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「10mの高さから落としても壊れることなく、10気圧の防水性を持ち、10年寿命がある」という『3つの10』を掲げて1983年に誕生したG-SHOCK。世界中で愛されるタフネスウォッチが、いよいよランニングシーンにも本格参入。ファッションとハイスペックを両立するモデルをチェックします。

耐衝撃を追求し、時計にタフネスという概念を生み出したカシオの名作『G-SHOCK』。そのコンセプトで独自の世界観を作り上げてきた同ブランドに、『G-SQUAD』と名付けられたスポーツラインがあるのをご存知でしょうか。

今回ピックアップした『GBD-H1000』はそのG-SQUADの2作目、G-SHOCKで初めて心拍計とGPSを同時に搭載したモデルです。ストリートシーンのアイコンでもウォッチブランドがスポーツウォッチ界に本格的に参入という訳です。同分野で先を行く他ブランドに対し、G-SHOCKはどう勝負するのか。ランニングで使用し、その強みを探ってみました。

シンプルで分かりやすいボタン配置とフェイス

GBD-H1000を手にとってまず感じたことはフィット感の高さ。意外と時計の盲点となる部分ですが、ストラップの目が細かく、ベストな締め付けに調整できます。

G-SHOCKというとやはり大ぶりなフェイスが特徴なので重量感を想像しましたが、実際に着用して走ってみると意外に気になりません。軽さをストイックに追求するとなるとまた別の話ですが、ストレスを感じることはないはず。

もっとも良いと感じたのは時計本体の操作がシンプルで分かりやすいところ。5つのボタンにはベゼルや文字盤の周りに「RUN」「MODE」などの表示があり、説明書を見なくても軽く触っているうちにすぐに覚えることができました。5つのボタンの操作目的はおおよそ以下の通り。

・2時の位置:ライト
・4時の位置:トレーニング計測時のラップ、スプリット計測
・8時の位置:モードの切り替え(24時間の心拍変動、トレーニングステータスなど)
・9時の位置:ランニングのSTART/STOP
・10時の位置:ディスプレイの切り替え(週・月間アクティビティ、現在の心拍数など)

現在のスポーツウォッチの多くが多数のアクティビティモードに対応するなど網羅的になる中、GBD-H1000はシンプルにランニングにフォーカスしたモデルです。心拍計測やカロリー消費、トレーニングステータスなど、アフターでの管理には力を入れた一方、時計の操作に関しては従来のスポーツウォッチの良い部分を生かした格好です。

トレーニング中の画面表示も3つまでに絞るなど、必要な情報に設定する仕様にしており(DISPLAY切り替えで3画面9項目まで設定、確認が可能)、ビギナーにより優しい仕様と言えるでしょう。

高精度の心拍計

まず魅力に感じた点が心拍計の精度の高さ。ここ数年で心拍計測によるトレーニング管理は一般化した印象がありますが、時計裏のセンサーで脈拍を計るリストタイプは、心臓に近い場所に装着するチェストベルトタイプに比べて、まだまだ発展途上段階。

現状マーケット内では10%~15%(より高めに出る傾向あり)の誤差は仕方がないこととされているなか、他社のチェストベルトタイプと同時計測しても、数値に誤差はありませんでした。

心拍計測に慣れてくると「今130くらいかな」と体感で理解できるようになりますが、リストタイプでは「あれ?そんなに高いはずないよな」という数値が出て驚くこともしばしば。チェストタイプでも稀にセンサーの不具合で数値が跳ね上がることがありますが、GBD-H1000に関してはこれまでの使用において、ストレスを感じることなく使い続けることができています。

G-SHOCK初となる光学式センサーを背面に搭載。
ストラップの目幅が狭く手首回りのサイズを選ばないのGBD-H1000の特徴。センサーの反応が良いのはこの点が関係しているのかも。

管理はすべてアプリ「G-SHOCK MOVE」

GBD-H1000によるトレーニングはカシオ専用アプリ「G-SHOCK MOVE」を使って管理します。iOS、Android、両プラットフォームに対応する無料アプリをスマートフォンにインストールし、Bluetoothでペアリング。

ランニング時のホーム画面のカスタマイズ、目標の心拍ゾーン、ライトや振動の設定など、時計本体の設定、また外部アプリへの連携など、すべてスマートフォンを使ってアプリで行う仕様はありがたいところ。説明書を読みながら面倒な初期設定に悪戦苦闘することはありませんでした。

