トレイルランニングでは常識のマイボトル携行。実はロードランニングでも、そのメリットは少なくありません。マイボトルマラソンの開催が予定されるなど、マイボトルランの基本と必要ギアについて、知っておいて損はないハズです。
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機運が高まるマイボトルラン
マラソン大会において、膨大な量の紙カップやプラカップが給水所に打ち捨てられていることに、心を痛めた方も少なくないのではないでしょうか。残念ながら開催中止のアナウンスがありましたが、2021年2月に開催予定だった湘南国際マラソンは、“世界初のマイボトルマラソン”として大きな注目を集めていました。
マイボトルをどのように携行して、どう給水するか。トレイルランニングでは当たり前のマイボトルも、ロードランニングでは馴染みが薄いもの。でも、マイボトル給水術を知れば、普段のロードランでも距離が伸ばせるし、パフォーマンスも向上するはずです。あるいは、暑い季節の給水にも役立つことを考えると、マイボトルの携行はロードランナーにとっても常識となる可能性もあります。
今回は、東京・丸の内にあるランニング専門店〈THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO〉に、マイボトルランのTIPSを教えてもらいます。昨年の秋には、アドバイスを求める湘南国際マラソンに出場予定ランナーの来店が続いていたそうです。

学生時代からフルマラソンを走っていたスタッフの榎祥子さんは、FLIGHT TOKYOで勤務するようになってからは数々のトレイルランニングレースも走っているランナー。目下のところ、中止になったUTMFへのチャレンジが目標だそう。トレイルランニングを経験すると、マイボトルを持って走るのは、特別なことではないと彼女は言います。
「トレイルランをされていて普段からマイボトルに慣れている方や、マラソン大会の紙コップの散乱を疑問視されている方からは、湘南国際マラソンのコンセプトに対して『いい取り組み、今後こういう大会が増えればいい』という声を聞きました。一方で、ロードランをメインにされている方は、マイボトルを持って走ることを、『重たくないの?』『どうやって飲んだらいいの?』と不安に思われているようです」
マイボトルランのメリットと必要なもの
ーマイボトルを持つと、重くなるんじゃないか、タイムが出なくなるんじゃないか、と感じる人には、どう答えていますか?
榎「最初はやはり難しいと思うので、普段の練習からマイボトルを持って走る習慣を身に付けて、慣れることが大事です。大会で言えば、自分の好きなタイミングで給水ができるので、給水地点で焦ったり、転ぶなどのトラブルがないということはメリットだと思います。よりマイペースに、自分のペースでランニングを楽しめるのが、マイボトルランです」
ー具体的にはどんな装備・準備をしたらいいですか?
榎「少量の給水で良ければ、ウェストポーチやポケット容量のあるショーツで400〜500mlのソフトボトルを携行するのが基本です。ゆっくり時間をかけて長い距離を走るなら、必要な水分量が多くなるので、ベスト型のトレランザックでソフトボトルやハイドレーションを用いての給水になりますね」
マイボトルランのキーアイテムはソフトボトル
ーどちらにおいてもソフトボトルの重要性が高そうですね。
榎「マイボトルランにはソフトフラスクをお薦めしています。大きな理由としては、繰り返し使えるエコさ、プラスチックゴミを出さないという点があります。簡単に手に入るペットボトルですが、ランで実際に使うと硬くて、腰ポケットやベスト型ザックの胸ポケットに入れたときに圧迫されて不快に感じます。また、中身の容量が減ると、水がジャバジャバしますが、その音や揺れ感が繰り返される中でストレスになるんです。
ソフトボトルだと、容量が減ったら中の空気を出すことで振動も無くなりますし、ウエストの圧迫感もないのでストレスフリーにランニングができるんです」
湘南国際マラソンのメインスポンサーを務めるTHE NORTH FACEでは、トレイルランニングで培ってきたソフトフラスクを、ロードラン用に改良。容量を400mlと小ぶりにすることで、ショーツのポケットに収まりやすいサイズに仕立てました。残念ながら大会はありませんが、ソフトボトルはロードラン用に発売中とのことです。

マイボトルランを支えるショーツ
ーポケット付きのショーツもソフトボトルを収納するためには大切ですね。
榎「はい。〈フライウェイトレーシングショーツ〉は長年のリピーターの方も多いTHE NORTH FACEを代表するレーシングパンツです。
最大の特徴は、腰回りに6箇所のメッシュポケットがついていること。ウエストポーチのかわりにこのショーツを活用していただけます。前と後ろの中央に大きいポケットがあり、400mlのソフトボトルが入るサイズです。私は後ろ側にボトルを、前側のポケットにスマートフォンを入れることが多いですね。
残りのポケットには、補給ジェルやお財布、カギや小さいタオルを入れることもあります。寒い季節には、ロングタイツと合わせることできます。もちろん1枚で履いても綺麗な丈感で、オールシーズン活躍するショーツです」



ランニングポーチを活用しよう
ー〈フライウェイトレーシングショーツ〉はとても便利そうですが、お気に入りのショーツがある人や、これ以上ボトムスを増やせない人はどうしたらいいでしょうか。
榎「すでにランニングパンツをお持ちの方には、ランニング用のポーチをお勧めしています。〈ロードランナー〉は、メインポケットが大きいので、400mlのボトルもスマホも入ります。ポケットもいくつかスペースが分かれているので、スマホ、ジェル、ウインドブレーカーと整理して収納できます。フリーサイズで調整幅も広く、男女ともにお使いいただけます。
荷物が多いランナーの方や、ファンランにはポーチがお勧めですが、速度域が上がってくると少し揺れも出てきますので、うまく使い分けたいですね」


マイボトルでランニングをより豊かに
これまでロードランニングでマイボトルがそこまで話題にならなかったのは、コンビニや自動販売機が身近にあり、給水ポイントに事欠かないという日本ならではの事情がありそうです。とはいえ(そして悲しいことですが)、なるべく人との接点を減らすに越したことのないこのご時世、給水のために立ち寄る場所を減らせるマイボトルランは、健康なランニングの継続のため一考の価値はありそうです。
朝夕走るランナーのみなさんはすでに感じている通り、日の出ている時間も少しずつ長くなってきました。これからまた季節が巡り気温が上がってくると、給水がより重要さを増してきます。この冬の間に、マイボトルランにトライしてみてはいかがでしょうか?
ボトルを持ってのランニングは、少しずつロードランナーの間でも定着し始めているようです。Instagramのハッシュタグ #マイボトルラン を覗いてみると、実践されているランナーの多さに勇気づけられます。マイボトルで走った暁には、このハッシュタグで同好のランナーを繋がってみるのもよいかもしれません。(#OYMgram も同時につけたら、Weekly OYMgramに採用されるかもしれません!)