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スポーツシーンを力強く牽引し続けているNIKEが、今夏のスポーツのビッグイベントの舞台となるフランス・パリで、〈Nike On Air〉と名付けられたエキシビションを開催。世界各国から集まったメディアに向けてNike Airをキーとした新作が発表された。

中でも注目したいのが「ナイキ ペガサス プレミアム」と「ナイキ ペガサス 41」という2つのペガサスだ。

ナイキ ペガサス プレミアム

「ナイキ ペガサス プレミアム」は、なんといってもフルレングスかつビジブルで搭載されたエア ズーム ユニットが目を惹く。このエア ズーム ユニットは、踵での着地から、つま先での蹴り出しまでの動作を効率よく、かつスムーズに行えるように設計されているという。新たなエア ズーム ユニットの開発のために、NIKEはコンピューティショナルデザインや、AIエンジン、ラピッドプロトタイピング(試作品を迅速に作るための従来の方法とは異なる技法)を駆使。デザイナーはエア ズーム ユニットを足の形状により近い新しい曲率に変形させることができ、その結果、ランナーはより効率の良いサポートをシューズから受けられるという。


PHOTO:FUMIHITO KOZU

ミッドソールには、軽量で反発性に優れ、「アルファフライ」や「ヴェイパーフライ」といったトップレーシングシューズにも使われているナイキ ズームX フォームを採用。そして踵部分には従来のリアクトフォームよりもエネルギーリターンが13%向上したナイキ リアクトX フォームを搭載。フルレングスのエア ズーム ユニットとの相乗効果により、長い歴史を持つペガサスシリーズの中で最も大きなエネルギーリターンを生むことに成功したという。

「ナイキ エア マックス Dn」の開発にも携わったナイキ NXT フットウェア VPのキャシー・ゴメス氏は、「ナイキ ペガサス プレミアム」について「ペガサス プレミアムは、ランナーが立体的なエア ズーム ユニットから可能な限りのエネルギーリターンを得られるように設計されたシューズです。バネのような働きを倍増させるだけでなく、走法やストライドなどに左右されることなくエア ズーム ユニットが足全体にフィットします」と話す。

また、Nike Airについては次のように語った。

「Nike AirはNIKEのストーリーの中心にあり、50年近い歴史を持っています。これは特筆すべきことだと言えるでしょう。さまざまなエキスパートやアスリートの力を借りて進化してきましたし、研究を重ね、多くのことを学んできました。なぜ、エアに自信を持っているのかというと、それが本当に素晴らしい技術だからです。反発性とクッション性を備え、耐久性にも優れています。そしてランニングにおいては、プレートや独自開発のフォーム素材と組み合わせることで、パフォーマンスを向上させるための優れたシステムを構築することができます。今もまさにNSRL(Nike Sports Research Lab)では、エアの可能性を探究していますし、今後も進化を続けていくでしょう」

「ナイキ ペガサス プレミアム」の発売は2025年の予定。少し先だが、楽しみに待ちたい。

ナイキ ペガサス 41

エア ズーム ユニットとフォーム素材のハーモニーが生むクッション性と反発性、安定性の絶妙なバランスで支持されている「ナイキ ペガサス」。最新作となる「ナイキ ペガサス 41」は、前作から大きくエネルギーリターンが向上。その理由は、ミッドソールのフォーム素材の変更にある。前作「ナイキ ペガサス 40」のフォームはナイキ リアクト フォームだったが、今作ではナイキ リアクトX フォームが採用された。

ナイキ リアクトX フォームは、「ナイキ インフィニティ ラン 4」にも使われているフォーム素材。NIKEのイノベーションチームが、NSRLで5年以上を費やして素材研究、開発、テストをし、従来のナイキ リアクト フォームと比べて、エネルギーリターンを13%向上させることに成功。さらに、ミッドソール製造による炭素排出量は43%削減された。ナイキ リアクトX フォームは、パフォーマンスとサステナビリティの両立を目指し、実現した素材なのだ。

エア ズーム ユニットに関しては「ナイキ ペガサス 40」同様、前足部と踵部の2か所に搭載。ナイキ リアクトX フォームと作り出した新システムにより、ランナーはさらに快適なランが楽しめることだろう。

2年間で1000人以上のランナーによるテストを経て作られたという「ナイキ ペガサス 41」は、アッパーもアップデート。エンジニアードメッシュの採用により、前作よりも通気性が向上。加えて、シューレースと中足部内側のバンドが直接連動するダイナミック ミッドフット フィットシステムの採用で、足全体をサポートする。多くのランナーに愛され続けているロングセラーの大きなモデルチェンジ。こちらも非常に楽しみだ。

ナイキ マックス フライ 2

スプリンター向けのスパイク「ナイキ マックス フライ 2」も発表された。初代「ナイキ マックス フライ」は、2021年の東京五輪で大きなインパクトを残したモデル。男子100mではファイナルに残った8人中5人が、女子100mでは8人中7人が「ナイキ マックス フライ」を着用。エア ズーム ユニットがスプリンターにとっても有効な武器であることを証明した。

「ナイキ マックス フライ 2」は、アウトソールのプレートがPEBAX製になり、軽量性、反発性が向上。前足部が広くフラットになったことで、安定性が高まりながら、今まで以上にパワーを地面に伝えられる構造になったという。また、スパイクのピンは7本から6本に変更。これはコーナーリングへの対応力を増すためのものとのこと。今夏のパリでは、東京以上のタイムが生まれるのか、そして200m、400mの競技者が今まで以上に「マックスフライ」を支持するかも気になるところ。

想像力とサイエンスの追いかけっこ

マラソンシーンでも、トラックでも存在感を示すNike Airについて、〈Nike On Air〉の開催中に、NSRLのVPを務めるマシュー・ナース氏に話が聞けた。

「パフォーマンスからライフスタイルまで幅広くエアが支持されているのは、足を守る機能に優れ、見た目が美しいからでしょう。そして息が長い理由は、フォームやプレートとの組み合わせによって、エアのパフォーマンスも変わる汎用性の高さ、それから進化を続けている点にあると思います。もしかしたら、見た目はそれほど変わっていないように見えるという人もいるかもしれませんが、多くの技術と努力を注ぎ込み、エアは常に進化を続けています。ナイキ ペガサス プレミアムのエア ズーム ユニットはそのわかりやすい例だと思いますし、今もまさに従来にはないエアの可能性を目指して開発しているところです」

では、NIKEがイノベーションを生み出し、Nike Airが進化を続けられる理由はどこにあるのだろうか。

「NSRLではデザイナーと科学者、エンジニアがお互いに刺激し合いながら、協力しあっていて、そこに強みがあると感じています。想像力と、サイエンスは追いかけっこをしていて、想像力が新しいものを生むこともあれば、サイエンスが先を行くこともあります。アスリートの夢を叶えるためには、どちらも重要なのです。また、イノベーションにとって大事なのは、リミットを考える必要はないけれど、ステップを踏まなければならないということ。地球を飛び出して木星に行こうと思うなら、まずは月に行かないといけません。Breaking2もそうですよね。1時間半ではなく、2時間を目指す。遠いけれど遠すぎない、でも近過ぎない場所を目指すことが大切なのです」

NIKEが開拓するこれからの未来にも期待したい。