタントが手を入れ過ぎると、その会社が実現できるものにはなりません。でも私がそんな心配をしなくても、アルティコのみなさん全員が責任を持って取り組んでいらっしゃいました。

ーアルティコのBIAの採点をみて、どのような印象をおもちになりましたか?

岡さん:高評価を得られるインパクトビジネスモデルという領域で、メディア(mark)は、読者の行動変容を与えられるほどの社会的インパクトは大きいと言えると思うんですが、ジャーナリズムとしては認められず、惜しかった。HERENESSでも、先駆的な取り組みや方針が評価される一方、第三者認証の取得がジャッジの基準となって点数には加算されなかったり。でも、アルティコが柔軟に新しい仕組みを取り入れて加点された部分もたくさんありました。継続して運用していって欲しいです。


103.1点の自己採点で提出したBIAは、B Lab審査員の採点により、88.1点で最終着地しました。

ー岡さんが今後B Corpに期待すること、日本への普及についてのお考えを教えてください。

岡さん:まずは、〈B Corp〉認証企業が輝くことが大切ですね。本国アメリカをはじめ海外では、〈B Corp〉になった企業のコミュニティを強化して、結局それが影響力を持ってムーブメントが広がっていっています。だから日本でも認証企業同士やそのまわりのステークホルダーを巻き込んだコラボレーションなどが増えていったらいいなと思います。どの企業も通常業務で忙しいですが、お互いのアセットを生かしていければビジネスチャンスに通じるものもあると信じています。日本の〈B Corp〉ムーブメントをさらに盛り上げるべく〈B Market Builder Japan〉も立ち上がったので、橋渡しのようなことができたらいいなと考えています!

岡さんをメンバーの一人として〈B Market Builder Japan〉が新体制となり、ついに本格始動。〈B Market Builder Japan〉とは、日本の〈B Corp〉が世界とのつながりを強化するためにさまざまな活動をするB Labの公式パートナーとして、2024年3月にローンチされました。2016年に日本で最初の〈B Corp〉が誕生してから日本では様々な自主的な活動が展開されてきましたが、今回、正式にB Lab Globalからパートナー設立の発表がされています。

近日、日本語での情報発信や企業の窓口となるWEBサイトの開設など、2年後のB Lab Japan設立に向けた活動を行なっていくとのこと。日本における〈B Corp〉の変革を前に進めるための頼もしい存在として、〈ovgo Baker〉の溝渕由樹さんと、B Corp ハンドブック日本版を手がけた〈バリューブックス〉の鳥居希さんが共同代表となっています。B Market Builder Japan公式Instagramで公式な情報がチェックできるので、フォローしてみてください。

“いい会社”のお墨付きをいただいた私たちも、取得のプロセスで得られた多くの発見や気づきを活かしながら、ステークホルダーのみなさんの信頼を得られる存在に歩みを進めていきます。

〈B Market Builder Japan〉 公式インスタグラム:https://www.instagram.com/bcorpjp