コンディション管理に役立つアプリ内コンテンツ

GBD-H1000本体同様G-SHOCK MOVEもまた見やすさ、分かりやすさにこだわっています。トレーニングのモチベーション維持と体調管理に強く意識を向けている点が特徴的。1日あたりの歩数や消費カロリー、月間走行距離、それに対する現状の達成度を確認できるほか、トレーニングプランとして、有酸素運動で体力向上を目指す「カーディオ」と、レースなどに向けてのレベルアップとコンディショニングを考えた「ランニング」の2つを用意。目標を設定すると、アプリが自動でトレーニングメニューをサジェストしてくれます。組まれたプランがレベルに合っていないと思えば、その都度調整も可能。

そして、アプリを利用していく中でもっとも役に立ってくれたのがトレーニングステータス機能。

・Productive(この状態を維持)
・Maintaining(フィットネスレベル維持)
・Peaking(理想的なコンディショニング)
・Overreaching(トレーニング負荷が高く、逆効果)
・Detraining(トレーニング不足)
・Recovery(トレーニング負荷を軽めにして回復)
・Unproductive(トレーニング負荷レベル良好、フィットネスレベル減少)

など、その日行ったトレーニングに対し、矢印のアイコンとコメントで現在の状況把握を手助けしてくれます。調子が良いためについつい連続して高強度のトレーニングをしてしまうときや、逆にリカバリーと思い休みすぎてフィットネスレベルが下がったりと、1人でトレーニングしているとイメージとの乖離が生まれますが、この機能はバロメーターとして活躍し、トレーニングボリュームを安定させてくれます。おかげで自分に適した週当たりのトレーニング強度を理解することができました。

タイムの目標が不明確なランナーに優しい「カーディオ」プラン。身長、体重などのプロフィールとワークアウトする曜日を設定すると、自動でプランが組まれる。「ランニング」プランの場合は10K、ハーフマラソン、フルマラソンなど、目標とするレースの日程に合わせてプランが組まれる。
トレーニング後の負荷をリアルに伝えてくれるトレーニングステータス。矢印のアイコンがトレーニング強度を可視化。
トレーニング負荷や目標達成度がグラフやゲージ、パーセンテージの割り出しによって分かりやすく表示。
ランニングの履歴からは、地理情報システム 、ESRIのカラーマップで移動した軌跡が確認できるほか、平均ペースや最速ペース、消費カロリー、心拍ゾーン滞在時間も確認が可能。
外部アプリとの連携もG-SHOCK MOVEから。現在連携できるアプリは「Apple Health」「STRAVA」「Google Fit」の三種。

ソーラー充電でロング・バッテリーライフ

なお、GBD-H1000はソーラー充電が可能。心拍計測モードをトレーニング時以外オフにして普段使いするのであれば、ケーブルにつないで充電する必要はほとんどありません。逆にGPSの精度を毎秒計測モードにしてトレーニングしても最大14時間稼働。ウルトラマラソンレベルに対応するタフさはやはりG-SHOCKといったところですね。

【GBD-H1000】
価格
¥55,000(税込)
バッテリー持続時間
・時刻モード(歩数計測、通知機能含む):約12ヵ月
・時刻モード+心拍測定機能:約66時間(パワーセービング機能、心拍スリープ状態含む)
※ソーラー発電なし状態、使用環境により変動あり
・トレーニングモード(GPS連続計測+心拍測定機能):約14時間
・トレーニングモード(GPS間欠計測+心拍測定機能):約18時間
※ソーラー発電なし状態、使用環境により変動あり
GPS受信間隔
・NORMAL:1秒毎
・LONG:1分毎
充電方式 ・時間
・ソーラー充電:時刻モード(歩数計測、通知機能を含む)は、ソーラー充電のみで対応可能。
※毎日約8時間蛍光灯下の室内(500ルクス)で充電し、1週間の間に2時間晴れた日の窓際(10000ルクス)で充電した場合。
・専用充電ケーブル(USB端子<Type-A>)による充電:フル充電に最大約2.5時間

その他詳細情報はこちらから。

執筆者:高橋知彦

執筆者:高橋知彦

宮城県生まれ。東北高校出身。2011年よりファッション誌でエディターとしてのキャリアをスタート。学生時代は陸上部。第二回東京マラソンに当選したのを機にランニングを再開。2012年に『激走モンブラン!』の最放送を見たことがきっかけでトレイルランニングの世界へ。趣味が高じ2019年に(株)アルティコに入社し、onyourmarkの編集者に。その経験を生かし主にランニングにまつわる記事の取材、執筆を行う。